タープテスト
2014年 10月 04日
ケシュアのレクタタープを買ったので。
試し張りがてら、ソロキャンプに行こうと思い立った44歳。
忙しい合間なので、近場で済ますべく、「野田市スポーツ公園」へゆく。
つわけで半日仕事を終え、いったん帰宅して準備。
今回は、多少の不便を承知の上で、徹底的に荷物を減らしてみた。
とにかく、何よりも「走りを重視」したセットだ。
左からコット、タープ、リュックサック、持って行くのはこれだけ。
リュック内に、シュラフ、シーツ、カバーの寝具類と、コッヘル&アルコールストーブ。
リュックの副室に、宿泊用の小さなバッグ、あとの細かいものはリュックのポケット。
野宿ツーリングの装備としては、「歴代最小にして最軽量」じゃないかな?
コットの横幅があるものの、重量は「あわせて5キロ以下」と、走りへの影響は考えなくていいレベル。
走り出して何度か曲がっただけで、思わずにやりと笑みがこぼれる。
手ごたえが、「空荷で走るのと、ほとんど変わらない」からだ。
もっとも、そのぶんリュックは重いので、そっちは邪魔なんだけど(・∀・)
16号をガシガシすり抜けて、無事、野田市スポーツ公園に到着。
さて、それじゃあ何はともあれ、タープを張ってみようか。
まず最初に、いちばんシンプルな張り方から。
両端をペグダウンして、反対の端をポールで持ち上げ、斜め張り。
最初に両端を地面へ固定してしまうので、ほとんど苦労なく張れる。
なお、わざわざ広いスペースに「背を向けた」のは、風向きがこっちからだったから。
風を受けて力のかかる面積が大きいのは、この張り方の弱点かもね。船の帆みたいなもんだし。
写真を見ても、「風で撓(しな)ってる」のがわかる。
張ったタープをいったんバラして、また、別の張り方をしてみる。
ポール一本のウイングモード。
風への抵抗もそれなりだし、見た目よりスペースはある。
ポールの固定ロープを増やせば、一本で済むぶん、重量的にはこれがいちばん有利。
あと、普通にかっこいいから好き(・∀・)
またバラして、お次はいちばんスタンダードな張り方。
面白味はないが、タープのサイズを最も無駄なく使える張り方だろう。
ただ、高さが思ったよりあるので、中でイスを使うんじゃないと、上部スペースが無駄かも。
そう思ったので、今度はポールの継ぎ手を少なくして、高さを抑えてみることにした。
つわけで、またバラして組み直し、ロープの長さを調節して……
さっきの張り方より、350mmほど低くなった。
風への耐性、コットの高さとのバランスを考えると、これがベストか。
いや、張り方がって言うより、高さがね。
真横から見ると、こんな感じ。風は向かって左から吹いてくる。
ここでいったん、テストを中止して、まずは一杯やることにしよう。
近所のスーパーで買ってきた日本酒で、本日最初の一杯がスタート。
上善如水(じょうぜんみずのごとし)なんて、すげぇ久しぶりに呑んだ。
若いころは、「あんなもん日本酒じゃねぇ!」的なこと言ってたが、今はもうこだわらないからね。
これはこれで、充分に美味いし、呑みやすいのも悪くないなと思うよ(・∀・)
バタバタとしたタープ張りから一転、のんびりと呑みながら一服つける。
飛んできたトンボが、張り綱にとまった。
もう、秋なんだねぇ。
さて、しばらくのんびりしたら、また、立ち上がってタープをバラそう。
最初の張り方に戻したのは、これから「火を使う」ため、天井の高さを稼いだのだ。
アルストとヴァーゴの組み合わせってのは、結構、火が暴走するからね。
大丈夫だとは思うけど、とりあえず、火柱がどのくらいになるかを、チェックしながら使ってみる。
ぶつ切りのベーコンを炒めながらつまみ、日本酒をぐびり。
あとで料理に使うので、全部食わないよう注意しながら、のんびりと呑(や)る。
暑すぎず、寒くもなく、風も強すぎない、まさにピクニック日和(・∀・)
ベーコンを炒め終わったらコッヘルに移し、今度は鳥のももを焼く。
脂を出しながらじっくりと焼きつつ、日本酒を呑み切ったので、ウーロン割へシフト。
重たいビンのゴミを出したくなかったので、今日のメインは紙パックの宝焼酎。
それでも足りなきゃ、バッグにはジャックダニエルのポケットビンもある(`・ω・´)
とまあ、ひとりで楽しく呑っていると。
向こうで宴会やってる団体から、男性がひとり、こちらへやってきた。
「もしよかったら、あっちで一緒に呑みませんか?」
「いや、ひとりでやりたいんで。わざわざ声かけてくださって、ありがとうございます」
笑顔でお断りしつつ、戻ってゆく彼の背中を見ながら。
「気さくな人だなぁ。もともとかな、それとも開放的な雰囲気だからかな」
などと空想してみたり。
さて、料理の続きに取り掛かろう。
コッヘルに放り込んだベーコンや鶏の上から、
トマト缶をぶち込んで、あとはコトコト煮るだけ。
トマト缶に野菜も入ってるから、手軽に出来る。
つわけで手が空いたマイトガイ、タバコをくゆらしながらのんびりと酒を呑む。
「ああ、風が気持ちいいなぁ。ひとりは久しぶりだなぁ」と、久々のソロを満喫していると。
「お待ちしてますからねー!」
向こうから、さっきの男性の声が聞こえてきた。
笑い声もイチバン大きいし、やたら皆を仕切ってるから、「親分肌の性格」なんだろう。
苦笑と共に会釈を返しつつ、こちらはあくまで、ひとりを楽しむ。
と。
「呑みましょうよー! 五分だけ! ね? 五分だけっ! あそれ五分だけ!」
なにやら、「五分だけコール」が始まった。
もちろん、コールしてるのは彼(か)の男性ひとりだけ。
周りの人々は明らかに困惑している。
「ここで首を突っ込んでも、満足するのはあの人だけで、周りにはメイワクだろう」
そう判断したので、苦笑しながら手を上げて、「いやいや」と断りを入れる。
同時に、彼の親切さと言うか、ありがたメイワクさに、既視感(デジャヴュ)を覚えた。
なんだろうとしばらく考えて、その理由に思い当たる。
「ああ、なんだ。あの人、酔っ払った俺と同じタイプなんだ」
なんか面白くなって、また、小さく苦笑をもらすマイトガイ。
やがて、日が暮れてきた。
先ほどの集団が、ドラム缶で焚き火をはじめる。
ヴァーゴで小さい焚き火でもしようと思っていたんだが、これなら俺の焚き火は要らない。
遠くから炎を眺めつつ、夜風に吹かれて酒を呑む。
と、尿意を催したので、少し遠くにあるトイレまで歩いた。
で、用を済ませてから手を洗ってると、鏡に自分の顔が映る。
仕事帰りで来たから、頭が整髪料でべとべとだ。
「気持ち悪いなぁ」
と思ったときには、蛇口の下にドタマを突っ込んでいた。
ちょうど、石鹸がおいてあったので、それでゴシゴシと頭を洗う。
ロングツーリングのとき、「肩までの長髪をレモン石鹸で洗った」こともあるマイトガイ。
このくらいは何でもない。
頭を洗って気分もよくなり、意気揚々と戻ってくる、濡れ髪の44歳。
気分がよくなったところで、それじゃあ、またタープを張り替えよう。
せっかくかだから、「暗い中で張る練習」もしておくのだ。
地面に打った方のペグはそのまま、ポールを短くしつつ、位置を真ん中へ移動。
片側が地面に着き、反対側を開放した、わりとスタンダードな張り方。
少し風が強くなってきたので、その対策として地面につけたままにしてみたのだ。
横から見たところ。風は右から。つーか写真の方向を統一すればよかった(´・ω・`)
完全に陽が落ち、あたりは真っ暗闇に……
ならない。先ほどの集団は、絶好調に盛り上がっている。
と、その中から、「五分だけコール」のおじさんとは別の、若い男性がこちらへ近づいてきた。
なんだろう? 何度もタープを張りなおしてるから、気になったのかな?
「こんばんはー! あの、あそこのビューエルの方ですか?」
「ええ、そうです」
「実は僕ら、ツーリングチームなんですよ。よかったら一緒に呑みません?」
「ありがとう。でも、今日はひとりでやりたいんで、ごめんなさい」
えらい親切に声をかけていただいて、なんだか申し訳ないようだ。
が、今日はタープの試し張りに来たんだし、なにより、ソロを楽しみたい。
なので、丁重にお断りさせていただいた。ちなみに、声かけ下さったのはこの方々。
すげぇ真面目っぽいチームだから、俺なんかが首を突っ込まなくてよかった(・∀・)
さて、タープのテストも、最後のひと張り。
ポールの継ぎ手を二つ外し、約1メータの高さにして、タープの両端をペグダウン。
居住性は俺の持ってるワンタッチテントとどっこいの、ビバーグ仕様。
風にも強く、雨にも負けないだろう、最強のモードへ張り替え、中へもぐってみる。
何が驚いたって、たったこれだけの布、しかも横スカスカで天井だけなのに。
さっきまでもぐってたシュラフが、暑くてかぶってられないのだ。
風に対して直角方向だってのも利いてるんだろうが、ひとっつも寒くない。
適度に風が吹き抜けて、むしろ気持ちいいくらいだ。
しかも、両脇はスカスカなので、視界がよく、開放感さえ感じられる。
「いやー、タープすげぇな、ナメてたわ」
思わぬタープの実力に、驚きと喜びで、顔がにやけるマイトガイ。
宝焼酎のウーロン茶割りを、ぐびりと呑んでニヤリ(カッコよくありません)。
さて、そろそろ寝る準備をしようか。
上着を、「レンジャーロール」に巻いて枕を作り、ごろりと横になる。
心地よい風と、暖かいシュラフと、ほどよい酔いが、見る見る俺の意識を奪い。
やがて、眠りに落ちた。
と思ったら、耳栓を通しても聞こえてくる、サイレンの音。
なんぞ? と、いぶかしみつつ、起き上がって耳栓をとる。
とたんに聞こえてくる、女の叫び声。
「っせーな! 離せよ! あたしはくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」!」
携帯の時計を見ると、夜中の三時半。
もそもそとシュラフから出て、トイレに行きがてら、様子を見にゆく。
すると、ジャージで裸足のままの女が、駐車場に座り込んでいた。
叫び声を上げる彼女を取り囲んでいるのは、警察官とパトカー数台。
さらに、救急車まで呼ばれる始末。
どうやら、泥酔した女性に手を焼いた警察が、救急車で連れ去ろうとしてるのだろう。
「面白いけど、さすがにこの時間だと、やかましいな」
小さくつぶやいて苦笑をもらすと、シュラフにもぐりこんで、今度こそ眠りについた。
明けて翌朝、予報どおり天気は雨。
昨日の親切なツーリングチームも、ほとんど撤収している。
俺はと言えば、家は近いし予定もないから、時間的には充分、余裕がある。
なので、朝飯を作りながら、ゆっくりと撤収に取り掛かる。
昨日食ったチキンとベーコンのトマト煮へ、サトウのごはんを放り込み。
トマトリゾットを作ったら、さんまの塩焼き缶をおかずに、朝からもりもり食べる。
雨の降るキャンプ場を眺めながら、気分よく朝食をすませて。
ウーロン茶を飲んだら、さあ、それじゃ撤収しよう。
タープのいいところのひとつに、雨の撤収がしやすいことが挙げられる。
今回は高さが低いから、ちょっと姿勢が苦しいけど、それでも荷物を濡らさず撤収完了。
荷物を置いたまま、片方づつポールを外して、タープを片付ける。
アルミペグが、二本ほど曲がってしまった。
もちろん、すでにジュラルミンペグを購入済みだから、まったく問題ない(`・ω・´)
で、あとは最後に、「駐車場で張る練習」をする予定だったのだが。
雨に濡れる愛機を見たら、なんかもう帰りたくなったので。
荷物を積んで、帰り支度をする。
つーかホント、荷物が少ないっていいねー!
とまあ、最後の予定だけは、面倒でやらなかったが。
タープを張る練習と、その実力を知ることが出来た、実に有意義なソロキャンプだった。
もっとも、帰ってきてから思いついちゃった張り方もあるので、これはまた次回の課題だ。
次の土曜日、10月11日は秩父山賊宴会。
ソロの楽しさとは別の、腹筋や顔が痛くなるような面白さ。
バカな山賊どもとのバカな宴会をやってくる(・∀・)b
タープテスト/了