仕事に行くより早起きして、川口PAへ向かう。

常磐道をすっ飛ばしてると、赤灯が回っていた。ぶっ千切れない車種じゃないんだが、朝一番からパンダとモメることもあるまいと、おとなしくその後を付いて走り、外環で別れた後は、川口まで一気にぶっ飛ばす。 到着すると、キチガイマルはすでに来てた。
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俺の顔を見るなり、にやりと笑って

「新記録だ。20分で来た」

佐野から? 栃木県警は何やってるんだ? まったく。

コーヒーとタバコで一服入れたら、さて、今日はどこへ行こうか? しばらく相談して、第三京浜から西湘バイパスを抜けて箱根を目指すことに。ターンパイクを上がってから、その先を決めよう。 適当なのは、俺とマルのデフォルトだからね。

 

でまあ、走り出したわけだが。
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箱根に向う道すがら、どこもかしこも単車が多い。どいつもこいつも、バカだねぇ。

うれしくなって、マルの顔を見ると、やつもやっぱりニヤけながら、

「さすがに、この辺はバカばっかりだな」

などとほざいてやがる。お前がその筆頭みたいなもんだけどな。

 
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程よく休憩しながら、平均180前後だろうか、ぶっ飛ばし。

 

ターンパイクへ到着。
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ところが、俺もマルもタンクが半分以下。

一回Uターンして、下の国道1号沿いにあるスタンドで給油し、もう一度戻ってくると、今度こそお待ちかねのターンパイク 。ブラバはチェーンが死に掛けてるわ、Rocketはリアブレーキが死んでるわ、どっちも本調子ってワケじゃなかったが、それでもやっぱりこれがイチバン好き。

お調子こいてガンガン上っていく。
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夏にZがマダラになった、伝説の大観山パーキングで休憩。

と、タバコの煙がやけに多いような……

じゃねくてマルちゃん! 息が白いんだよ、ホラ。日が照って暖かい気がしても、冬なんだねぇ……ホント、こんな日に単車乗ってるだけでバカなのに、なんで山の上に来ちゃったんだろうね、俺ら。寒いに決まってるじゃん。マジ、少しは考えようよ、お互い。

ここで休憩しながら、伊豆スカを走ろうという話になる。

だからさ、峠が好きなのはわかるけど、どうして山の中へ行くんだ?

なんて冷静に突っ込めるのは、今現在、すでに帰ってきてるからで、このときはもう、身体中がワインディングモード。逆に言えば、ここから行ける道の選択肢が芦スカか伊豆スカしかない状態だったのだ。

 


そのままご機嫌に、伊豆スカへ入り、ぶっ飛ばし始めると。

マ、マルちゃん! ねえ、なんか変だよ?

 

道が黒くて光ってるよ?

 

ま、これだけ寒きゃ、日が照ってようが何だろうが、日陰はまだ凍ってるわけで 、走りながら二人、恐る恐る黒いところにブーツを当ててみると、黒くないところよりも明らかにミューが減少している。つーか、つるつる。さすがに、こんなところでフルバンクはできない。

こりゃ、気をつけてゆっくり走らなくちゃなぁ……って、おい! マルゾー!

待て待て待て! いや、わかるよ、わかる。

お前が考えてることっていうか、言いたいことはよくわかる。

確かにそうだ。

車が通った跡なら凍ってないってのは、理論的には間違ってない

だからって、2~30センチ幅のそんなところを、きれいにトレースしてぶっ飛ばすなバカ。

そりゃ、お前のブラバはいいだろうよ。

でも俺のRocketIIIはな、50Rとかタイトなコーナーでラインを選ぶような贅沢はできねーんだよ! アウトインアウトでぎりぎりいっぱい使わなくちゃ曲がれねーんだこのキチ○イ! そのままつっとって、山の中に埋まっちまえ! そして来年、ふきのとうと一緒に顔を出しやがれ!

ま、ゆっくり走ればいいだけの話、なんだがね。

 

んでも、マルゾーだってヒトの子、やっぱり凍った道は怖かったようで、結局、伊豆スカの途中にある休憩所(展望台?)でギブアップ。予定通り冷川(ひえかわ)ICで降り たら、あとは無茶しないで、伊東でメシ食って帰ろうという話になった。
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伊豆スカの休憩所。余裕かましてるけど、チ○コは縮んでる俺。

 
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同じく、マル。楽勝そうな顔してるけど、結構へこんでる。

それでもせっかく来たのに悔しいから、残りの伊豆スカも結構なペースで飛ばす。もちろん、凍ってそうなところは極低速に落としつつ。ある意味、 凍結路での危険回避のいい練習になった……のか?(その前に凍った道を走るのはやめましょう)。

 
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冷川で降り、135号を北上して伊東へ。

 
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途中のレストランで、遅めの昼食をとる。

 

2:00過ぎてたのに、結構な入りだった。
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カッコつけてもよく見ると、『玉の輿かと思ったら、とんだところに嫁に来ちゃったわ』的な精神疲労が隠しきれず、昔より太ったくせに、やつれてるマル。ま、 疲労具合は俺も似たようなもんだったんだけど。昔より太ったのもな。ほっとけ。

 
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マルゾーが干物定食で、俺が和定食。

頼んでから(正確には喰い終わってから)知ったんだが、ここ、メインは干物屋だった。だから、マルゾーの選択は大正解。ちょっと分けてもらったんだけど、うまい干物だった。つーか、そういう大事なことは先に教えろよ、クソマル。

「あ? いや、なんとなくカンで頼んだんだよ」

強い守護霊がついてるなぁ、おまえ。

悔しいから、ご飯お代わりしてやった。

 

んで、バカ話しながらメシくってると、キャスタからメールが来る。

「今ごろ、伊豆ですかー?」

「伊豆スカが凍ってて、へこんでるところだよ」

「椿(つばき)ラインは凍ってないですよ」

なんだ、あいつ椿にいるのか? んじゃ、帰るのはやめて、椿に行くべ。

と、盛り上がりながら彼に電話を入れると 。

「いや、椿には居ません。伊豆スカが凍ってても、標高の低い椿あたりは凍ってないんです」と速攻で返事が来る。あ、そうか。ヤツは、ほぼ地元だったっけ。ま、居ないんじゃしょうがないとテンション下がった俺らは、そのまま帰ることに決めて、表に出た。

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すると吹きすさぶ伊豆の海風が、冷たい手で俺とマルをなでる。

瞬間、俺を襲う衝撃。

「おぇ」

そう、タバコ飲みなら知ってるだろう、アレだ。突然、寒いところに出るとえずくってヤツだ。俺は、なみだ目になりながら、愛機へ向かって歩く。すると歩く衝撃で、さらに気持ち悪くなってきた。 哀しい悪循環。よろよろとRIIIへすがりつき。

「寒すぎて気持ち悪いよマルちゃん。つーかメシ喰いすぎたよ」

するとマルもブラバにまたがって、悲しそうな顔で俺を見た。

「かみ、告白することがある。腹がつかえて前傾が非常に苦しい

ヒトとしてかなり残念なふたりは、こうして伊東をあとにした。

 


あとは、135号をひたすら北上して、小田原厚木道路から東名に乗って帰るだけ。

そう、たったそれだけのことだったのだが、俺たちの前に巨大な壁が立ちはだかった。

いや、喰いすぎたとかじゃなくて。あ、いや、喰いすぎたのも確かに巨大な壁だったけど。

その壁の名は、渋滞。

首都高の渋滞なら、俺的にはむしろ「いらっしゃいませ」なんだが、いかんせん「三ケタ国道のフタのない側溝の脇をすり抜ける類(たぐい)」の渋滞は、今のRocketIIIに とって非常に疲れる大仕事になる。姿勢制御に使うリアブレーキが死んでるから。

「だったらすり抜けなきゃいいのに」

的な意見は、いっそ華麗に却下。



一方、マルゾーはすりぬけがあんまし好きじゃない。

つまりこちらも、神経を使ってとっても疲れる状態なのだが、ようやく小田厚に乗っても渋滞っぷりはひどくなるばかり。結局、車が流れ出したのは、大磯あたりから。大磯PAで休憩入れたときには、ヘトヘトのボロボロ状態のふたり。
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「かみぃ……おめ、東名が混んでたら、先に行っていいぞ」

「ん、わかった」

すり抜けはリズムが違うとすごく疲れるので、お互い余計な気を使わなくてすむようにという、マルの配慮。俺もうなずいて事故らないことだけ考えて走ることにする。 俺たちが走るときは、だいたいいつもこんな感じだ。

気を使って一緒に走っても意味がないからね。

 

海老名で給油し、一気に東名を抜けて、東京料金所。

少し待ってると、マルがやってきた。料金を払ったら、この先は別々だ。首都高すり抜け大好きで、気合入れて抜けてった方が逆に集中力の切れない俺と、渋滞すり抜け大嫌いのマルゾーでは、走るリズムがまったく違う。

なので、本日のクレイジーマーマレードでっかいもん倶楽部は、ここで終了。

マルとふたりだったのでアベレージスピードが高く、えらく疲れたが、楽しい走り初めだった。

 

加速してゆく単車や車を眺めながら、料金所を出たところで一服&ダベる。

俺たちの吐き出した煙は、暮れ始めた冬の空に消えた。

さて、最後まで気を抜かないで帰ろうか。

 

んじゃ、またな。

 
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# by noreturnrydeen | 2007-01-04 21:33 | でっかいもん倶楽部 | Trackback
昨晩、雨が降らなかったので、ちと寒いがZとふたり筑波に行ってきた。

仕事が終わると同時に、整骨院ウラにZがやってくる。そのまま単車をまたいで、向かうは筑波山。途中でガソリンを入れたときくらいから、だんだんと寒さが身にしみてくる。こりゃ、おとといとはワケが違いそうだ。ふたりで突っ走れば、筑波山はあっという間だ。
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いつものコンビニで休憩入れたら、さて、あがりますか。



年末が関係してるかは知らないが、なにやらいつもより車が多いようだ。

混んでるところを、車と一緒に、あるいは追い越しかけながら、さくさく昇って風返し峠に入り、そのまま一本目に突入するスキモノふたり。だが、いくらバンク角が増えたとはいえ、さすがに風返しはタイトで厳しい。


二三本走ったところで、ビデオを装着するために停まり、ビートルバッグから取り出してセットする。が、この間の雨でイカれたらしく、うんともすんとも言わない。仕方なく、ビデオなしで走り出した。ところが、やはり風返しはRIII向きではないようだ(あたりまえです)。

かなり四苦八苦しながら攻めてるうちに……あ、やっぱりきた。

案の定、リアブレーキがスカスカになった。




休憩所に止めて、リアを確認してみると。

うん、なんか暖かいよ母さん。

リアのキャリパとロータの放熱でそのあたり一帯が暖かいとか、ちょっと意味がわからない。なにこの冬に重宝しそうなギミック。本気で要らねぇつの。ためしに買ってきたお茶を吹き付けてみると、軽くエキパイくらいの勢いで、チュン! と蒸発しくさる。

Zと検証した結果。

やはり例の赤城でのくだりから、シールが死んでてロールバックしない=引きずりっぱなしなんだろうということに落ち着いた。そりゃ、オイル 換えようが何しようが効果あるわけないって話だ。むしろ換えなきゃいけないのは乗り手。
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ブレーキを冷やしたころ、時間は午後3時過ぎ。

程なく寒くなってくるだろうということで、パープルを往復してから帰ろう。もっとも、いくら手ごたえが回復したとはいえ、根本的な治療ができたわけじゃない 。RocketIIIがどこまで走れるかは疑問だが、せっかくきたんだし、攻め納めにがんばって走ってみる。

バンク角が増えた分は、リアのスカスカでダメな方に相殺されたか。

ZのTZR、前よりは追えるが、しかしじりじりと離され、やがて見えなくなる。

さすがに、こないだのGSX-Rのようなわけには行かない。

リアが踏めりゃ、もう少しはいけるんだろうが、どっちにしても、まだまだ、戦闘力不足だ。
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パープルくだり際の駐車場にて。

今まで見たことないくらい、四輪が多かった。

しばらくダベったあと走り出し、帰る前に頂上の休憩所に。
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日が短い分、どうしても走り足りない気はするが。

本日のクイレジーマーマレードは、いや、今年のクレイジーマーマはこれにて。来年に向けて、走りの課題もみえたし、リアブレーキなど、やらなきゃいけないこともわかった。単車乗り換えれば済んじゃう話ばかりなのだが、そこは惚れて乗ってるRocketIII。

こいつで速くなきゃ、だめなんだ。

マフラー入れて、セッティング出して、リアブレーキオーバーホールして。なんだかんだ、やることはいっぱい。めんどくさいなって気持ちもないことはないが、それ以上に楽しくて仕方ない。 俺は単車に乗れてればハッピーなのさ。

来年も走り倒すぞー!

 
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# by noreturnrydeen | 2006-12-30 21:27 | でっかいもん倶楽部 | Trackback

悪魔との再会

今日の診療は半日で終わりだ。

なので、終わると同時に整骨院のウラへ行き、RocketIIIをまたいでライコランドへ向かう。交換用の汎用ステップの寸法を見に行くのだ。が、到着して現物を見てみると、どうも合いそうなものがない。

そして天気は抜けるようなピーカン

こりゃモタモタしてられないと、整骨院に戻り、ステップの加工を始める。ほかのRAASK(社外ステップ)ユーザーと同じように、ステップのふちにグラインダでざくざくと切りかきを入れる。だったら、ハナからやれって話なんだが、まあ、そこはそれ。

 
 

走り出して、さて、どこにしようかと考えていると。

初心者を引き連れて練習走行の真っ只中にあるZに出会った。どうやら筑波を目指しつつ、だめそうなら近所のでかい駐車場で練習会になるとのコト。んじゃ、俺も適当に走ってあとで合流するかも、と言いつつ、


「でも、こないと思っててくれ」

と、念を押すのを忘れない。

天気がいい日は、走り出してしばらくすると、世界のすべてが近く感じてきて、面倒だと思ってたコトが面倒じゃなくなってしまうことが多いからだ。結果的に言えば、念を押しといて大正解。県道8号から水戸街道に乗るころには、筑波に行く気が満々になってしまい。

結局、そのまま県道19号を折れ、筑波山に向かってしまったからだ。



いつもの道をかっ飛ばしながら。

ステップや自作レザーアイテムの調子を見つつ(風で飛んだりとか、実際の使い勝手ね)、気づけば筑波山のふもと。本当はふもとのコンビニで一服してこうと思ったのだが、停まるのが面倒になって、「上で休もう」とそのまま筑波山を上りだした。

後で思えば、これが間違いの始まりだった。

 
 

上について、いつもの風返しに入ろうと思っていると。

ちょうど俺の前を通り過ぎた単車が、そのままパープルラインへ入っていくのが見えた。油冷のGSX-Rストリートファイター仕様だ。こりゃぁ、ステップの実力を測るには、ちょうどいい相手じゃねーか。

俺もそのままパープルに入り、GSXの後を追う。

しばらく後ろについて走りながら、様子を見る。速いことは速いが、マルほどじゃない。それになんだか今日は、えらく乗れてる気がする。つーか、メータや風景を見る限り、とんでもないスピードなはずなんだが、遅く感じる。


いけるな、こりゃ。


何度か後ろから突っつくと、相手のラインがすこし突込み気味になってきた。

ふむ、あせってるな。突っ込む分、立ち上がりが苦しくなってきてるぞ。こっちは、立ち上がりのトルクが命なんだ。ワンテンポずらしゃ、イケる。

左コーナーの立ち上がり。

前が開けて、対抗がいないのが確認できた瞬間、俺はワンテンポ早くアクセルを開けて、立ち上がりで反対車線に出ると、思いっきりぶち抜いた。充分車間が取れたのをミラーで確認して、GSXの前に進路を戻す。

同時に、鳥肌が立った。




「いぃぃぃぃやっほうっ!」

メットの中で叫びながら、アクセルを開けた。

切り返しや、極低速は厳しいにしても、単発の中高速コーナーならコーナリングスピードで引けをとらない。その苦手な低速切り替えしも、巨体のおかげで、相手に抜くスペースを与えない。そして、強烈な立ち上がりは、あの油冷Rにさえ隙を与えない。

楽しい。

最高に、楽しい。

フォアコン理論も、負けた気がどーのも、なんもかんもどうでもよくなる


が、もちろん抜かれたGSXも黙ってない。

こっちが気を抜くと、後ろから突っつかれる。中高速コーナーや、Rはゆるいが曲がり込みの激しいコーナー、プラス立ち上がりでアドバンテージを稼ぎ、高速コーナーと低速コーナー、突っ込みでチャラにされる。

クソ、やるな。

でも、おめーもこんなクルーザー、見たことねぇだろう?



いつの間にかヤツとふたり、西日のきついパープルを、会話するように走っている。

長い直線でイカれるかなと思うと、向こうは後ろに付いたまま。

ははぁ、なんとしてもテクニックで抜き返したいんだな?


させねぇよ。


俺は身体中で至福を感じながら、ニヤニヤしっぱなしだった。

 

が。

そんなわけはないのだ。



こんなアベレージのままで、無理がこないわけがない

はじめの兆候は、リアサスだった。荷重のかかるコーナリングで、踏ん張りが甘くなってきたと思ったら、急にふわふわになる。わけがわからないまま、その挙動をリアブレーキで黙らせつつ、それでも速度は緩めない。

GSX-Rもピタリと後ろについてくる。

やばいと思うが、コーナリングが安定しない。アクセルを戻そうものなら、ものすごい勢いでピッチング。仕方なくリアブレーキでコーナリングスピードを調整しながら、アクセルをアテ気味に走る。

赤城で懲りたので、その分、直線の減速にはエンブレを多用し、リアを休ませる。

しかし、それは突然やってきた。


ぬかっ

「あ」


リアブレーキの手ごたえが突然、抜ける。

しかしもう、コーナリングアプローチは始まっている。

やばいと思いながら、コーナー出口に無理やり顔を向け、アクセルを戻す。

とたんにピッチングが出て前後に揺れた車体は……俺の意思よりも1メータほど外側へ


「やっちまった」


諦めながら車体を立て、側溝に対してなるべく垂直になるよう車体を整え。


ずががががっ!

側溝を飛び越えて、土壁に刺さるRocketIII

まさに変形ミゾ落とし。頭文字Dじゃねーっての。

 
 

「あーあ」

立ち上がって車体を起こしていると、GSX-Rが停まって、ライダーが降りてきた。心配そうなその顔へ、ヘルメットを取って笑顔を見せながら、大丈夫だと手を上げる。彼に手伝ってもらって、RocketIIIを斜面から引きずり出し、側溝を乗り越えさせて道端に止める。

土を落とし、ギヤをニュートラに入れ、セルを回すと、RIIIは元気に吼えた。


「大丈夫っすか?」

「あー、エンジンかかるし、工具とかは持ってるんで、大丈夫ですよ」

「そーすか。なんか手伝うことあります?」

「大丈夫……あ、そうだ」

「?」

写真、撮らせてください」


唖然とした後、苦笑する彼の了解を得て、写真を撮らせてもらう。

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気のいい、親切なおにいちゃんだった。

 
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彼のGSX-R。

ステップつけてすぐにコケたとか、ウインカーステーが折れちまったとか、正直、へこむ要因は多々あったはずだ。本来なら、コケた動揺が落ち着いたこのあたりから急に、へこんできてもおかしくないはずなのだ。

しかし。

彼の放ったヒトコトが、すべてを吹き飛ばした。


「俺、アメリカンにぶっちぎられたの、生まれて初めてですよ」


俺は、このヒトコトのために、走ってるのかもしれない。

そのくらい、最高に気持ちよかった。

 
 

彼に先に行ってもらい、数十メータ先の直線まで出ると、改めて愛機の様子をみる。

ウインカステーが折れたのと、ミラーがずれたくらいの、軽症だ。

アベレージスピードを考えれば、幸運だといえるだろう。

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しかし、走り出すとリアブレーキが完全にバカになってる。

そのまま流して、休憩所に入り、リアの確認をした。

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ホント、毎度毎度、痛い思いをさせるねぇ。

 

さて、駐車場で後ろに回りこみ、確認してみると、なにこの宇宙生命体

リアキャリパーがあってはならない色に染まっている。どうにも手術が必要そうなので、大きくため息をつき、ビートルバッグをはずしにかかる。隣の車の中でいちゃついていたカップルが、怪訝な表情で俺を見てるが、それどころじゃない。

バッグをはずすと。

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あーも、何から話そう。

とりあえず、赤い矢印を見てくれ。行き先がサスなところからわかるように、これはエアサス用のエアホースだ。キャリパの熱で切れてらっしゃる。つまり、このせいでサスの踏ん張りが甘くなったのだ。そりゃ、踏ん張れるわけがない。

突然、プロアームになったんだから。


んで、次は青い矢印。

このありえない色味は、ビートルバッグの成分だ。熱で溶け出し、穴が開く寸前だった。ビートルバッグが何の成分でできてるのかよく知らないが、少なくともヤサシサではないと思う。 むしろヤサシくないなにか。

 

 

思いっきり肩を落とした俺は、8mmのメガネを取り出して、キャリパにオイルをぶっこぼしながら、エア抜きする。どうせまたしばらく使えばスカスカになるだろうが、とりあえず少しでもマシになるよう、手ごたえが出るまでエア抜きした。

やがて手ごたえが出てきたので、作業終了。

こぼれたオイルをウエットティッシュでふき取って、ビートルバッグを戻し、工具をしまってから、タバコに火をつける。大きく吸い込んで、ため息と一緒に吐き出すと。

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眼下に広がる、筑波山麓の景色。



まあ、気分的にはそれほどへこんではいない。

頭の中にお兄ちゃんの言葉が、何度もリフレインしてるからだ。

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ウインカーをガムテで固定したら、せっかくだし、もう少しパープルを走ろう。

結局、もう一周し終わる寸前に、またもリアブレーキがバカになったので、そのまま山を下って帰路に着いた。帰りにまたライコへ行って、ウインカーを買ってくる。これは明日つけよう。

 

ステップのシェイクダウンのはずが、初の走行中転倒のおまけが付いた。

だが、しかし強がりじゃなく、マジでウキウキワクワの方が上をゆく、楽しい半日だった。

そして、同時に恐怖を感じる。

V-MAXの時、初めて感じた恐怖だ。


今までよりも、格段によくなったコーナリング性能に対して、重い車体とそれなりのブレーキ。魂を揺さぶる加速性能とそれに見合うリスクの大きさ。すべてが、あのときのような魅力で俺をつかむ。かつて両足の骨を持っていった、あの悪魔と同じ種類の悪魔

そいつが、このRocketIIIって単車にも、確かに取り憑いている。


そして俺は、それが何よりもうれしいのだ。

今度こそ俺は、この悪魔をねじ伏せる。

俺はそのために、生きているのだから。

 
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# by noreturnrydeen | 2006-12-27 21:51 | ソロツーリング | Trackback

野宿旅 in 房総半島 2/2

<前編はこちら>





国道を離れ、フラワーラインを走り出す。

しばらくフラワーラインを走っていると、なんかステキな光景が目に入った。期待できそうなワインディングなので、フラワーを外れて右折し、そっちへ足を伸ばす。 気まぐれ旅のいいところだ。

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この先、200Mくらいで行き止まりだった。

俺だけじゃなく道も気まぐれでやんの。

 

ガッカリスと戯れながら引き返し、フラワーへ戻る。海風が冷たいが、車も少ないし、気持ちのいい道路だ。攻める気マンマンだと、ちっと物足りないだろうが、片目でトコトコ走るには、ちょうどいい感じ。

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曇天なのが惜しまれる。

つーか、いたるところに植えてある南国チックな樹木が逆に寒い

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冬の海は、冷たくて寂しい。


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走ってるうちに、だんだん自殺しそうな気分になるね。

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やがて房総半島の南端、白浜野島崎に着いた。
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ここで地図を広げてみると。

この先の灯台が、日本最古の八灯台のヒトツだと書いてあった。

なので、それじゃあと行ってみることにする。 フラワーに戻るとすぐ、それが見えてきた。

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近くまで行ったら、思いのほか車が多かったのでやめた。

だいたい、八灯台の残りの七つも良く知らないしね。




10キロほど走ると、またも道の駅のカンバン。

普段ならこんなペースでは絶対、休憩入れないんだが、寒いのと、のんびりツーリングなのとで、ここにも寄ってみる。ぶっちゃけ、おしっこが近くなったんだよねー だからしかたないじゃん?

道の駅「ちくら・潮風王国」

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そりゃあ寒いはずだよ。潮風の王国だもん。

民主国家日本の領土内で、堂々と王制を敷いてる小国でトイレを借りると、革ジャンのジッパーを引き上げて、冷たい海風の中を、また走り出す。ジーンズのすそから、寒風が吹き込んでくる。そんな中、俺は猛烈に後悔し始めていた。

海のにおい、街のにおいの変わり目が嗅ぎたくて、半ヘルかぶってきたことを。

つーか、冬の房総なんてけっこう来たことあるのに、なんでこんなナメたカッコしてんだ俺。



途中から、房総黒潮ラインに乗り、さらに北上する。

海沿いの心地よい道路を、エンジン音を低く響かせながら、そして海風を心地よく肌で感じながらえぇいっ! 寒いつーんだ! もうこれ以上、潮風なんか吹かんでいいから。少しおとなしくしててくれよ、風。

なんか雲行きが怪しいなぁと心配しつつ、黒潮ラインを淡たんと走る。

どこかでドラッグストアか眼鏡屋を探し、コンタクトを買おう。

買ったら、もうひとつ考えてた方のルートに行こうか。

なーんて思ってたのだが。

 
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見つけた店、全滅。

フツーの眼鏡屋が見つからない。しかたなく片目のまま鴨川、勝浦と抜けるうち、ビーチラインの手前に来てしまった。本当はこのまま九十九里を抜けて、銚子か鹿嶋から帰ろうと思っていたんだが、寒さと雲行きに心が折れる。片目だし。

折れたらあとは速攻だ。

九十九里ビーチラインには行かずに、そのまま128号を走る。

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考えていたもうひとつのルートというのは。

佐倉にある、『国立歴史民族博物館』を見学するコースだった。いちど行ってみたくて仕方なかった場所である。 大きくて、見るところがたくさんあるので、二三時間じゃ回りきれないと聞いていたから、一日かけてゆっくり見てみたかったのだ。

ちょうどいいから、博物館へ行こうと決心し、進路を佐倉へとる。



と。


うそ? ウソだよね? ママ、ウソだって言ってよ!

このタイミングなんて、ジョークとしか思えないよ!

 
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雨が降ってきやがった。

一宮のイレブンで休憩しつつ、上半身だけカッパを着ながら、なんで下半身持ってこなかったんだよーとわめいても、アフター・ザ・カーニバル。これで佐倉行きも中止だ。

覚悟を決めて、ざんざん降りの中を走り出す。

 
 

泣きながら茂原を抜け、県道13号(市原茂原線)から147号。

さらに県道14号(茂原街道)を北上し、ようやく国道16号に入るころには疲労が限界。

ま、片目ですり抜けとか、キチガイなことするからだけど。



しかし、あとは慣れた16号だ。

雨の中を必死の形相で、やっぱり片目ですり抜けつつ、木下街道入り口あたりだろうか。雨脚が弱まったなあと思ったら、あっという間に上がり、程なくしてあたりが明るくなってきた。陽光だ。ああ、なんて暖かく美しい光……顔、出すの遅すぎだ、バカ太陽

しかし今さら博物館に向かうのもダルいし、身体は雨で冷え切っている。

俺は大きくため息をつくと、家路を急いだ。

なんだかすっかり晴れちゃった国道を、こころもち、ヤケクソ気味に。

 

最後はちっと残念だったが、野宿と、酒と、気まぐれなソロツーリング。

なかなかステキな、自分への誕生プレゼントだったんじゃねーかな。

自分が、ものすごく野宿向きだってこともわかったし。

 

また、野宿しようっと。


 
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# by noreturnrydeen | 2006-11-30 21:36 | ソロツーリング | Trackback

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by かみ