昔よくテストランで走ってた、白井あたりのツイスト。
今はもう全然なんで、ここを走るのはすげぇ久しぶり。
言っても二種原付のKLXだし、のんびり気持ちよく走ろう。
向かっているオートパーラーシオヤってのは、いわゆる自動販売機コーナー。
俺と同年代くらいなら知ってるだろう、昔よく見かけた例のアレ。
ハンバーガーとかカップ麺の自販機がおいてあるだけの、ミニドライブインみたいなもんだ。
昔のPAなんかも、そんな感じだったよね。
こないだ通勤してる時、ちょっと思いついてしまった。
あれの感じで、しゃべりを撮ってみたくなったので、やってみる。
前に一度、やろうと思って失敗してるんだが、あの時はユリだった。
KLXならエンジン音も風切音も静かだし、行けるんじゃないかと。
つわけで早速、走りながらしゃべってみる。
エンジン音はともかく、風切音が大きくてはっきり聞こえないので、これは却下。
マイク部分にテープ貼ってみたんだけど、焼石ウォーターだったみたい。
いっそ音声と動画を別々に撮ってみようかなぁ。
ちなみにモトブログってのは、モト・ビデオ・ログの略で、走行動画にしゃべりを加えたもの。
詳しいことは「モトブログ」でググりゃナンボでも出てくるからそっちで。
しゃべるのに危ないから、わざわざKLX乗ってきたのになぁ(´・ω・`)
と、いったんモトブログにあきらめがついたところで。
それじゃあ、オートパーラーへ向かって走ろう!
元気に走り出した46歳を祝福するような青空に、なんとなくもったいなくなって。
まっすぐ向かわずに、近所の道をあれこれ探索がてら走ってみる。
日本中、あちこち行ってるんだけど、意外と近場は走ってないからね。
いい機会だし、いろいろと寄り道して、脳内地図をつなげていこう。
125ccの二種原付で、トコトコと晴天の元を走る。
ただそれだけで、なんだがほっぺたが緩んでくるのは、もう、仕方なしあきらめてる。
俺は、つーか単車乗りってのはもう、そういう生き物なのだ。
適当に走ってると、やがて16号へ出た。
そこからちょっと南下して、木下(きおろし)街道とぶつかったところで。
左に折れて、今度は利根川を目指す。
木下あたりで一回、ちょっと道に迷ったくらいで。
基本的にはほとんど澱(よど)みなく、利根川の南岸あたりまでやってきた。
ちょっと休憩しながら、今回
初めての地図チェック。
利根川の南岸へ出て、あとはいつもの利根水郷ライン。
いつも通り川を渡って茨城側を走ろうかと思ったけど、まあ、そう急ぐ必要もないか。
つわけで久しぶりに水郷ラインをそのまま進む。
コンビニでタバコを買い、一服しながらSNSに写真をアップ。
あとはまず、迷うこともないだろう。
まっすぐ走って常総大橋まで行き、1.5キロほど南下すれば、見つかるはずだ。
空と、緑と、道路と、川。
のんびり景色を眺めながら、久しぶりのKLXを楽しむ。
だいぶんヤレてきたから、そろそろスプロケやチェーン、タイアなんかを交換してやらなくちゃ。
時々立ち上がって走りながら、身体をひねって周りの写真を撮ってみたり。
でも単車って身体をねじると、まっすぐ走れないんだよね。
対抗車にぶつかってもバカらしいから、適当なところでやめる。
やがて常総大橋から南へ折れて、しばらく走っていると。
見つけた! オートパーラーシオヤだ!
つわけで、ここまでの動画をまとめてみた。
いつも通り、長いわりに見どころはないから、まあテキトーに流して見て(・∀・)b
じゃ、あらためてシオヤを見てみよう。
外観からもう、
雰囲気たっぷりで懐かしさがこみあげてくる。
色、佇(たたず)まい、カンバンのフォントまで、カンペキなラインナップだ。
死んだ親父が、中でマイルドセブンを吸ってそうで、思わずニヤっとしてしまう。
俺的には、カペラかルーチェ(親父のクルマ)が停まってれば最高だったな(・∀・)
しばらく外を眺めたあと、中に入ってみる。
先客の単車乗りが一人いたんだが、写真撮ったり一服してるうちに出てしまった。
もちろん人見知りなんかしないんだけど、余りのノスタルジーにそれどころじゃなかったのだ。
話しかければよかったなぁ。
中はこんな風に、今どきのジュースの自販機と並んで、
懐かしい自販機が並んでいる。
と、カップヌードルの自販機の横にある、お菓子の自販機に
張り紙があった。
修理代のせいなのか、そもそも
製造中止で部品の調達ができないのか。
こうやって少しづつ、古いものが失われてゆくんだね。
もちろんそれは新しいものへ場所を譲るわけで、一概に悪いとは言えない。
でも、なんだか少しだけ、寂しいね。
イスの修理も、なかなか豪快。
きょうび俺だって、もう少しはキレイに直す。
けど、でも、ここにあると「これはこれでいい」んだよなぁ。
家族で出かけたことなんて、それもクルマに乗ってなんて、ほとんどなかった。
親父は自営業で、日曜日も働いてたし、そもそも俺が車酔いするから。
だけどほんの少し、だいぶんヤレてきた脳みそに、欠片だけ引っかかってる記憶。
そんなのが急に浮かんできたりして、どうにも居心地がいい。
飲んだジュースのペットボトルを捨てようとして、ゴミ箱をのぞくと。
ビン、缶、ペット、燃えるゴミ、燃えないゴミ、きちんと分別してあるのが確認できる。
「ここを使う人たちみんな、ちゃんとルールやマナーを守ってるんだな」
また少しうれしくなって、店内でひとりニヤニヤしてしまう、変質者イーシャンテンの46歳。
おっと、だいぶ陽が陰ってきた。そろそろ帰ろう。
バッグを背負って表に出ると、店の前の洗面所が目に入った。
「石鹸を入れるのはミカンの網」と、
こんなところまでノスタルジーにあふれ、またまたニヤッ(^~^)
出る前に、裏へまわってみると、
ガケと森が見えた。
「落ちねぇし、ケモらねぇよ」
と、誰に言うでもなく、ひとりツッコミしたら、さあ帰ろう。
帰りは常総大橋を渡って、茨城県側の北岸を走る。
地元民に「裏高速」と呼ばれる(要出典)、クルマの少ない道を、逆光に目を細めながら。
「興味本位だったけど、来てよかったな」
小さくつぶやいて、俺は太陽へ向かってアクセルをあけた。
そんな水曜日の午後。
ノスタルジック・ラン/了