行ってきたわけだが。

なんでこう

『ただ行って、何事もなく穏やかに談笑して、おとなしく帰ってくる』

ってフツーのことが、俺たちってのはできないんだろうね?



ま、聞かれても聞かれた方が困るつー話なワケだけれど。



つわけで、とりあえず初日から順番に、時系列で話を進めようか。

つってもほら、俺の脳みそだから。

その辺、適当なのは充分承知した上で、読んでくれるといいよ。

 

第一日目、土曜日の午後。

マルのニンジャは不安が残るってなことだったので、万が一のことも考えて、一緒に行くことにした。

本来なら、柏インターから三郷を抜けて首都高に乗るところだ。

が、東北道で来るマルと合流するために、外環から東北道と合流する川口パーキングエリアにて待つ。



十五分くらい待ったところで、そのマルがやってきた。やってくるなり、二人して



「俺、今回は工具もって来たぞ!」

「おう、俺もだ!」



とか自慢げに叫んでる段階で、すでに負け組な二人。



人生の半分以上単車にまたがってるにも拘らず、

「予定とか準備とかに類することが、未だロクにできないというか、何度苦労しても気にしない」

のだから困ったものだが、それはさておき。



『お天気大名神』の異名を持つ俺。

超絶晴れオトコの面目躍如、大方の予想を覆して、この日の天気はいっそクソ暑いくらいの晴れ。

その上、相手は久しぶりのマルのニンジャ

これでドタマのエンジンかからない方がおかしいわけで。



走り出す前から、俺のやる気はフル充電。

 




行きは、車検を通したばかりで調子の悪い(?)ニンジャをいじめながら、140~180くらいで流して走る。



途中の300Rが続くうねった高速を、

俺は世界のホンダの足回りのおかげで楽勝ムード、

マルは16インチアンチノーズダイブとか意味のわからない足回りのおかげで、

終始ビリビリしながら、いい感じで飛ばす。



と。



ばしゅん!

一台だけ、元気なゴルフが大外から俺らをぶち抜いていった。

が、マルは限界みたいだし、せっかく久しぶりに走れるのに、そうムキになってやりあうこともないかと、

比較的大人の態度な俺。



まぁ正確には、マルをいじめてる方が楽しいってだけの話だったんだが。

 




陽が大きく傾いてきたころ、由比あたり。

「ここまできて由比のパーキングに寄らないのは、東本先生に申し訳ないなぁ」

と思っていたら、マルも考えることは同じだったようで、ウインカをつけて由比のパーキングへ。



トイレ休憩して、タバコを一服つけながら由比の海を見る。



マルとここへ来ると、昔のいろんなことを思い出す。

なんとなく寂しいような、懐かしいような、琥珀色の時間。

たぶん、ほかの誰と来ても、こんな感じにはならないんだろう。



俺の聖地のひとつだ。

 




ここまで来れば、吉田は目の前。

吉田インターを降りて、三年前の記憶をたどりながらダチのけいこの店へ。

ちょっと早く着きすぎて、まだ準備も何もしてないつーもんで、駐車場で第三の参加者ナオミを待つ。



2,30分すると、電車参加のナオミが、最寄駅からタクシーで乗りつけたので、三人で近所のうなぎ屋へ。

ん、もとい。

決して近所ではない、うなぎ屋へ。



つーかね、マルとナオミの二人とも腹空かしてるもんだから、明らかに遠くの方にある看板の距離を測れないんだよね。ダメ人間だけに。どう見てみても、確実にヒトの歩く距離ではないのに。俺ひとり、『たりーからタクシー使おう』と提案したんだけど、見事に却下。

哀しい話である。






てくてくてくてく……



100キロマラソンの、残り10キロくらいの感じで、テレテレと歩くと、ようやくうなぎ屋へ。



そこでうなぎが焼けるのを待ちながら、骨せんべいでビールを飲む。

うまいうなぎ屋で待たされるのは当前だから、短気な俺やマルも、おとなしく待ちながら、杯を重ねる。

やがてやってきた馬鹿ウマのうなぎを食って、骨せんべいを三重へのお土産に買い込み。



いよいよ、今回『静岡へ寄ることになった原因』である、けいこの店へ。



 


掘りごたつ形式で、カーペット敷き、『いつでも寝るがいいよ』的なつくりの店構えは、三年前と変わらず。

出てきたダチのけいこも、三年前と変わったのは、髪型と彼氏くらいのもんで。

ま、余計なことは言うなって話だ、もう書いちゃったけど。



とにかくそこから、一気に飲んだくれ大会。

途中から、この店でダチになった「まーちゃん」も参加して、宴は絶好調。

さらに、けいこが



「いまから、昭和の酔っ払いが来るよ。折り詰めの寿司と立小便が、最高に似合う人



言うんで、期待して待っていると。

まさにそのとおりのご機嫌な『昭和の酔っ払い』がやってきて、俺らも大笑いしながら、最高に盛り上がった。

俺とマルなんぞ、あんまり楽しくて、あっという間にぶっつぶれて、とっとと寝ちまったくらいだ。



もっとも、後で聞いた話では、

マルは早寝しすぎて午前三時ころ間を覚まし、

そこで知り合った激烈酔っ払いの兄ちゃんに、マルのクセに説教くれたりしてたらしいんだが。



俺、その時分にはすでに爆睡(酔)してたから、よく知らない。



こうして、一日目は終わった。

 




二日目、日曜日。

俺が10時ころ眼を覚ますと、マルはすでにいない。

けいこに、「どこいったんだ?」と聞くと、「下で(けいこの店は二階にある)バイクいじってるよ」つーんで、

(んだよ、また何かやらかしたのか?)

と思いながら表に出てみると、まるで朝市のごとく駐車場に広がる、ニンジャのカウルやシート



なんでこの男は、旅先で早朝からバイクを分解しているんだろうね。

バカだからだね、きっと。

 

「あにやってんだ?」

「おう、メインジェット変えてる」

「持ってきたのか? バカだね、相変わらず」

「うるせー!」

 

昨日、酔っ払った俺に、

「足引っ張られてしょうがなかった」

なんていじめられたもんだから、今日リベンジするために、なんとしても完調にしようというんだろう。

浅はかな男だと嘲笑しながらふと見ると、はずした100番のメインジェットが四つ転がっている。

 

「で、何番つけてるんだ?」

「142」

「バカじゃねえの?」

 

一気に42番もあげるつーわけだ。

キャブレターをいじる人なら、はぁ? と声を上げっかしれない。



もっともマルは、単車人生のほとんどを、このキャブをいじるためにささげてきたような男だから、

マフラーがこれなら、このくらいってのが頭に入ってるわけで、まさに経験は何よりの宝。

本人も、したくてした経験じゃないだろうが。



車検用にマフラーに突っ込んであったバッフルをはずして準備完了。

アクセルをレーシングさせてみれば、確かにご近所迷惑な爆音が、スムーズに上まで吹けあがる。

さすがといえば、さすがだ。



褒めたくねーけど。


 



けいこの彼氏に車で先導してもらって、近くのインターから東名に乗る。

と、マルは早速、調子見がてら、ニンジャで全開走行。

うん、調子を見るのに全開走行とか、意味がわからないだろうけど、それがマルなのだ。



よい子はもちろん、まねしちゃ駄目だ(よい子はココ見てません)。



フォ~~ン! クォ~~~ン!

四発の官能的な排気音を響かせながら、マルのニンジャが加速してゆく。

当然、俺も黙ってられるわけがない。



アクセルをぶち開けて、びりびりする風切音を感じながら、マルと一緒にクルマの群れをパスしてゆく。

Vツインの鼓動が消え、ホンダらしいスムーズな回転になり。

気持ちいいなぁ……ん、でもなんか忘れてるような…………あ。



インジケータランプのオレンジのやつが、煌々と照ってやがる。



そう、車でおなじみのガソリン警告灯、通称『貧乏ランプ』というやつだ。

本当なら、高速に乗る前に、ガソリンを入れておかなくちゃならなかったんだが、すっかり忘れてた。

つわけで俺はアクセルを絞り、燃費重視の走行に入る。



と。

昨日いじめられた男(栃木最強のバカ)が、その復讐をするべく、俺を待っていた。

俺が追いつくと、フォ~~ン! と消える。しばらくすると姿が見えてきて、またフォ~~ン!



俺も三十五歳になったんだ。

もう、大人なんだ。今ここでやるべきこととか、やっちゃいけないこととか、俺だってもう、よくわかってる。

これ以上、ヒト様にあきれられてしまうような、考えなしの行動をとるわけにはいかフォ~~ン!



このヤロウ!



結局、全開。






アクセルを開けてぶっ飛ばし、しばらくして、「いかん、いかん」と低燃費走行。

するとフォ~ン! てめ、この野郎! 全開走行。

これの繰り返し。



「ガソリン、さすがにヤバイよなぁ」



思っていると、緑看板(高速の案内板)に、『浜名湖PA』の文字。

やった、俺は賭けに勝った

マルにいじめられながらも、ここまでがんばって俺はプボボボボボォぷすん。




 

なぁ……

あとたった二キロじゃないか!




 

泣いたって叫んだって、単車には関係なし。

走ってきた勢いで一キロくらい進むも、ついに完全停車。

悪天候の合間、太陽が気まぐれにくれた輝くような陽光が、キラキラと水面に反射する中。

 

押したね。

乾燥重量320キログラムの鉄の塊を、ひたすら。

 

気付いたマルが、パーキング入り口に単車を停めて様子を見に来たころには、

血糖値の下がった真っ青な顔を汗でびっしょりぬらした俺、ものすごく素直な人間になってた。

マルがからかう言葉に、やり返す余裕さえない。

 

「手伝ってほしいか?」

「手伝ってください~~~!!!」

「この手が欲しいか?」

「欲しいですぅ~~~!」

 

さすがに、こんな状態の俺をからかっても面白くなかったのだろう。

マルも素直に手伝ってくれて、クソ重たいVTXを、どうにかこうにか浜名湖SAに運びこみ、ようやく給油。

んで、これから訪れる三重のダチおーがに電話した後、



キーをひねってセルを押すと。

きゅるるるるばるん!

一発でエンジンが眼を覚ました。いやー、ガソリンって、大事だねぇ。

 

「マル、マル! エンジンかかったぞ! なあ、ガソリンって素敵だな?」

「知るか、バカ」



ツッコまれつつ、マルの買ってきてくれたコーヒーを飲んで。

ようやく本来の調子を取り戻した俺たち(あなただけです)は、

東名高速を、ダチのおーがが待つ、三重に向かって走り出した。



俺のガソリンは満タン。

マルのキャブは、セッティングばっちり。

ようやく、役者はそろった。



あとはすべてを開放するだけだ






東名を一気に下ると、豊田ジャンクションから、新しくできたという伊勢湾岸自動車道へ。

おーがから「天気が悪いと横風すごいけど、よければ景色がいいし、ぜんぜん速い」と聞いていた道路だ。



昨晩、マルにそれを伝えたら、

「なにがー! そんないい道路なら、天気がよかろうが悪かろうが、そっちから行くしかねーべ!」

と、相変わらずアタマの悪い返事が返ってきていたので、伊勢湾岸自動車道行きは決まっていた。



ジャンクションに入るなり、迷うことなく伊勢湾岸へ向かう。
 


(後編に続く)
[PR]
# by noreturnrydeen | 2005-10-10 18:03 | でっかいもん倶楽部 | Trackback
 
 
栃木のマル家に集合し、朝の7時半頃出発。

予定では、ワインディングを回って昼ごろ赤城山麓に到着し、温泉に入って昼飯を食い、午後は赤城山を走り回るはずだった。が、俺らの予定なんぞあってなきが如し。 ゆっくり走るはずの50号をぶっ飛ばし、ワンディングをすっ飛ばし、温泉に着いたのが9時。

3時間早い段階で、予定外とか、そう言うレヴェルじゃない。

予定って言葉の意味を、三人とももう一度学びなおすべきだろう。



温泉が10時からだと言うことで、それまで赤城山を走ることにする。

 

三人で、一定のリズムを刻みながら、コーナーを駆け抜けてゆく。

立ち上がりで 、2サイクルのバァーンという排気音が、美しい三重奏を奏でる。

気持ちいい。



軽く走り終わって、ちょっと一息入れていると、Zがなにやら取り出してきた。

デジカメつーか、ビデオつーか、メモリーカードで短い動画を撮影できるヤツだ。



「走ってるところ、撮りましょう」



今度は俺が先頭で、マル、Zの順に走り出す。

この辺の映像は、Zがアップするだろうか、そっちで確認してもらおうか。

ここらでは特にトラブルもなく。

マルのフロントブレーキの手ごたえがおかしいくらいで、至って順調にワインディングを楽しむ。






時間になったので、、温泉に入って十割そばを食った。
e0086244_1822521.jpg

もちろん、俺はデフォルトでそば二人前。

飯を食いながら、このアトの予定をどうするかつー話になるわけだが、おおまかに二つの案が出た。



1)このまま赤城の峠をくるくるローリングして、夕方くらいにマルの家に帰る。

2)北上して金精峠から福島の方まで足を伸ばす。



「どうしようか?」

「やっぱ、おなかいっぱいコースでしょう?」



ほとんど悩むまもなく、北上して福島を掠めると言う、2)の『おなかいっぱいコース』に決定。

観光とかそう言うのではまずありえない、ちょっと様子のおかしいコース。

おなかいっぱいつーか、『頭のねじが緩んでるコース』の方が、名前としては妥当かもしれない。



午後のコースも決まり、ここで、仮眠をとることにした。



二時間ほど眠り、当然のごとく寝過ごす勢いの俺らを、Zが起こしてくれる。

寝ぼけた頭と、だるい身体を引きずって、とりあえずガソリンを入れてから、近くのコンビニへ。

そこでアイスクリームで脳に糖分を補給してやると、さあ、走ろうかと言う気合がみなぎってくる。

もちろん、俺はアイス二個食った。

 

 


午後に入っても、Zの走りに影は見えない。

特に左のブラインドコーナーの速さなんかは、目を見張るものがある。見えないコーナーに、ただ闇雲に突っ込んでいるんじゃないことは、センターをオーバーしてきた車がブランドの向こうから飛び出してきたときも、危なげなくかわしてるところを見ればわかる。

むしろ後ろで見てた、俺とかマルのほうがびっくりして、頭に来たくらいだ。

「さっきのクルマですか? ああ、別に大丈夫でしたよ。むしろ、これでかみ先生が怒って、Uターンしてあのクルマを追いかけるんじゃないかって、そっちの方が心配でした」

体力の残ってる午前中だったら、追いかけてただろうね。



バインバインと2サイクルの音をさせながら、三台は山を駆け上り、駆け下った。

今回は、俺もマルも、Zにおいていかれるほど離されることもなく。

一人じゃ無理だろうハイアベレージで走り続ける。



コーナリングが、だんだんカッチリ決まりだす。

身体は疲れているんだけど、気持ちの方は楽しくて楽しくて仕方ない。

いつの間にかでっかい単車で走ってたけれど、そういえば俺の単車の原点ってのはここだったんだと実感し、この世界を思い出させてくれたZに心から感謝する。もっとも当の本人はひらりひらりと軽やかに身を翻し、それを見たこちらも『もっと 気持ちよく』なんてアセり出し。

結局、感謝どころの騒ぎじゃない。

 

 


そのうち、Zの動きがおかしくなる。

右足をかくかくと踏み込んでいるのは、どうやらリアブレーキが利かなくなったのか。



路肩に止めて様子を見てみると、やっぱりそうだ。

Zの走り方は、リアブレーキを多用してコーナリング姿勢を安定させる。

だから、どうしてもリアブレーキが過熱しやすい のだ。



ブレーキが冷えて、手ごたえが戻るまでの間、しばし休憩。

と、マルが自分のバイクのステムナットをいじっている。

その動きが、明らかにおかしい。Zが思わず大声を上げる。



「マルさん! 今、ステムナットが動いてませんでした?

「うん、なんか緩んでる」



手で回せる段階で、『緩んでる』とかのレベルじゃねーわけで。

そう、つまり、マルはまたもや『増し締め』を忘れたのだ。



ステムナットの下には、さらにステムを締め付ける薄い板ナットが入っているはず。

だから、いきなり外れたりすることはないだろう。

が、こんなところを閉め忘れてる整備の単車は、早晩、大破してもおかしくない。



いや、マジで。




Zのリアがフェードしたのも、そりゃたいがいキチガイ沙汰なんだが、マルの前では影が薄くなる。

ここまでして話題を独占するのは、きっとヤツのトラブルは俺の領域と言う自負だろう。

これからもトラブル係としてがんばって欲しいものである。



そんな係、俺もZもごめんだから。

 

「最低、工具くらいは用意しましょう」



と言うZのお言葉に二人してうなだれた後、Zのブレーキもどうやら冷えたので、またもや走り出す。



さすがに三人とも疲れてきたところに持ってきて渋滞が始まり。

Zも俺もマルも、半切れで渋滞の車をパスしてゆく。

が、車の列は延々と途切れることを知らない。



と、いきなりZが単車を路肩に寄せる。

「いま、あそこに足湯がありましたよ。行って足の疲れを取りましょう」

この分じゃ、車の列も切れそうにないし、少し休憩するのもいいだろうと言うことで、足湯のある場所へ。



しかし、行って見てみると、足湯の場所にはお湯が見当たらない。



いや、少しは流れているんだが、栓を抜いてあるので 足湯ってほどたまってないのだ。

むしろ、足のウラ湯。

受付に行ってみると、今日の足湯はもう終わりと言うことらしい。



あきらめきれないZは、それでも靴下を脱いで足のウラ湯をやっている。

「気持ちいいですよ? 疲れが取れますよ」

言うんだが、俺は身体はともかくテンションが上がっているので、割合元気だから遠慮した。



マルはどうしようかなぁと悩んでいる。

相当疲れてはいるはずだが、なかなか靴を脱ごうとしない。

Zはどうしたんですか? なんて言ってたが、俺にはすぐにピンと来た。



クソマル、靴下を脱ぐのが、めんどくさいんだ。

悩むくらいなら、さっさと脱いでつけりゃいいと思うんだが。

これもまた、ダメ人間の面目躍如と言ったところだろうか。



合理性とか、マルに求めちゃいけない。無論、俺にも。



 


ここで、マルの彼女に、昼間やってたモトGP(バイクのレース)が録画できたか確認する。

すると、「無事に撮れている」と言うことなので、

高速に乗ってマルの家まで行き、そこでビデオを見ようと言うことになった。



疲れた身体でクルマの横をすり抜ける。

左側が斜めに削れて深い側溝になっているような道を、マルはがんがん進んでゆく。

俺も、かつては環七の風と(自分に)呼ばれた自称すり抜け王だから、負けっかとマルの後ろを追う。



がんばりどころが間違ってるのは、自覚しているから放っておくように。



ちなみにZは早々にクルマと一緒に走っていた。

「俺、昔から一本橋が苦手なんですよ」

Z、そう言う問題でもないから。

 

 


通称『地獄の一本橋』を終えて、高速に乗ると、さすがにちっちゃいもん倶楽部。

高速を走るのは、一番きつい。

いや、Zみたいに自制して100キロ巡航すれば何てことないんだろう。



が、いかんせん 俺もマルも峠と同じくらい、高速好きの比較的アレな人類だ。



すっかり日が落ちた暗い高速を、車の脇を抜けながら、マシンの限界まで回す。

SDRなんて、もともとそう言う用途のバイクじゃないから、140くらいから足元は怪しくなってくる。

エンジンは吹けきってるのにトルク不足でメーターの針は上がっていかない



俺はもう、ストレスの塊。



と。



バァーン!

横を抜けるRZ。もちろん、マルだ。

ヤロウ、これ見よがしにぶち抜いていきやがった。



が、悔しがってもマシンの限界が超えられるわけもなく。

結局、高速の出口まで、エンジンは吹け切ったままたどり着いてしまった。

最後の最後まで、苦労をかけるねぇ。



つーかブローしなくてよかったねぇ、俺。

 




マルの家に帰り、近くの居酒屋で晩飯を食う。

下戸のZはコーラ、俺とマルはもちろん、生ビール。

この段階で、マルの家にお泊り決定。



居酒屋を早々に引き上げ、マルの家でモトGPを見ながら、今日の反省会。

というか、思ったことをいろいろと話す。

こんな時間が、俺はいっとう好きだ。



レースの話、ツーリングの話、走り方、あったことなんかを話しながら。

目はプロライダーのキチガイじみた走りに釘付け。



と。



Zが彼女と電話で話している。

聞くともなくそのやり取りを聞いていると。



「うん、コレ見たら帰る」



え? 帰る? 今から?

俺は前泊して今日、マルんちから出発だったけど、君はアレだよね?

今朝、100キロくらい走って、ここまで来たんだよね?

そのまま俺らと一緒に400キロ近く走ってきたんだよね?

そのうち250キロくらいは、ずっとワインディングだったの覚えてるよね?



その400キロ走ったマシンが、250の2stだったコト、もしかして覚えてないの?

それで、これから走って帰るっていうの?

俺はもう、勝手にマルの短パンに履き替えて、くつろぎモードなのに?



体力つーより、その精神が強すぎる。

もう、笑うしかない俺とマルに手を振ると、Zは排気音を響かせて、夜の闇に消えていった。

俺とマルは顔を見あわせて、お互いニヤけてるのを確認する。

やつの気持ちは、手に取るようにわかった。俺も同じ気持ちだからだ。



「あいつ、最高だな」

「ああ、最高に面白れぇ」



冷静沈着、典型的理系。

俺たちとは毛色が違っている「ハズ」なのに、なぜか俺たちと同じ匂いを持つ男。

クールアイス・Z。

その正体は、単車が好きで、走ることが好きで、合計400キロ、そのうち半分以上がワインディングと言う、ハードを通り越してめちゃめちゃなツーリングを一日で走破し、なおかつ行き帰り100キロづつ走ってゆく、俺たちと同じ、いや、それ以上の単車バカだった。

 




片手を上げて颯爽と帰ってゆくZの後姿を見送った俺たちは。

マルの部屋に戻って、缶ビールのフタを開けた。

マルの顔は、疲れと、それ以上の喜びで上気している。

もちろん、俺も同じ顔をしてたんだろう。



マルがニコニコしながら杯を上げ「Zに」とつぶやく。



俺たちは、俺たちの最高にバカなダチについて、夜が更けるまで語り合った。
[PR]
# by noreturnrydeen | 2005-09-20 18:20 | ちっちゃいもん倶楽部 | Trackback
 
 
土曜日、午前中の診察がハネてから、高速に乗って栃木に向かった。

SDRは2st単気筒200ccだから、もちろん高速には乗れるんだけど、やっぱ、苦手だ。

ポジションはきついし、140キロくらいから、振動が厳しくて、開けきれない。



高速バカ開け大好きの俺としては、ちびっと不満な部分だ。



マルの家についてみると、すでに来ていたZとふたりでマルのRZRをいじってる。

e0086244_1814441.jpg

「おめ、もう直ったって言ってたじゃねえか。なんでタンクどころかキャブまで外れてるんだ!」

「直ったんだけど、一応最終チェックだよ。Zに見てもらおうと思って」



これが、結果的には大正解。

むしろ最初にチェックすべきところからすでにダメだって言うのは、いったいどういうことなんだ?

どのクチが直ったとか言ってンだか。



とは言え、マルだの俺のいじった単車なんてのは、だいたいこんなもんだ。

ま、いいんだろうね、生きてンだから。

 




夏の午後、クソ暑い中、三人でRZRの修理大会。

つーか、主に直してたのはZで、俺とマルはそのお手伝いだ。

むしろジャマとも言う。



何とか日のあるうちに修理できたっぽいので、 さっそく試運転。

マルがまたがり、エンジンをかけ、クラッチを握って一速にがちゃん。

ボスン。

ニュートラに戻して、エンジンをかけ、クラッチを握って、一速にがちゃん。

ボスン。

何度やってもエンジンストール。



クラッチが切れてないのか、ギヤか、はたまた他の要因か。

絶望的な表情で見詰め合う三人。

誰かが、大きなため息と供に「……開けるか……」とつぶやく。

肩を落とし つつRZRを木に立てかけて、クラッチカバーを開け始めたのだが、ここで巨大な壁が立ちはだかる。



いや、マシンのトラブルなら、2サイクルマイスターZRZという、頼もしい先生がいるから問題ないのだが(そう言う他力本願を、まず改めましょう)、そのZさえ悲鳴を上げる、 信じられないほど強力な敵が、うなりを上げてい俺たちの前に現れたのだ。

一般的に「蚊」と呼ばれる、最強のモンスターが。



ボッコボコ食われて、俺とZは悲鳴を上げる。

マルが平気な顔しているのが、余計に気に障る。

こういうとき普通の人間は、食われる→痒い→キッー!なのだけど、

マルは、食われる→なんか痒い→けどしょうがないからいいや 、つー無敵のコンボで対応している。



こういうのは、ストレスのない者勝ち。

バカには勝てないとも言う。

 
 



んで、Zが蚊取り線香を買いに行っている間にクラッチを外し。

帰ってきたZの指導のもと、固着したクラッチを、一枚一枚丹念に外す。

もちろん、マルが。俺は見てた。

痒いし、暑いし、酒飲みたいしで、ヒトのクラッチなんぞ知ったことか的な精神状態だったからね。



でまあ、とりあえずクラッチが切れるところまでで、お開き。

俺の強力な申し出に沿って、近所の居酒屋へ繰り出す。

ビール日本酒と続けるうち、いい調子になってきた。



Zは酒も飲まずに、2stとロータリーを考えた人間は 天才だ、と力説してる。

マルは真っ赤な顔をしながら、頭ン中はRZRのことでいっぱいの様子。

俺はもちろん、日本酒をくいくい飲(や)りながら、大声でわめき散らす。



そんな調子でマルん家に帰ってからも、興奮冷めやらず、

三重のダチおーがに電話して「今から来い」とか無茶なことを言い出したり。

俺はもう、このへんからベロベロで記憶が怪しい。



まぁ、いつものコトといえばいつものことなのだが。

反省? しねーっつの。

 




で、二日酔いの朝、起きてみるとマルとZがいない。

「どこいったんだべ」思いながら、朝飯を買って帰ってくると。

どうやらふたりは、エンジンオイルを買いに行ってた模様。

俺が気持ちよく酔っ払って寝てる間に、朝っぱらからRZRを直してたようだ。



3バカ揃い踏みしたところで、当初の目的、峠に向かって出発。

e0086244_18175086.jpg

こっから先のトラブルつーかいろいろあった面白いネタは、マルかZが書くだろう。



俺は感想を書くにとどめる。

e0086244_18181818.jpg

んでその、感想なんだが……いっやー、Z、速ぇや。

多少なりとも気合の入ったライディングを見るのは初めてだったんだけど。

ちょっと気を抜いたり下りが続くと、あっという間に見えなくなる。



速い上に危なげがない。

同じ速度で突っ込むと、明らかに俺にはオーバーペース。

Zは「アップハンだから、先が見やすくて飛ばせるんですよ」 と謙遜してた。



ツーか俺、不甲斐なさ過ぎ。

後半になってくるほど身体はしんどいわ、ブレーキは握れなくなるわ。

もう惨惨たるモノだった。

 




日焼けで体力削られ、精神的にもへこまされて。

とどめに、マルのRZ借りたら、これだ。

e0086244_18184464.jpg

ぴゅーと吹くなにやら


信じられねーよ、まったく。

帰りの高速では、風にあおられ心臓が飛び出しそうになりながら。

それでも悔しいやら情けないやらで、半分切れて、140キロ巡航で走り続ける。

強風下のSDRには 、限界走行といっていいだろう。



そんなこんなで、予定をはるかに超えてえらい疲れて帰ってきた。

e0086244_1820963.jpg

で、これを書いてるんだけど。

 

なんかね。

もう、次、走りに行きたいんだよね。

疲れ果ててるのに、今すぐにでも単車に乗りたい。



この手の病は、一生治らないんだろうなぁ……

 
[PR]
# by noreturnrydeen | 2005-08-07 18:13 | ちっちゃいもん倶楽部 | Trackback

アーカイブ


by かみ