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2019夏ツーリング ~西へ、先輩と~(四)

 
呑んでないから余計に、だろうけど。

めちゃめちゃ爽やかに目覚めた俺は、素早く寝床を撤収する。

来たときより綺麗にしたら、それじゃあ今日からは復路だ。



のんびり安全運転で、帰る方向へ走りだそう。

電波の悪かったみくまりダムを出て、朝の涼しい空気の中を、麓(ふもと)まで下ってゆく。

山麓まで出たところで、ホルダーの携帯に目をやれば、アンテナはバッチリ立ちまくってる。



おはようございます、Google先輩。

朝メシにしましょう、コンビニとスタンド見つけてください。

数分ほど走って、近くのコンビニへと到着する。

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朝メシついでにSNSで「生きてる報告」をし、東へ向かって走りだす。

と、すぐに雨が降ってきた。

ちょっと迷ったが、道端に停まってカッパを着込む。



カッパを着て走り出し、ものの30秒



お察しの通り、バキッと雨が上がった。

空が晴れてきて、アホほど蒸してくる。

このままだと走るサウナ、痩せるか倒れるかどっちかだ。



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仕方なくまた停まって、脱いだカッパを荷物へくくる。



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ガソリンが心もとなかったので、スタンドが開くまで待とう。

15分ほど待って、スタンドが開店したら給油。

ぶん回してもリッター60、のんびりだと70走る白カブさん。



「この燃費って地味だけど、ツーリングでは最強の武器だよな」



俺(おむすび)も、白カブさん(ガソリン)も満腹になったら、今度こそ東へガンガン進もう。



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無理です。

雨が降ったり止んだり忙しすぎる。

ここから先、とにかくこの「降ったり止んだり」に、混老(ホンロー)、もとい、翻弄された。



蒸し暑くて、カッパを着っぱなしに出来ないのが痛い。



空はとにかく「ほーら、降らすでー!」と煽(あお)ってくる。

ざけんな、どうせ止むならもう着ねぇ! 濡れてもすぐ乾くしな。

なんて開き直ると、狂ったように土砂降って、パンツまでびしょ濡れ。



昨日からパンツの受難が続きますなぁ(自業自得です)。



気まぐれな天気に振り回されるが、お天道様に文句を言っても始まらない。

頑張って走りましょう。

道案内のGoogle先輩、いいルート探してください。


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案内された道は、国道162号。

京都から小浜へ抜ける、実に楽しいワインディングだ。

さすがGoogle先輩、俺の好みをカンペキに理解してらっしゃる。



その調子で、クソ峠とか曲がった道を見つけて下さいぬ。

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国道162は、ここいら屈指の人気ルート

休日ともなれば、たくさんのバイクに出会える道だ。

俺も最初から、その覚悟で走り出したのだが……



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「台風が近づいてる雨の平日」に走ってるバカは、俺くらいしか居なかった。

前後に誰もいない状態で162とか、すげえゼータクだよなぁ。

貸切状態の162を、白カブなりに気持ちよくすっ飛ばし。



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あっという間に、敦賀へ向かう国道27号線へ出る。

混んでることが多い道なんだが、ここも警戒したほどじゃなかった。

ほとんど停まらずにここを抜けたのって、もしかしたら初めてかも知れん。



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27号の道の駅、若狭熊川宿へ入って休憩をとる。

時刻は8:10くらい。道が空いてたから、まだまだ早い。

明日に余裕を持ちたいから、今日は出来るだけ距離を稼いでおこう。



急いでるって程じゃないけど、それなりに先へ進みたい。

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そんな時ほど、くそ長いトンネル信号に引っ掛かったり。

長っげぇなぁ待たせ過ぎだろ、とブツブツ言いながら、やっと信号が変わって走り出す。

真っ暗で、クソ狭くて、水がガンガン流れてる、なかなかタフなトンネルだった。



千葉の素掘りトンネルのが、短いぶん走りやすいかな。



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琵琶湖の北を抜けて、たぶん長浜あたり。

ここまで来る間もずっと、雨の「降ったり止んだり攻撃」に辟易(へきえき)としている。

文句を言っても仕方ないとは言え、ストレスであることは間違いない。



何か対策をとらないと、精神的な疲れがハンパない。

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つわけで最終的に「ガラスの仮面・北島マヤ作戦」を採用する。

これには非常に高度な精神操作と、強力な自己暗示が必要となる。

素人にはお薦めできない、危険な技術だ。



方法はシンプル。以下のセリフをつぶやき、自己暗示をかけるだけ。



「私はモデル。カッパのモデル。だから脱いだり着たりするのは当たり前、ちっとも苦にならないの」



こうして心の安寧を得た俺は、改めて帰路を進む。



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と思ったら鬼のような土砂降りとか、明らかに悪意を感じる。



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しかも「カッパモデルだから平気っ!」と独り言ちつつカッパ着たら。



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直後に雨が止むと言う、煽ってるとしか思えない鬼畜っぷり。



でも、大丈夫。

世界トップクラスのカッパモデルだから。

いつか世界のカッパモデルのあこがれ、紅(くれない)イージスを着る運命だから。



雨なんてガンガン降ってくれていいからね?

台風も連れて来てくれて、一向に構わないよ?

なんならカッパの連続早着替えだって見せるよ?



てな感じで、悟りの境地に達したまま走れば。

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ほら、晴れた。

どうせこのあとも降るんだろうけど、ノープロブレム。

紅イージスを目指す俺に死角はないのだ。



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相変わらず、琴線に触れた景色は貪欲に撮影してゆくスタイル。



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この、普段は水面下なのだろう岩ゴツゴツと、その上の緑とのコントラストとか、たまんなく良いよね。

わかんないよね。

いいや、自己完結しとくから。



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もう何度目だろう、これは今からカッパを着るところかな。



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そして脱いだ後の写真。後ろの青空で判断できる。





道はいつの間にか長野県に入った。

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いつの間にかつーか、木曽あたりからは行きと風景が変わらないから、撮らずに走りを優先した。

何より、木曽に入った段階で「今日中に帰り着こう」と言う欲が出たのだ。

明日まるまる一日を休みに充てられるのは、正直とっても魅力的。



長野のどこだっけか、狭ッ苦しいクソ峠を駆ける白カブさん。

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写真のために停まる場所を探したので、ここはそこそこ道幅がある。

でも基本的には、狭くてうねうねと曲がるワインディングが続くので楽しい。

下りに入って攻め始めると、ウエット路面どころか顔に当たる雨さえも気にならない。



速度を殺さないよう注意を払いつつ、次々と迫る曲がり道を抜けてゆく。

ロードレースってよりは、オートレースに近いイメージかな。

いや、本物とは天地の差だって、俺がいちばん解ってるからツッコミは要らないよ。



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アンダーパワーが効を奏し、アクセルをガンガン開けられるのが楽しすぎ。

ゲラっゲラ笑いながら、下まで一気に駆け抜けた。

めっちゃ面白かった。



街中へ出たのでスイッチを切り替え、のんびりモードで走っていると。

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おおっ! 虹だっ! 綺麗だぁ!



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最後に、こんなご褒美がもらえるなんて最高だなぁ。



なんて、この時は呑気に表情を弛(ゆる)ませていた。

「これが最後だって、誰が言った?」

神様、いや、Google先輩の声なき声など、想像することもできずに。



さあ、あとは慣れた関東の道だ。

油断しないで走れば、今晩のうちに家へ着け……

まてよ。



いつもどおり帰るのは、面白くねぇんじゃねえか



悪い癖が出た。

人生の判断基準が「面白いかどうか」と言う生き方に後悔はないけど。

つわけでここから先、家までのルートをお任せしてみる事にした。



誰にってもちろん、今回の主役・Google先輩にだ。



「んじゃ先輩、お願いしま……おおう、イキナリそっちっすか? 暴れん坊だなぁwww」



俺ならまず選ばない、国道254メインのルートを選ぶ先輩に苦笑しつつ。

決めたことはやろうと、案内どおり走り出す。

この段階で「今日中に帰るのを諦める」と言う選択肢を用意した。



混んでるだろうし、群馬経由になるから寄り道したくなる可能性もあるからだ。



んで、相変わらず降ったり止んだりの中を走ってると。

「ぎゃははは! やるじゃん、先輩っ!」

先輩が表示する画面を見て、俺はひとり爆笑する。



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何この節操のない曲がり道www

こんなの楽しくないわけないじゃん!

OK先輩、こうなりゃトコトン付き合うよ!



長野あたりの254が、こんなステキ道だとは知らなかったよ。

先入観で「いつも混んでるつまんない道」としか思ってなかった。

いやぁ、反省と同時に先輩には感謝だね。



暗いウェットの峠道、しかもほとんど初見のルート。

なのに次のコーナーの曲がり方がわかってる。

雨が上がって霧が出てきても、それは変わらない。



「すげー! 霧なのにいいペース作れてる! ラリーみてぇじゃん! なんだこれクソ楽しい!」



すると、先輩が「5分早く着くルートあるぜ」おっしゃる。

もちろん行きますよ、どうせバカな道でしょ?

俺はもう、先輩を完全に信頼してますリスペクトです。



「んじゃ、こっち行ってみな」



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ぎゃははは! そうそう、そう言うことなんですよ!

なんすか先輩、俺に嬉ションさせたいんすか?

でたらめに御機嫌の49歳、ナビに笑いかけながらひた走る。





群馬に入っても先輩の暴走は止まらない。

「そこ右、500メートルで左、すぐにもう一回左で700メートルな」

もう一度と言われても絶対無理な複雑ルートを、Google先輩に言われるがまま、ニコニコで走ってゆく。



「群馬は何回も来てるけど、こんな道知らねえ!」



そら、こんな住宅街を通るルーティング、ぜってーしねえものフツーは。

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5割はこんな感じの場所を走り。

残りは住宅街とか、街灯もない高速の下とか。

もうね、最後の最後で完全にGoogle先輩のファンですよ。



後で確認してみたら驚くことに、ルートとしては確かに最短つーか真っ直ぐ帰ってきてた。

それを見て俺は、また大笑いする。

先輩、これからも一緒に走ろうね!



結局、夜中には自宅へたどり着き。

今回の夏ツーリングも、無事に終えることができた。

いや、今回のツーリング「は」か。



んじゃ最後、エンドロール代わりに後日談を。

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目論(もくろ)みどおり、丸一日の休みができたので、仕事へゆくナオミさんを見送ったあと。



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ギシギシしてたテントポールに注油したり。

今回使った道具の、手入れとか修理とかして過ごす。

そんで翌日、仕事へ行った昼休みには。



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頑張った相棒のオイル交換をしてやった。



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オイルはいつもの「バイク板推奨油」AZだ。



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タンクパッドはいつの間にかなくなってたので、代わりに肉球パッドを貼ってみた。

特に可もなく不可もなく。





つわけでムダに長いレポート、付き合ってくれてありがとう。



スーパーカブでわかってた以上に、クロスカブはやれる子だったよ。

つーかここまで楽しく走れるバイクとは思わなかった。

ポジションとか、ちょっとしたギアの特性の違いなんだろうけど、こいつは侮れないや。



あと、想像を遥かに越えて、Googleマップのナビゲーションは「俺向き」だった事を特筆したい。

確かに「目的地へ行く」ことを主眼にするとダメな子かも知れない。

だが、「俺にとっては」道中を楽しめる最高のツールだった。



願わくは、このまま暴れん坊ナビであり続けて欲しい。

作ってる人と、改良を待ってる人には悪いけど。



てな感じで、とりあえず。クロスカブ最高(・∀・)

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4日半・2000キロ、トラブルなし。

お疲れ様でした。

さて、来年に向けて、明日は何から始めようか?





2019夏ツーリング ~西へ、先輩と~ /了


 

by noreturnrydeen | 2019-08-15 15:21 | ソロツーリング

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