男、湖畔に立つ
 




深夜、家にたどり着いた俺は、そのまま倒れるように寝込んだ。

そして迎えた18日。起きてみれば、歯茎の腫れも痛みも、きれいさっぱり消えている。

一応、大事をとって一日休んだあとの、翌19日。

さて、ダチのツラを拝みに行くとするか。

近所のZやガンボ、栃木のマルあたりならいつでも会えるが、三重に住むおーがは、普段、ひょいとツラを見に行けない。それならおーがに会いに行こう。静岡のけいこのところで待ち合わせれば、二人まとめてツラが拝める。一石二鳥だ。

そう考えた俺は、二人に連絡する。


おーがもちょうど、うなぎが食いたいというので、静岡で待ち合わせようと言う話になった。

が。

遊びに来たZと話してるうちに、どうも東名はクソ暑いんじゃねーかつー話になる。ひたすら陽に焼かれてきたので、それを考えると、ちと気持ちが萎えた。それにほかの要因もあって、それじゃあ東名は避けて長野あたりにしようと決める。

ものすげえ勝手な話だが、俺の傍若無人をよく知ってるけいこは

「大丈夫だよーん。またそのうちにね。笑」

でカンベンしてくれた。

俺のダチってのは、こうやって俺を甘やかすのだ。

 
 

で、土曜の昼ごろ、またもやRocketをまたいで出発する。

待ち合わせは、諏訪湖だ。

おーがは仕事が終わってから来ると言うことなので、せっかくだから、このあいだマルとZが行きはぐったと言う、蓼科スカイラインを経由して走ろうと、関越を佐久で降りて、141号から蓼科スカイラインに入る。なんて書くと簡単に入ったようだが、入り口がわかりづらくて、一回Uターンした。


備忘録代わりに書いておくと、国道141を南下して、野沢西交差点を西へ折れ、そのまま県道を1キロほど進んで、片貝川つーちっちゃな川を越えた瞬間、南へ曲がってしばらく行けば蓼科スカイラインの入り口だ。


で、走ってみた感想だが。

全行程のうち三分の二は、確かに気持ちよく走れる。まさにスカイラインだ。それほどタイトなワインディングでもないし、攻めると言うよりは気持ちよく流した方が楽しめるだろう。のんびりツーリング向きってところかな。

問題なのは、佐久側から入ったとして、最後の三分の一。

地図にも、『このあたり路面が荒れている。走行注意』とか何とか書いてあるのだが……

その表現は、柔らかすぎ。


アスファルトが小さな無数のわだちでうねり、むしろ舗装してないほうが走りやすいんじゃないかとさえ思える。正直、「荒れてる」レヴェルじゃない。ツーリングマップルには猛省を促したい。今回の旅の中で一番、四国の悪夢が頭をよぎった。

途中に工事中のおじさんが居て、「この先、通れますか?」と聞いたら、一応うなずいてくれたので、何とか進む気になれたが、誰も居なかったら、先へ進むのがかなりためらわれる道である。

 
 

白樺湖を抜けて、ビーナスラインに入ると、しかし、そんな不満も吹っ飛んでしまった。

もっとも、今回俺が走ったところは、地図上でこそビーナスラインと呼ばれているが、本当のビーナスラインではなく、その前哨戦といったところらしい。ま、楽しみは、今度のでっかいもん倶楽部か、ちっちゃいもん倶楽部に取っておこうか。

途中の展望台で一休み。

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それから県道との合流で折れて、甲州街道を目指す。

上諏訪あたりに宿を取って、本日の走行はこれまで。夜には飯を食ってから、この時期は毎日上がるつー花火を見た。わずか20分で1000発打ち上げると言うふれこみに違(たが)わず、非常に景気のいい上げっぷりだ。

20分と言うのも、飽きっぽい俺にはちょうど良かった。

ここいらは白樺湖や蓼科に客をとられてんのか、観光地観光地しきってなくて、俺はかなり気に入った。なんとなく朴訥な感じがして、居心地がいい。いや、マジで褒めてるんだぜ?

 
 

朝起きると、おーがからメール。

RocketIIIの写メが添付してあるとこ見ると、どうやら俺の居場所を見つけたようだ。

「近くのブンブン駐車場に居る」

というので、合流しに出る。ブンブン、ブンブンと、ちょっと弱い子みたいにつぶやきながら探していると、通り過ぎかけたコンビニの前に、見たことのある男が立っていた。その瞬間、俺はすべてを理解して、メットの中で大笑いする。


「ああ、そうか。ブンブンてな、セブンイレブンのことか」


Uターンして駐車場に単車を入れると、ニヤニヤしてる男に向かって、俺も笑顔で吼えた。

「おめ、ブンブンじゃわかんねーよ」

無事、再会を果たし、おーが一家と遊ぶ。

以下、その遊びっぷり。

 
 

間欠泉センターで、吹き上げる間欠泉を見る。

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こんな感じでぶくぶくきたあと、

 
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どっぱー! 一気に吹き上がる。わりと壮観。

でも、後で聞いたら、これは自然のものじゃなくてポンプで圧送してるらしい。

観光地も大変だ。

 
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なんか、でかい納豆を作ってた。(作ってません)


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彫刻を見たら、まねてみるのは、人として最低限の基本。


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基本なので、幼いうちに刷り込んでおく。

つーか、おーがのガキは俺やマルのせいで、きっと道を踏み外すことだろう。いや待て。基本的に道を踏み外した両親が、道の外から二人で手を引いてるんだから、俺らのせいじゃねーか。

 
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だんだん増殖するバカ。

 

さんざん遊んで充電した俺は、帰り際、ちっと雨に降られたりもしたが。

おおむね最高の気分で、旅の幕を閉じた。


総走行距離2800Km。

休息し、走り倒し、ダチの笑顔まで見れた、最高の一週間だった。

 

 

 

 

 

 

 
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タイアのワイヤー、出ちったけどなv(^0^)

 

危うく今回も、命がけになるところだったよ。

笑えねぇつの。

 
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# by noreturnrydeen | 2006-08-19 22:43 | ソロツーリング | Trackback
 

入道崎を出て101号を走り、途中でまた、7号線に入る。

と、10キロもいかずに101へ戻るはずが、空腹と暑さでぼうっとしていたのだろう。そのまま7号線を行ってしまう。かなり行き過ぎたところで、「どうやらおかしい」と気づき、二ツ井あたりの道の駅『ふたつい』で、地図を確認がてら昼食をとることにする。
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「おにぎり」の文字にすいっと吸い寄せられ、おむすびを食べながら地図を確認。

戻る途中に「能代山本広域農道」を見つけ、これ幸いとそっちのルートで北上することにする。なんたって、前回のでっかいもん倶楽部以来、広域農道の言葉に弱いのだ。リルートして無事101に合流しなおすと、そのままさらに進み、途中の道の駅『はちもり』で休憩。

この時点で、2:30だ。

携帯の電源がなくなってきたので、『はちもり』のあずまやで手回し充電器での充電を試みるが、あまりの暑さに汗だくになってきたので、断念。つーか、この辺になってくると、冷房のない施設が多いのが、どうにも厳しい。

如実に身体が弱ってくる。

クルマの連中は冷房で冷えた身体に、海風と自然の気温が心地いいかもしれないが、こっちはフルタイム脱水状態。俺なんかはドリンクホルダーつけて、お茶飲み飲み走ってるからまだしも、普通のバイクのヤツラはそんなことも出来ないんだから大変だろう。

フルフェイスでかっ飛ばす人間は、夏の東北には要注意だ。

 
 

さて、事前に地図を見ていたとき、日本キャニオンなる謎の地名を見つけていた。

キャニオンとか付いてる段階で、間違っても古いものではないだろう。場合によっては、石切り場か何かを、断崖だと言い張ってるかもしれない。そんな風に気になっていた日本キャニオンに、俺はついにたどり着いた。

正確には、その入り口に。

ここは、この更に北にある十三湖とは似ても似つかない、十二湖と呼ばれる小さな湖群があり、そこそこの観光名所らしい。つわけで、当然ながら混んでる。その上、途中で道が狭くなり、最終的にはクルマがすれ違う幅もなくなってくる。

ちょっとした酷道、険道だ。

おまけに、狭い道の途中で接触事故を起こして立ち往生してるバカが居たせいで、のぼりも下りも、どうにもならなくなっていた。その脇をすり抜けて、入り口までたどり着いてみれば……

そこで車を置いて歩いて見に行くというシステム

前回のツーリングで一生分歩いた俺に対して、日本キャニオンだろうが、グランドキャニオンだろうが、これ以上の徒歩を強制させる力はない。かみは歩かないのだ。料金所の前できびすを返すと、俺は日本キャニオンを後にした。

 
 

このあたりから、「陽のあるうちに竜飛岬まで行ってみたい」と思い始めていた。

それでも、あくまで海沿いルートを、淡々と走る。

大間越街道から、青森行きのトラックが増えてきた中を、鯵ヶ沢あたりで屏風山広域農道へ。気持ちよく快走しながらも、傾いてきた日差しに、少し気持ちが焦る。別にあせる必要もなく、ここらでキャンプして明日の朝、竜飛を目指したってかまわない。

だが、走りながら俺のアタマには、『陽のあるうちに竜飛を見てそのままキャンプ。

次の朝イチには青森経由で太平洋側へ出るか北海道へ』、なんてプランがよぎっていたのである。

広域農道で十三湖にたどり着き、

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写真を取ったら一服するまもなく、そのままさらに北へ。

339号をたどってひた走る。

「どうやら陽のあるうちに竜飛に行けそうだ」と安心したところで。

神様は俺にステキなプレゼントを用意していてくれた。


339の竜飛へ出る少し前あたりが、ご機嫌なワインディングだったのだ。


ぐーっと登ってブラインドコーナーを抜けると、目の前に広がる蛇のような道。ジェットコ-スターのように、急激に下って右へ左へ。その先がうねりながら登っている様子が、上から一望できる。

そしてその道は、峡谷の合間を縫って、山の向こうに消えているのだ。


ダイナミックな光景に、俺はなまはげライン以来久しぶりに、アクセルを開け始めた。

しばし楽しんだ後、最初に出てきた展望台へRocketIIIを停める。

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ちなみに、ご機嫌なワインディングってのは、↑これじゃないよ。



カンカンとエンジンの冷える音を聞きながら、頭のほうもクールダウン。

「アレが北海道かなぁ」

とか、わからないなりに楽しみながら風景を見たあとは、さて、目的地の竜飛までは、もう一息だ。またゆっくりペースに戻って走っていると、ついに竜飛の文字が見えた。

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津軽半島の最北端に着いたのだ。

 
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モニュメントのあるところに、バイクが一台停まっていたので、そばへ行って声をかけた。

名古屋から来たその若者は、北海道を走った後、ココから俺の来た道を逆にたどって帰るという。


「へえ、北海道かぁ。それもいいなぁ」

「ここからなら県道14号(から12号)で蟹田に出れば、そのまま下北半島へ行けますよ。フェリーのタイミングが合えば、北海道まですぐじゃないですか」

「あー、そういう悪い情報をくれるなよなぁ。行く気マンマンになってくるじゃんか」

「ははは。僕は今日、もう少し行ったらキャンプしますけど」

「へえ、俺はこの足で、今晩中に千葉まで帰るけどね」


冗談で言うと、彼は目を丸くして驚いた。


「マジすか? すげぇなぁ! 今朝は鳥海山に居たんですよね? それで竜飛まで来て、そのまま千葉に? さすがだなぁ」

「や、冗談だって」

「えー、マジなんじゃないですか?」


今知り合ったやつと、そんな他愛ない話で、笑いあう。

バイクの話、北海道の話、日本海の話。

同じようにぶらっと旅をするもの同士、話は尽きない。ステキな時間だ。

 
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竜飛からの景色と、彼のバイク。

 
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RocketIIIを撮る彼を、俺がさらに写す。

それから一緒に、階段国道を見物した。
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残念ながら、ココで俺の携帯のバッテリが切れ、表竜飛の景色は撮り損なってしまったが、それよりも彼と話が出来た方が、俺にとっては楽しかった。

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どうしても、国道と言い張るのか?

 

彼と別れ、竜飛を回って339号を青森方面に向かいながら、北海道に行こうか迷いつつ走る。実は佐渡を出て本州に戻ってからこっち、ずっと歯が痛い気がしてたのだが、どうやらココへ来て、歯茎がぷっくりと腫れている。

これは、肩こりなんかが酷くなったときに、よく見られる現象だ。

疲労がたまっているんだろう。

北海道も魅力的だし、せっかくだから太平洋側も下道で走ってみたい。しかし、これが出てきたってことは、実感している以上に疲労がたまっているはずだ。休めば治るのはわかってるが、旅はこれ以上なく楽しい。まだ、旅していたい。ずっとずっと走っていたい。

こんなに楽しいのに。こんなに面白いのに……


そのうち、ふと、気づいた。

(四国の時もそうだった。今回もそうだ。俺は景色より、どこまで行ったっていうトロフィーより、なにより人と会うのが楽しいんだ)

そう思ったら、なんだか無性にダチの顔が見たくなった。里心なのか、それはわからないけれど、何でもいい。ダチに会って話がしたい。そう思ったら、もう、行く先は決まっていた。県道の14~12号から、国道280号線を南下して、青森に入る。

そしてそのまま青森インターめざし。

夕方6:30、俺は東北道に乗った。

 
 

もちろん、途中で泊まる気はさらさらない。

竜飛で会った彼に宣言したように、今晩中に柏入りしてやる。

調子に乗って、ヘルメットの中でにやりと不敵な笑みを浮かべる。

だが、それでもいつものキチガイペースには戻さず、あくまでゆったり旅速度で、俺は南を目指し走り続けた。頭の中で大雑把に盛岡、仙台、宇都宮、みたいな区切りをつけて、どこで給油と休憩を入れようかなどと、自分では冷静なつもりで企画を立てる。


が、不敵な笑みは、すぐ半泣きに変わった。

行けども行けども、とにかく盛岡がやってこないのだ。

感覚的には、新潟~竜飛間よりも遠い。

 
 

やっと盛岡について、PAで給油する。

そのとき会ったSRのお兄ちゃんと、バイクの話をして、少し元気をもらう。グース350の倒立フォークを入れた、カフェレーサーカスタムのSRに乗るその兄ちゃんは、「これから宮城まで帰る」んだと言ってた。


「へぇ、宮城かぁ……いいなぁ」

「そんないい所でもないっすよ?」

「や、そうじゃ……うん、いや、へぇ、そうなの?」


さすがに、近くていいなぁと言い直すことは出来なかった。

 
 

ようやく盛岡を過ぎ、かなりへこみながらガスを入れて、花巻あたりで「これが花園ならなぁ」とか、ものすげえ現実逃避を始めたころ、泣きっ面にハチとばかりに、霧が出てくる。それも、赤城あたりの霧にキスしたくなるほど濃厚な、濃霧ってヤツだ。

これで巡航速度は100にダウン。

都市部に近いところはともかく、山間部に入ると暗い上に霧が出て、道がゼンゼン見えない。前のクルマのテールライトを頼りに、ヒイヒイ言いながら走る。すると、晴れ男の力もなくなったのか、雨まで降ってきた

まさに泣きっ面にインパチ

オーラスハコ下から、トドメに親ッパネへぶち込んだ気分で、しょぼしょぼになりながら、とにかく事故らないようにだけ気をつけて、左手でシールドをぬぐいぬぐい、山間部の霧と雨の中を走る。ツイスティな道が、これほど恨めしかったのは初めてだ。

 
 

意地を張らずに、どこかのPAで泊まればいい。

当然、それが当たり前の意見だろう。

恐怖のおかげで睡魔は襲ってこないものの、危ないことに変わりはない。だが、危ないと言うなら、キチガイ速度でぶっ飛ばすのも、危ないことに変わりはない。物分かり良く、効率よく生きたいなら、はるか昔に単車を降りてる。

危険、それも他者を巻き込む可能性さえある、傲慢な危険だ。

それは重々承知の上で、それでも俺は『今晩中に走りたい』と思ったから走る。自己中心的で、許しがたい考え方だろう。俺はいつだって、自分が事故らないように、他者を巻き込まないように、あくまでそのつもりで単車にまたがる。

しかし、意思はあっても結果が伴うとは限らない


それに対して、俺が持っている答えはひとつ。


覚悟だけだ。


無論、覚悟がない者だって路上にはいるし、そいつらに覚悟があるのかと問いただしたいわけではない。どっかのバカのように話を一般化して、大層に述べたいわけでもない。正直、一般論も、ほかのやつのことも、知ったことか。


経験則で、イケると思ったからいく。

イケなかったときは……言葉にしても虚しいだけだ。そうならないように生きてゆくのだし、そうなったときは腹をくくるしかない。そして、結果に対して結果で答える、行動で示すしかないのだ。誰がってことじゃなく、これはもちろん、俺が考える俺の場合だけの話だが。


とまあ、そんなことを考えながら。

もちろん、ビール飲みてぇとかくだらないことも一緒に考えながら。

俺はとにかく距離を稼ぐ。

あまり楽しい旅とは言えないが、これもまた俺の旅だ。

 
 

仙台を越え、福島あたりで先が渋滞してる表示が出た。

こりゃ、常磐道で行った方がマシかな?

と、今あらためて考えれば、「おめ、バカじゃねえの?」と怒鳴りつけたくなるような、悪魔のささやきが聞こえた。郡山で、進路を磐越道に取る。磐越に入ったら、とたんに車の数が減った。「大正解じゃん」と叫ぶまもなく、福島の霧は濃厚に絡み付いてくる。

雨もざんざんと音を立てて強くなってきた。


道が見えないから、前のクルマにつきたい。でも、車の巻き上げる水煙は食らいたくない。


そんな二律背反にさいなまれていると、磐越の道は一車線になる。そして、俺の前にはクロネコヤマトのトラック。ダブルタイヤで効率よく水をかきあげ、俺に向かって盛大に降り注いでくれる。

「んだよ、トラック。前、見えねぇじゃんよ!」

吼えてるうちに、悪口はトラックから天候、福島と、だんだん見境がなくなってくる。福島県民が聞いたら、全県裁判で死刑確定のアサッテな悪口をわめきながら、最後の方は50キロくらいまでスピードが落ちる。




常磐道にはいっても、状況はさして変わらなかった。

ただでさえ暗い常磐道に、こちらも霧と雨がさらにヒートアップ。俺の悪口もヒートアップし、最終的にはすべて茨城在住のダチ、「うわばん」のせいにしてわめきまくった。

「あーも、クソ茨城め。常磐道に明かりつけろってンだよ。だいたい、そんなのうわばんの仕事じゃねえか(違います)。あのヤロウ、今度ウチに来たら、どうやって責任取らせよう」

ひとりで騒ぎながら走っていると、ようやく雨がやんできた。



「ふん、やっぱり、うわばんのせいだったか」

つぶやく俺の横を、なんだか種類は知らないが、結構速いクルマがぶち抜いていった。その抜きっぷりが気に食わなかったつーか、世界中のすべてが気に食わない精神状態の俺は、ほとんど無意識のうちに右手をひねる。

ヘビーウエットの上に、暗い常磐道。

確かに危険である。

しかし、こんどは他者を巻き込む心配はない。

いや、そんな理屈より何より、とにかくその車が、癪(しゃく)なオーラを放っているのだ。

ズオーっと回っていたRocketのエンジンが、徐々に声を高め始める。一度小さな赤い点になってたテールランプが、だんだん近づいてきた。やがて迫ってきた俺のライトを見て、向こうのスイッチも入ったらしい。クルマが急に加速を始める。


「へ、やっぱコイツもバカだ」


嬉しくなった俺は、同時にアクセルをワイドオープンした。

状況が状況だけに、200を越えるような走りにはならなかったが、体感的にはそれ以上のシビレとともに、四輪と二輪は加速する。Rocketの実力的には、本来なら敵じゃないかも知れないが、悪条件と時々思い出したように降る雨が、コンディションを平らにしてくれる。

今までの鬱憤がウソのように、日立から柏までは一気だった。


旅もステキだが、これも捨てがたい。


結局、20時間ぶっ通し、1200キロ以上走った、五日目の話。
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# by noreturnrydeen | 2006-08-17 22:17 | ソロツーリング | Trackback
男の一番長い日
 




目を覚ますと、朝の6:30。

4時間弱、眠った計算になる。俺にとっては、充分なはずの睡眠時間だ。

さて早速、鳥海山を攻めてみよう。

荷物を積むと、今日も真夏日を連想させる、朝からやけに厳しい太陽に、ひと睨みくれて走り出した。さすがに早朝だけあって、鳥海ブルーラインはがらがら。しかも、太陽が低いので、陰になった涼しい道を走ることが出来る。

空いた道と、気持ちのいい天気。

単車に乗ってて、イチバン嬉しい瞬間だ。


ただ、いつもとちょっと違うのは、昨日からずっとのんびり走行していたせいなのか、あまりシャカリキになって飛ばそうと言う欲求がわいてこないことだ。

朝の空気。鳥の声。緑にはずむ陽光。

自分でも不思議な、なんだかくすぐったいような上機嫌で、俺はのんびりブルーラインを楽しむ。



頂上を抜けて7号線まで出たところで、一度Uターン。

取り立てて特別なワインディングでもないし、正直、この程度の道なら関東にだってある。だが、楽しくて楽しくて仕方がない。違ったのは、俺の精神状態の方なんだろう。そのうち、「おそらく今日は何度走っても攻める気がわいてこないだろう」という自分の心に気づく。

もう一度、今度はもっとゆっくり走りだし。

朝の空気とじゃれあいながら、途中の展望台に入った。



鳥海山の山側。

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同じく谷側。

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景色もさることながら、それよりも自分自身の微妙な変化がくすぐったくて、俺はひとりでニヤニヤしていた。携帯を取り出して、展望台からの風景を撮る。

と。

指にトンボが止まった。
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もちろん激しく偶然に決まってるんだが、自分が穏やかな気持ちになっているときだったので、


「へぇ、虫にも俺の変化がわかるのかな?」


とか、今考えると相当に恥ずかしいセリフを、わりと真顔で吐いてみたりして。

今日はかけらもイラつかないで走れそうだと、不思議な期待に胸を膨らませながら、俺は展望台を後にし、鳥海山五合目にしてブルーラインの最高地点にあると言う、ビジターセンターの駐車場に入った。

 
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鳥海山の五合目に位置するらしい。

 
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山荘と名が付いているが、宿泊はできない不思議な山荘。

 
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鳥海山を後にすると、次の目的に定めた、男鹿半島へと向かう。

もはや今回の旅の友と化した7号線上を、岩城にある道の駅で休憩を入れた以外は、飛ばさずあわてず、ゆっくりと北へ北へひた走る。その道の駅『岩城』でも、北海道帰りの夫婦にあった。男鹿半島へ向かう旨を話すと、夫の方は俺を見て


「どうせ、泊まるところなんか、どうでもいいんだろう?」

「ええ、考えてません。適当に」

「ははは。男鹿を回った後は、能代から海沿いかい?」

「そんな感じです」

「気をつけてな」

「ありがとう。そちらも、お道を」


上品な中年紳士と、真っ黒に日焼けしたバカ。ふだんなら接点のなさそうなふたりが、年齢も何も関係なく、『単車に乗ってる』ってだけの理由で、出会った瞬間から気さくに話すことができ、あまつさえ別れ際には、お互いの道中の安全を祈る

単車ってのは、本当にステキだ。
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上は岩城にあった、なんか出島みたいなヤツ。

 

101号に入ったところ、男鹿半島の入り口くらいから、急激に道が混み始めた。

工業地帯っぽい中を、太陽とアスファルトの照り返し、おまけにクソでかいエンジンからの放熱にさらされるうち、走ってるのがだんだんイヤになってくる。


んで、道の駅「てんのう」に飛び込んで、身体とエンジンを冷やす。

低い周りの建物の中で、妙に浮いていた「てんのう」のビルを写真に撮ってから、俺は喫煙所に向かった。喫煙所は便所の前。近年、タバコのみはだんだん圧迫されて、昔の単車乗りみたくなってるね。
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おとなしげなニンジャ乗りがいて、そばでは掃除のおばさんがトイレの前を掃除していた。

ニンジャ乗りに声をかけると、その声に反応しておばさんがこっちを向く。

俺はおばさんにも挨拶した。


「こんちわ」

「こんにちわ。暑いわねぇ」


これが呼び水になってしまったようだ。おばさんは掃除の手を休めると、オーバーアクションの身振り手振りで、俺とニンジャ乗り相手に、延々と話を始める。


「このへんはねぇ、ここらまで(手で高さを示しながら)雪が積もるんだよ。もうね、毎年雪かきが大変でね。去年の12月24日の大雪のときなんか、そりゃ大変だった」

「へぇ、そりゃクリスマスどころじゃなかったね」

「ホントよ。そうそう、それでね。そんな日に埼玉から来た夫婦がいてね。こっちが大汗かいて雪かきしてる横で、枯れ木に積もった雪を見ながら奥さんの方が、『あら、ステキ。冬ソナみたいねぇ』なんて言ってるのよ。アタマきちゃう」


まあ、話を聞いた瞬間、俺もその見たこともない『埼玉のおばさん』をぶっ飛ばしたくなったのは事実だから、彼女の気持ちも、確かにわからんでもない。だが、なにも真夏まで怒りを持ち越さなくてもいいだろうに。

 
 

おとなしいニンジャ乗りと三人でしばし談笑した後、彼もやはり男鹿半島を一周するという話を聞いて、俺の天邪鬼が首をもたげてきた。


「そーなんだ。やっぱ半島一周って、みんなやるんだね」

「まあ、そうでしょうね。さっき会った人たちも、みんなそれぞれ、回ってきたって言ってましたよ」


情報交換の後、道の駅てんのうを後にすると、渋滞の中を走りながら考える。

(暑い。飽きた。みんなやるんじゃツマラン)

ま、考えると言うよりは、本能に近いが。

そうこうするうちに、俺の目に道の看板が飛び込んできた。



寒風山



真夏のアスファルトの上で、目の前に続く車の列を見ながら、しかも股の下に2300ccのエンジンを抱えて、この文字に心揺れないヤツがいるとしたら、見てみたいもんだ。寒い風の山だぞ? 何をどう間違ったって、暑さとは無縁だろう? パラダイスだろう?

そりゃ、岩ガキだろうが切り立ったガケだろうが(どちらもこの先で予定していた)すべて振り切って、そっちへ向かうって話だ。一度入った県道59号を外れ、またも国道101号に戻ると、一路、寒風山を目指す。しばらく走ると、なまはげラインの文字が見えてきた。

「へぇ、なまはげラインねぇ。面白いのかなぁ……あぁっ!」

道に立ついろんな施設への看板の中、その看板は光り輝いていた。



なまはげ直売所



売ってるのかよ!

なまはげ、販売してるのかっ!

直売ってことは、獲りたてなのかっ!?

俺のUMAハンター心が、直売なまはげの魅力に、がっちりとつかまれてしまったとて、誰が責められよう。俺は直売所目指して、RocketIIIに鞭を入れた。今回の旅ではじめて、ワインディングを風のように駆け抜けた俺は、ついに謎の施設、『なまはげ直売所』の前に立った。

 

 

 

 

 

 
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普通の野菜の直売所なんだけどね。知ってたけどね。

淡い望みを絶たれた俺は、肩を落としてなまはげラインに戻ろうとし、そこでせっかくだからと、そのまま少し奥に入ってみた。神社がどうのと書いてあったので、もしかしたら作り物じゃないなまはげに会えるかもしれないと思ったのだ。

作り物じゃないなまはげってなんだ? と思う向きもあるだろう。

だが、この段階で、すでに俺の心の中のなまはげはUMAになっていたのである。中に人が入ってるのはウソモノ。本物のなまはげは、山の中に住んでて、時々里に下りてきたり、剣術を教えてくれたりするのだ(それは天狗です)。

生(いき)なまはげを求めてしばらく山道を行くと。

目の前に巨大な鳥居が見えてくる。


「ほれ見ろ。やっぱ、生なまはげ居るじゃんよ」


突っ込みどころ満載の独り言をつぶやきながら鳥居をくぐると……

ヤ~な感じに、道がダートになってきた。一瞬、四国の悪夢がよみがえる。

しかし、これは逆にチャンスだ。このダートを制し、はるか山の奥深くで、天狗の親戚である(違います)なまはげを捕まえれば、九州で追った精神的な傷も克服できるだろう。意を決した俺は、武者震いを抑えつつ、山の中に乗り出した。

と。

モノの数十秒で、神社の境内が見えてくる。

そこが行き止まり。

山道は一瞬で終わり、俺のリハビリも一瞬で終わった。

 


なまはげラインまで戻り、男鹿半島の反対側へ出ると、半島の西北端、入道崎に向かう。

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さすがに観光地観光地しているが、景色は抜群にきれいだった。

 

続く
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# by noreturnrydeen | 2006-08-17 21:59 | ソロツーリング | Trackback
北へひとり、男は走る
 



出発予定の日だ。

朝イチでフェリーに乗ってやろうと思っていたのだが、起きぬけ太陽に照らされた瞬間、おもわずうめき声が出る。ひりひりと、むしろビリビリと皮膚が痛い。調子に乗って焼きすぎだバカ。日が傾くまで、肌を休めることにしようと、日陰に逃げながら、飯を炊く。

メニューはもちろん、醤油メシ。

飯を食いながら駐車場を見ると、ずいぶんと客が減っている。

「そうか、みんなもう、仕事なんだな」

と思うと、まだまだ遊べる状況に、思わず笑みがこぼれる。


その少ない客の内、近くのテントのガキがボール遊びをしていた。

俺は背中を向けて、しょうゆ飯を食っている。

すると、投げたボールが俺のテントに当たった。が、ガキはノーリアクション。

「ガキがガキ育ててるから、こういうガキになるんだ」

思いながら、しょうゆとメシのハーモニーを楽しんでいると、今度は俺の焼けて敏感な背中にボールが直撃。スイッチの入った俺は、「痛ぇぞ、おい」と叫んだ。すると、遠くにいた親があわてて走ってくる。

俺はガキを無視して、親を怒鳴りつける気マンマンで、戦闘体制に入った。

すると、ガキは俺の顔を見て頭を下げる。


「ご、ごめんなさい」


んだよ、親がバカでも、やれば出来るじゃん。

俺はガキに、ニヤリと笑い返した。ガキはほっとした顔で笑う。そのころになって、ようやくやってきた親。たかがそれだけのことに両親で飛んできて、謝るかと思いきやガキを抱きすくめて俺をにらむ。

カチンときたが、ガキがまた不安そうに俺を見るので、キれるのはやめた。

ガキにもう一度笑いかけ


「そやってちゃんと謝れば、大丈夫だぜ?」


と穏やかに言う。ガキはビックリした顔をしながらも、あわててブンブンとうなずいた。そこでようやく、コトの次第を察したのか、両親が「すみません」と謝ったが、俺は肩をすくめてタバコに火をつけ、振り向いてしょうゆメシの続き。

内心、「おー、ガキの印象ばっちりゲット!」とか考えていたのは、もちろん内緒だ。

 
 

海に入ろうか、迷っていた。

片付けた道具や海パンを洗うのが、面倒なのだ。つーか、その前にこの肌じゃあ、直射日光に耐えるために、ウエットを着ざる得ない。それもめんどくさい。なので、海はすっぱりあきらめて、テントや荷物を片付け、単車に積んだ。

それから受付に行って、今日出発す旨を述べ。

そのあと受け付けのオヤジとビールを飲んだ。

一本でやめようと思ったら、オヤジがオゴるつーんで、三本飲んだ。夕方まで出る気はないので、特に問題なし。つーか、このオヤジ。オヤジかと思ったら俺と同い年くらいだった。太った気のいい酒場の店主といった雰囲気。

やたら気を使う人で、いい人なんだが、その気づかい『すぎる』ところが少々邪魔くさい。



彼によれば、一番大変なのがごみの処理らしい。

だが、柏に比べりゃ天国みたいな分別方式なので、イマイチ実感に乏しい。まあ、量が半端じゃないってことなんだろう。水着の女の子も、「ちょっかい出せるわけじゃないし(奥さんが一緒に働いてる)慣れるとどうってことはない」と言ってた。

つーかこいつ飲みすぎだ。

半日以上あるとはいえ、出る前に三本やっつけてく俺もどうかとは思うが、ニコニコと笑いながら、やたら客に声をかけつつ、その間もずーっと飲んでた彼は、間違いなく俺よりダメ人間だと思う。ある意味、カッコイイ。

 
夕方になり、まだ明るい国道を車の流れに乗って走りだす。

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いよいよ佐渡ともお別れだ。

海沿いの道を気持ちよく走りながら、楽しかったのと、ちょっと名残惜しい気持ちを、ドリンクホルダに入れたお茶と一緒に、飲み下して走る。気持ちのいい道なので、思わず鼻歌が出た。

♪フン、フン、フフ~ン♪

ひゅっ!

ばしゅ!

痛てぇっ!

単車乗りなら良く知ってる、カナブン攻撃だ。

いつものごとく、バカみたいに大口開けて歌ってなくてよかった。

 
 

相川でガスを入れ、小木港を目指す。

小木港で、あまりの暑さに柿ソフトを食った。甘いもの苦手な俺が、あっという間に完食。しかも、えらい美味く感じた。思えばこの時、すでに疲れの兆候があったのかもしれない。

フェリーの待合で、スーパーシェルパに乗ったおじさんが声をかけてきた。

旅人っぽい感じだったので、いろんな話が聞けるかと期待したのが、RocketIIIの排気量と値段、自分が三台のバイクを持っていて、その種類はなになにで、的な話しかなかったので少々がっかりした。

旅の情報交換とか、したかったのになぁ。

フェリーに乗ったら、速攻でオチた。

 
 

直江津に降り立つと、すでに真っ暗だ。

休息の日々は終わり、これから走り倒すのである。

とりあえず北陸道から、日本海東北自動車道にはいり、ひたすら北上する。

高速の北端、中条インターで降りて、ナチュラルに7号線の方へ入ってしまった。海沿いの 345号と違って、7号は街中を走る。時間は夜。当然ながら夜の街の誘惑が多いので、だいぶん苦労した。

しかし、火のついた俺の旅魂は、居酒屋程度の誘惑力では止められない。

ステージに鉄パイプが立ってて、踊り子が絡みつく系の店ならともかく。

 
 

村上あたりで345号に入り、後はひたすら海沿いを進んだ。

つっても、夜中で景色が見えるわけじゃないし、夜の暗い海を見ながら走るのは、正直、ちっと寂しい。フェーン現象で、やたらクソ暑いし。そのままひた走れば、いつの間にか道はまた 7号線になり、庄内夕陽街道、112号線と名前を変えて海沿いを縫ってゆく。

その庄内夕陽街道あたりの、すでに店じまいしたドライブン。

自販機の前にバイクが止まっていたので、休憩がてら寄ってみた。RocketIIIを停め、XJR1300のそばに立っているその男に声をかける。話してみると、彼は北海道ツーリングの帰りで、この朝、本州に降り立って、そのまま下道で大阪まで帰るところだそうだ。


「北海道、寒かったですか?」

「涼しかったで。でもな、途中でタイヤ終わってもーて、交換せなならんかったんやけど、工賃、6000円も取りよったんやで? 大阪なら2000円で済むちゅぅのに」

「あぁ、シーズン価格ってやつじゃないですか? そーか、涼しいんだ。いいなぁ、こっちはず~っと暑くて弱ってるのに」

「まあ、涼しいんはいいけどな。せやかて6000円はないで」


とにかく6000円が気になるようだ。

 


しばらくダベっているうちに、彼はココで寝るという話を聞いて、俺も今日はココで休もうかなぁなんて思っていると、暗闇から声がかかる。


「こんばんわっす」

「あれ、ほかにも誰かいたんだ。ごめんなさい、起こしちゃったかな?」

「いや、どうせ寝れなかったんで。蚊がすごくて」


奥の方にニンジャをとめて寝袋で寝ていた若者が、起きてきた。彼も俺と同じく、関東から来て、なんの予定もたてずに、ただ北を走っているそうだ。考えることは、皆同じようである。 三人で、バイクの話をしたり、自分が来た道の情報を交換し合ったりした。

昼間は「これ、何cc?」みたいな話ばかりだったので、こんな時間がとても楽しい。




彼らと話しているうちに、やっぱり走りたくなってきた。

なので俺は、『そこで一泊する』と言う彼らに挨拶すると、数少ない当初の予定のひとつ、鳥海山目指して走り出した。なぁに、寝るところなんぞ、どうにでもなる。

1500から3000回転くらいの低回転で、それでもあふれるトルクを利用し、ひたすら低燃費走行を心がけた。高速と違って、スタンドが開いてるかわからないし、開いてても高速より高いわけだから、ガスは節約するに越したことはない。

そうして、普段では考えられないようなゆっくりペースで走っていると、道につれて変化する街の様子や、海岸線の田舎町らしい景色が、暗いながらも堪能できる。こんな走り方も、 これはこれでなかなか楽しいものだ。

 
 

やがて、夜中をはるかに回り、月が真上に来るころ。

道の駅「鳥海」に到着。

ココで眠って、明日の朝早く、鳥海山を走ることにしよう。

と思ったのだが、駐車場には車で一泊する連中が多かった。しかも今夜は、フェーン現象のおかげだろうか、やけに暑い。みんな、エンジンをかけてクーラーを入れたまま寝ている。 当然、排気ガスくさいし、エンジンの放熱でクソ暑い。

とてもじゃないが、彼らのそばでは眠れない。

なので、ちょっと奥まで入ってみる。

するとコッチにはトラックが停まっていて、排気も熱も、乗用車の比じゃない。


「こりゃまいったなぁ」


と、さらに奥まで入っていくと、どうやら第二、第三駐車場と言うのが見つかった。特に第三駐車場はまだ施工途中らしく、コンクリどころか、砂利もない、土まるだしの駐車場だ。さすがにここは誰もいないので、今夜の宿は第三駐車場に決める。

と言っても、時刻は夜中の2:30だ。テントを張るのはめんどくさい。

幸いにも海風が強く、虫の心配がなさそうだ。

なので、グランドシートと銀マットだけを敷いて、そこで寝ることにする。

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写真は、翌日の朝イチ。

荷物を降ろして、風でグランドシートが飛んでいかないように養生すると、ごろりと転がって夜空を眺めた。夜中で月が高かったので、昨日ほどは星が見えないが、それでもほほをなでる海風と、誰もいない大きな駐車場。 気分は悪くない。

タバコを一本つけて夜空を眺め、佐渡から持ってきたさば缶の灰皿でもみ消すころには、夕方から7時間ほど走った疲れが、大きなあくびと一緒に出てきて、俺はすぐに眠ってしまった。


そんな、四日目の話。
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# by noreturnrydeen | 2006-08-16 21:46 | ソロツーリング | Trackback

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