26th Crazy marmalade でっかいもん倶楽部 in 秩父(前編)
2007年 07月 01日
雨、降ったらヤダなぁなんて思いながら迎えた朝。
8:00ころmioちゃんからメールが入る。秩父方面、どうやら曇りながらも、道路は乾いているとの事。んで、掲示板を見てみても、他に参加希望者はないので、それじゃあ花園からだと140号が混むから、道の駅あしがくぼで待ち合わせようと言う話になった。
あわててサイトの日記にその旨を書く。
これがまた、後々問題になるのだが、それはまたあとで。
それじゃあサクサク出発しますか、と準備をしていると携帯電話が鳴る。
だれだ? と液晶画面を見てみると、このあいだ一緒に走れなかったRocketIII乗りのNEKOさんだ。エイプハンガー(天高くカチあがったハンドル:スカイハイバーとも言う)で峠をかっ飛ばす、ゴキゲンに変態なヒトだ。これはもしや、と期待しながら電話を受ける。
「もしもし?」
「あ、かみさん? 花園に行けばいいの?」
イェイ! NEKOさんの参加表明だ。
芦ヶ久保に集合場所を変更した旨を知らせ、向こうでの出会いを約束して、電話を切る。
俺のテンションは一気に上がってきた。なんたってRIIIにエイプハンガーで峠攻めだぞ? ゼッタイ面白いヒトに決まってる。ケタケタ笑いながら出発の準備をしていると、またも電話。見ると、marmalade spoon史上、最も変態な男。King of 変態のmoto君だ。
おぉ! moto君まで参加かっ! っと叫びながら電話を受ける。
「もしもし。どしたー?」
「あ、かみさん。そっち雨どうです? こっちはすげぇ降ってますよ」
「一応、大丈夫。mioちゃんに聞いたら、秩父の方は道路も乾いてるって」
「あ、そうなんですか。俺も出ようと思ったんですが雨だからやめました」
「そうか、残念だ」
「つーか、こっちが降ってるんだから、そっちも降りますよきっと。それじゃ」
イヤガラセか。
ま、motoくんも心配してかけてきてくれたんだろうが、久しぶりのmioちゃん+変態NEKOさんと会えるって言う事実の前には、雨など何の障害にもならない。ようやく準備を終えて、俺はM109Rにまたがると、16号を西へ走り出した。
16号を254あたりまで走り、そこから県道15号でショートカットして、国道299号を目指すのだが、ここで思いも寄らぬ障害が現れた。15号、狭いくせにアホほど混んでやがる。ま、冷静に考えれば秩父へのショートカットなんだから、あたりまえなんだが。
タンク上の時計と睨めっこしながら、間に合うかどうかを計算する。うん、このままじゃ無理っぽいから、かみの得意技、道路交通法の即時改正だ。カリフォルニア州法を適用しよう。ここらはサンタモニカの姉妹都市だからね(サンタモニカの姉妹都市は富士宮です)
カリフォルニア州法に基づいて、右側を遵法走行。
やっと299に出るとそれほど混んでない。
これならギリで間に合うかも。そう思った俺は、299をご機嫌にぶっ飛ばす。時々サンタモニカになりながら、着々と距離を稼いでいると、道路の真ん中に、センターポールが立ち始めた。国際警察機構ではなく、道路の真ん中に並んでる、ゴム製の棒だ。
こんなやつ。
流れを読みながら、前が開けたところで、反対車線まで使ってぶち抜くのを延々と繰り返すと言う苦行に甘んじていた俺に、さらにこんな、やっかいな障害があらわれたのだ。なんと言う運命のいたずら、なんと言う神様の試練。しかし俺の心はくじけない。
俺にはなすべき目的があるのだ。断固たる決意があるのだ。早いトコ、mioちゃんやNEKOさんが待ってる『道の駅あしがくぼ』に行かねばならないのだ。つわけで、あっというまにじれてきた俺は、当然のごとくセンターポールを縫い始めた。
ポール縫いを何度か繰り返してるうちに、慣れたのだろう。
カンペキに油断してしまった。
あ、ヤベと思ったときには、センターポールを思いっきりステップに引っ掛けていた。
くっそー! ひっかけちまったよ。
でもまぁ、ゴム製だから別に何の問題も……
大アリだ、こんチクショー!
リアブレーキが使用不能(哀しくて懐かしいフレーズだ)になってしまったので、バカっ飛ばしはあきらめて、ついでにガソリンを補給してから、ようやく芦ヶ久保に到着。きょろきょろと駐車場を見回していると、mioちゃんを発見。急いで単車を滑り込ませる。
降りて、NEKOさんにご挨拶。
mioちゃんのRIII。後ろのアロハのヒトがNEKOさん。
この日、たまたま偶然、この場所に来ていたNEKOさんの友人。
ビュエルって、やっぱソソるよねぇ。
んでまあ、ご挨拶もそこそこに、工具を引っ張り出して、ブレーキペダルを直す。
NEKOさんと、ビュエルさん、
「なんでそんな工具持ち歩いてるんだよー!」
と大笑いしてた。うむ、つかみはOKだな(むしろダメです)。
そのまま、道の駅でしばらくダベる。
噂のエイプハンガー。
これで峠なんて走れるんだろうか? と思いつつも、ガンガン攻め倒してる映像は何度も見てるから、やれるんだろうなとは思う。しかし、やれるんだろうと思いつつも、その絵が頭の中にちっとも浮かんでこない。つーか、エイプハンガーでワインディングて。
やがて、走ろうかという話になると、mioちゃんが様子のおかしい話を始めた。
「かみさん、NEKOさん、味は保障しないけど、面白い店行きます?」
や、ちょっと待てmioちゃん。普通は「おいしい店があるんですけど」って話になるんじゃねーの? なんだ『面白い』て。『味は保障しない』て。何をどう好意的に解釈しても、食堂の評価ではありえないと思うんだが。なにその面白選択肢。いらねーっつの。
で、件(くだん)の食堂まで、5分くらいかな? 走る。
到着した俺たちを迎えてくれたのは、あからさまに怪しげな店。
おい! なにかがおかしいぞ。
悦楽苑て。
食堂なのに『悦楽』と言うなまめかしい単語を前面に押し出した、食堂と言うよりは、100歩譲ってもラヴホテル的なステキネーミングのセンスもさることながら
店のオモテのショーケースに、戦車の模型はどうだろう?
食堂なんだから、最低限、食えるものの模型を入れておくべきだと、俺は心から思う。これは店頭ショーケースじゃなくて、『自宅のコレクションケースでやること』だと思うんだけどなぁ。わりとマジメに。
でも、中は普通に食堂。
クソ暑いさなかを走ってきたので、『生ビール』の文字を視界からはずすのが、実に至難の業だった。NEKOさんも、同じ思いだったに違いない。mioちゃんいなくて俺とNEKOさんだけだったら、間違いなく呑んでるね。んで、そのまま宴会して、食堂に宿泊。
あ、それはそれで幸せか。
店主が単車好きらしく、コーラをサービスしてくれた。
怪しいとか、おかしいとか、ラヴホテルとか言ってホントゴメン。そこでメシ喰ったりタバコ吸ったりしながら、お互いの仕事の話とか、単車の話をしたんだが、も、NEKOさんの話に笑いっぱなしのヒキツケ寸前。
一ヶ月くらい前、mioちゃんに「NEKOさんてどんなヒト?」って聞いたら、「ああ、助平なかみさんですよ」と聞いてて、さぞ世の中が生きにくいことだろうと心を痛めていたのだが、も、そんな甘いもんじゃなかった。むしろ俺がNEKOさんのスケールダウン版だ。
でも、俺のダチのアオちゃんみたいなエグいエロ話がなかったので、ちょっと安心した。
や、エロ話は嫌いじゃないけど、エグいのは苦手なんだよね。
ラーメンだのトンカツだの食ったら、さ~て、お次は三峰神社に行きますか。
地図を見ると、三峰神社へ行く途中にうねうねとした道が書いてある。
この縮尺でこれだけうねってるなら、風返しよりタイトなんじゃね? RIIIやM109Rで走っても、ストレス溜まるんじゃね? と思っていた俺は、三峰神社を詣でたあと、近場のワインディングに案内してもらおうと思っていた。
ところが、走り出してみると、なかなか面白いワインディング。しばらくmioちゃんの後ろを走ってたのだが、だんだん我慢できなくなって、短い直線でmioちゃんを抜くと、そのまま走り出した。しばらく走っていると、信号機が現れたので、停まって青になるのを待つ。
ところが、一向に青になる気配がない。
おかしいなと思ってよく見ると、狭い道を交互通行させるためだろう、信号機の横に『あとこのくらいで青になりますよー』的なカウンターがついていて、だいぶん待たされることを示している。なので、タバコをすいながら、横に停まったNEKOさんと喋った。
NEKOさんの
「後ろ走ってると、なんか飛んできて、顔に当たるよ? 砂かなぁ」
との言葉にNEKOさんとポジションを入れ替え。mioちゃん、NEKOさん、俺の順番で走る。中で二股になってるトンネルを抜けて橋を渡ると、地図で確認した三峰神社へのワインディングが現れた。mioちゃんが減速して『ほら、先に行けキチガイ』と俺らを前に出す。
当然、キチガイ二人は、ワインディングをぶっ飛ばし始めた。
NEKOさんが前で、俺がその後ろだ。さりげなく楽な後追いにポジショニングしてる俺の卑怯っぷり、もはや芸術的。いいんだよ、NEKOさんの走りが見たいんだから。細かいこと気にしちゃダメだ。
で、ぶっ飛ばし始めたんだが。
しばらく走るうち、俺はものすごく楽しくなってきた。
なぜって、NEKOさんの走りがとんでもねーからだ。
短い直線を加速して、エンブレを併用しつつ減速。サスが伸びるところで、ひょいっと荷重をインに移すと、そのまま流れるようにコーナーを抜けてゆくエイプハンガーのRocketIII。これはもう、目の前で見てみなくちゃ、すごさは絶対わからないだろう。
人種によっちゃ、軽くトラウマになりかねない。
後編に続く