今日で8月も終わり、明日からは9月になる。
同じ暑くても「9月」って聞くだけで「残暑」つーか名残おしくなるのは不思議だ。
その名残惜しさに、心ひかれる晴天の昼下がり。
「ちょっと、遠回りして帰ろうかな」
水曜日だから、帰って主夫仕事せにゃならん。
つーかそれをブッチしても、書類仕事とかエアクリ&スロットルボディの掃除とか、やることは他になんぼでもある。
が、どうにもやる気が起きないので、ただ、遠回りして帰ることにする。
走り出して、いつものツイスト(マルに言うと笑われるけど)から、少し遠回りするコースへ。
が、しばらく曲がってみても、なんかピンとこない。
「あっれ、なんでだ? ケツ上がってる方が楽しいはずなのになぁ」
首をひねりながら走るうち、ふと原因に思い当たる。
「あ、そか。ケツが上がった分、ハンドル位置も少し上がってるのか」
つわけで、道端アンジェリカに停車し、ハンドルの位置を変更。
思い切って、エンドを
タンクカバーぎりぎりまで下げる。
走り出して、ひとつふたつ曲がってみると、「ああ、これこれ」と満足感がわいてくる。
ハンドルが近い位置に来て、まるで小型のバイクに乗ってるような感覚。
ただでさえ前下がり、フロントヘビーなディメンションの車体に。
さらに上体をおっかぶせるようにして、感覚的にはほとんどフロントに乗って曲がる感じ。
「そうだ、ついでに座る位置も前乗りにしてみよう」と、オフ車みたいに前ギリギリのポジションへまたがり。
リーンウィズと、内脚を振り出すリーンアウトを使い分けながら走る。
リアサスが短いツーリングの時みたいな、「深めにバンクして、路面に張り付きながら曲がる」感じを捨て。
バンクさせないで、フロント一輪車みたいに曲がりつつ、リアタイアをおっつけ。
コーナーの脱出になって、ようやくリアへ荷重をかける、的なコイツ独特の曲がり方。
路面に吸い付くようなコーナリングは、たぶん、ほかのバイクでもできる。
でも、このオンでもオフでもモタードでもない、変な曲がり方ができるのは、この脚だけだ。
ブラインドだろうが路面が荒れてようが、怖くなく安全に(俺視点で)気持ちよく。
体重の10%にもなる片足を内側へ振り出し、それをきっかけに股下でバンク。
サーキットみたいにブレーキのリリースできっかけを作れない公道では、これが思いのほか効く。
100スピードからひと息で減速し、たぶん60くらいでコーナリング、脱出しながらメータを見れば80を超えるところ。
両脇の田んぼや畑が、視界の隅をナナメに流れてゆき。
先をにらんでる俺の脳に、ケツや足から「リアタイア、食ったよ」と情報が入る。
それを感じたか感じないかのタイミングで、アクセルをワイドオープン。
道の状況によってはリアが流れたり、その時によって変わる挙動に対応しながら。
視線と気持ちは、もう、次の曲がりがくれる快感を期待しながら、先へ、先へ。
「あはは、生きてるなぁ」
街中に入ってクルマが増えてきたところで、気持ちを切り替えて、ドコドコまったり。
「今日は暑いから、晩ごはんは患者さんもらったポテトサラダとソーメンでいいかな?」
小さくつぶやいて、国道でつっかけてくる、小生意気な四輪をミラーの点にしながら。
俺は改めて、この相棒に会えたことを感謝する。
さて、帰ったら、患者さんにもらった焼酎でも呑みながら。
今日の気持ちよかった走りのことを書こうか。
今週は金曜に名古屋のダチおじぞうくん、千葉のMくんと一緒に、レブステーキで肉を食って。
その前後で、書類仕事を終わらせて。
週末はKLX……は自賠責が切れてたから、そうだ、久しぶりに房総か伊豆にでも行ってみるかな。
「俺、単車に出会えて、本当によかったな」
つぶやいて開けたアクセルに反応し、愛機は力強く加速した。