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冬の散歩道

 
当初は、ただ買い物に行こうと走り出したのだが。

走り出してしまえば、やっぱり楽しくなってしまうのは、もはや毎度のこと。

「買い物がすんだら、ちょっとお散歩しようかな」

そんな風に思いながら、国道464へ出て、しばらくクルマを縫いながら走る。



成田へ向かうこの道は、最近、バイパスが出来た。
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おかげでジョイフルホンダやワイルドワンが異常に近くなってしまって、嬉しいやら困ったやら。

『この道は高速道路ではありません』

てなこと書かれたカンバンを横目に、風が吹く中を気持ちよくすっ飛ばし。



ワイルドワンに到着。
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新しいコッヘルとチタンカップを買ったのだが、これは『笑ってる?』の方で。

買ったものをリュックに仕舞ったら、寒風吹きすさぶ中を走り出す。



せっかくなので、あまり知らない道を選んで走った。

もっとも、長いこと走ってるせいだろうか、テキトーに走っても東西を見失うほどではなく。

短いけど面白い曲がり道をいくつか抜けて。

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いつもの土手沿い、利根水郷ラインへ出る。



ここで一服がてら休憩しつつ、写真を撮った。

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信号待ちのドライバーが、「なんでこんなトコで写真を?」と、不審げに眺めているが気にしない。



タバコを携帯灰皿に押し込んで、晴天の下を走り出す。

土手沿いのまっすぐな道だから、曲がりを楽しむと言うより、景色や冬の冷たい空気を楽しむ。

すると、土手沿いにエスケープゾーンがあったので、停まって写真を撮る。

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別に何てことない風景なんだが、川を渡る冷たい風が、冬に走ってる感を高める。

ちょっと川を眺めたら出発。



「なはは、走り出しちゃえば、寒いけどやっぱ楽しいなぁ」

ナナメに差し込む陽光に目を細めながら、ドコドコ言う排気音をBGMにのんびりと。

今日はビューエルじゃなくて、ハーレィの気分だ。



と、公園の案内看板が出て居たので、ちょっと寄り道してみる。

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土手の向こう、川っぺりにある公園では、中学生くらいの子供たちがサッカーをやっている。

なのでなるべく離れた駐車場にユリシーズを停めた。

中学生の女の子のそばでカメラを構えるってのは、40オトコには危険すぎるのだ。



写真を撮ったり、ぼんやりとサッカーを眺めたりしてると、やはり寒さが沁みてくる。

「寒いし、帰るかなぁ……あ、そうだ! あっこだよ! あっこ行かなきゃ、かみ君!」

思いついちゃったので、とっとと走り出す。

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土手下をすっ飛ばし、途中で土手を越えて水郷道路へもどったら。

あとは一気に走って、目的の場所へ。



久しぶりに、フラットダートへやってきたマイトガイ。

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「ステップ換えてから、走ってないもんなぁ」

ま、冷静に考えたら別に走らんでもいいのだが、せっかくだからどんなもんか試したい。



「ひゃっはー! ひっさしぶりのダートランだぜ!」


大騒ぎしながら、フラットダートへアプローチ。

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で、問題の<ステップが高くなった影響>は……

そんなに違わないかな。

いや、確かに走りづらいといえば低いよりは走りづらいが、ハンドルも高いし重心も低いし、なにより元々のユリシーズが『フラットダート最速』とは言いつつ、見た目ほどオフの得意な子でもないから、ステップの影響なんて高が知れてるようだ。

「あんだ、案外いけるじゃん」

構えてた分、拍子抜けしながら、ダートランを楽しむ。



やがてダートが尽きたので、そのまま帰路につく。

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とは言え、国道6号線はそこそこ混んでるから、テキトーに裏道へ入り込み。

いつものように迷子になるのを楽しみつつ、ちんたら走る。

やがて自宅近くで6号に出たら、あとは一気にすり抜けてすっ飛ばした。




帰ってきて、駐輪場に止めた愛機を、改めて眺める。

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お世辞にもスタイリッシュな単車ではないし、前下がりでディメンションも狂ってる。

おまけにアチコチ傷だらけだし、足回りはドロだらけだし、経年以上のヤレ方だ。

だけど可動部分はマメにメンテナンスして、消耗品も早め早めに取り替えてる。



そうやって可愛がってるうちに、最近ようやく。

本当にようやく、「思ったように走れる」と思えるようになってきた。



動いて曲がってくれるウチは、やれる限りの面倒を見ながら。

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こいつと一緒に、どこまでも走っていこう。



そんな風に思った、冬の寒い午後だった。









冬の散歩道/了
文責/かみ

 
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by noreturnrydeen | 2012-12-26 17:35 | ソロツーリング | Trackback
 
 
楽しく呑んだくれるンだが、寒いから酔いが回らない

正確に言うと、おそらく酔っ払ってるんだが、酔っ払ったときの火照りや、気だるさを感じない

当然、呑むペースはハイスピードモード。



赤ワイン、秩父白ワイン、牛久白ワインと、つぎつぎビンが空いてゆく

それでもまだワインはあるし、なんならジャックダニエルはまるまる二本のこってる。

酒の尽きる心配がないから、俺のご機嫌は上がってゆくばかりだ。



ガソリンをポンピングして、次々に肉団子をゆでる。

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つっても、自分はもうお腹いっぱいだから、誰かに食わせるのが主になる。

KYくん、うわばん、しき、と団子を配って回り、気分はもうeisukeさん




やがてKYくんが帰ってゆき、後を追うようにタツヤも立ち上がる。

そこへ、よしなし先生の怒声が上がった。


「なんだよ、タツヤ。どこに行くんだ?」

「帰るんだよ。あったかいお風呂と布団が待ってるんだ」

「なんだ寒いのか。じゃあ、火に近づけよ」


いや、そういうことじゃないと思うよ? よしなし先生。





罵声を浴びながらタツヤが帰ってゆくと、入れ違いにクルマがやってくる。

秩父の紅ニ点、ピンキー&やよいちゃんの、物好きコンビだ。

この寒空の元、わざわざ仕事の研修帰りに寄ってくれたらしい。



それを聞いたしきが、すばやく暖かいうどんを取り分けて、ふたりへ渡している。

おぉ、気が利くなぁと思ってたら、「いや、あまりモンです。お腹いっぱいなんで」とヒトコト。

おそらく照れ隠し半分、気を使わせないためが半分ってトコだろう。


ホント、気持ちのいい男だ。



やつの気遣いを無駄にしちゃいけないので、周りは笑いながら、しきをいじる。

「あんだ、あまったの押し付けただけじゃねぇか」

「ひでぇヤツだ」

ニヤっと笑って返すしきの顔は、なんだかやけにオトコマエに見えた。

まあ、たぶん気のせいだけど。






ところで、俺には心配事があった。

ハイコンプのビューエルは、寒いと、とても始動性が悪い

冬の朝など、毎回、緊張を強いられるし、昼休みに一回エンジンをかけておかないと、帰るときにはセルを回した瞬間、「んがっ……」と息継ぎするほどだ。かといってやわらかいオイルは、まあ、ほら、アレだろう? そして今晩、俺たちが夜を明かすのは、魔境、秩父の川原

俺の経験つーか感覚で言えば、群馬の赤倉林道でやった雪中行軍のときより寒い場所だ。




「やべ、エンジンかけておかなくちゃ!」

「なに言ってんすか、かみさん?」

「バッカ、かけとかねーと、マジでかかんなくなるんだよ」



言い返しながらキーをオンにして、セルをひねる。

んがっ! んががが……きょきょきょ…………ぎょるっ……ぷすん。

「あーも、やっぱりだ! くっそ、少し休んで……よし、もういっちょ!」

んががっ! がるっがるっがるっ……ばるん! ばるん! どっどどっ、どっどどっ……

「かかった! あっぶねぇ!」

一発目でかからなかった時は、正直、ちょっと気が遠くなった(´・ω・`)




「ぎゃははは、それじゃあ俺が、国産の威力を見せましょう」

しきが笑いながら、キーオンしてセルを回すと、あっけなく始動するブルハチ。

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国産水冷Vツイン対メリケン空冷Vツイン。

心なしか、右のユリシーズは腰が引けてるように見える。

がんばろうぜ、相棒(´・ω・`)




寒い中、焚き火に当たりながらしゃべって笑い。

やがて、呑んでないやよいちゃんが、クルマで家に帰ってゆく。

そのクルマに乗ってきたはずのピンキーは、まるっきし帰る気配がないが、これはまあ、いつもどおり。いいだけ酔っ払って出来上がったところで、気の毒なお母さんがお迎えに来てくれるのである。最初こそ、怪しげなヤロウどもばかりで、心配してたお母さんも、最近は慣れたようだ。

ま、自分の娘の方が、ある意味、山賊らしい山賊だからね。



その女山賊、早くも出来上がってきたようで。

お気に入りのろろちゃん相手に、なにやら妙な遊びを始める。


「あ、もしもし、ろろちゃん? 今、なにしてんの?」

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と、ゴキゲンで話すピンキーが耳に当ててるのは、ごらんの通りただの薪ざっぽ

突然、狂ったかのような行動をするピンキーに、周りは大爆笑だ。

俺もノリで「もしもし」とやったのだが、あとで写真を見たらあまりに痛々しいので割愛。

よしなしんトコに写真あるから、見たいヒトはそっちで(`・ω・´)キリッ





そんな風にバカやってると。

いよいよ、秩父が本気を出してきた。

周り中に白く霜が降り、目を離すと火から遠いすべてのモノが凍り始める。


「うお、ヤバいな。凍り始めた。ちと、溶かしてやるか」

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キャンプ用必須バッグやグローブを並べ、焚き火に当てて霜を溶かす。


すると、しきのコットの後ろ側、座ってない部分も凍ってるというので、

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ビシっとに火であぶり、溶かしてやる。

ノリノリの俺と、心配そうに見つめるろろちゃんのコントラストも、山賊名物。




やがて、絶好調になってきた、かみさん43歳、哀しきマイトガイ。

「おうふ、ヘルメットも凍ってるじゃないかデュフフフ……」

泥酔気味のマヌケな笑顔でユリシーズに近づくと、ヘルメットを持って舞い戻り。

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ヘルメット・オン・ファイア

ろろちゃんはすでに、何かをあきらめた表情で見守ってくれている。

いつもハラハラさせてごめんね?



とまあ、「寒くて酔えん」とか言いながら、しこたま呑んでいいだけ酔っ払い。

みなが大騒ぎする中、俺はひと足先にギブアップ。「もう寝るのか」と、からかわれながらもテントの中へ引っ込み、買ったばかりのダウンシュラフへもぐりこむ。聞こえてくるみんなの楽しそうな声に、なんどか後ろ髪を引かれつつ、テントを出たり入ったり。

最後は秘密兵器<耳栓>をねじ込む。



静寂と満足に包まれて、

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俺は心地よい眠りについた。







あけて翌朝。

新しいシュラフは、冷気をカンペキに遮断してくれ。

100均の耳栓も、きちんと仕事をこなしてくれたようだ。

そのため、今迄でイチバン深い眠りにつけた俺は、実に爽快な気分で目を覚ます。

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外はまだ霜が降りて、空気が肌を刺すように冷たい。

「おはよう! いやぁ、気持ちよく眠れたよ! ダウンシュラフと耳栓、最強だな!」

などと能天気に騒いでると、よしなしがあきれたように、「タツヤが来たのに気づかなかったんですか?」と聞いてくる。筑波へ行くといってたのだが、その前にこちらへ寄ったらしい。もちろんビタイチ知らない俺がびっくりしていると、うわばんもうなずきながら、「爆音でしたよ」と半笑い。

迷惑な話だが、秩父では圧倒的な権力を持ってるオトコだけに、文句も言えなかったのだろう。

こっちのホームに来たときにでも、いいだけ叩いてやろう。




クルマのよしなしとうわばんは、撤収にさほど時間がかからない。

なので、ゴミを片付けてくれたりしてる。

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ろろちゃんやしきも、撤収を半分ほど終えている。

つっても各自勝手にやって、勝手に帰るのがマーマレードスタイル。

俺はアルストを持ってくると、お湯を沸かし始めた。




と、昨日ろろちゃんにもらったお吸い物が見当たらない。


「あれ? ろろちゃんにもらったお吸い物がないぞ? しかたない、白湯でも飲むか」

「しょうがないなぁ。かみさん、コーヒーあげるよ」

「おぉ、ありがとう!」


顆粒タイプのコーヒーをもらって、ゆっくりと飲みながら、朝の空気を楽しむ。

焚き火を焚いて騒ぐ野宴もいいが、ピンと張り詰めた冬の朝の空気もいい。

これで連休だったら、どこまででも走っていけるのになぁ。




ふと、写真を撮りたくなったので、みなの単車を撮って回る。

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青空に映える、ろろちゃんのBMW‐F800S。




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夜はLEDでド派手だが、明るいとマットブラックが渋い、しきのブルバード800。




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そして、俺のユリシーズと、一夜を過ごした<屋根だけテント>。

見たまんま、普通のテントより、地べたに直な分だけ寒いんだが、ダウンシュラフは偉大だ。

でも、さすがにもうコットは寒いだろうから、次回はまた別の装備を持ってくる予定。

予定つーかもう買っちゃったから、決定事項(´▽`)





ユリシーズの車体は、日のあたらない部分が、まだ霜で覆われている。

「そうとう寒かっただろうから、こらあ、充分に暖めないと機嫌が悪いだろうなぁ」

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春菊(ライト内ハムスターの名前)も、心なしかスネてるっぽい。




なんて写真を撮って遊びながら、ちんたら撤収していると。

準備の出来た、よしなし、うわばん、しきと、順に片手を上げて帰ってゆく。

ろろちゃんはテントを干すのに時間がかかったのだろう、まだ作業中だ。



そんなろろちゃんより、ひと足さきに撤収を終え、「またね」と笑って走り出したところで。

本日の山賊宴会は、無事、トラブルなく終了。

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いつものメンツ、初参加の長いダチ、わざわざ顔を出してくれた面々。

みんなに感謝したくなる、相変わらず笑い倒した野宴だった。

やっぱり、寒い中で火を焚くのが、イチバン楽しいね。



さて、今年もそろそろカウントダウンだけど。

山賊にとっては、冬こそオンシーズン。

宴会は無理かもしれないけど、

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年内にもう一回くらい、ソロで野宿しようかな。





秩父山賊宴会 ―初冬の山賊― / 了
文責/かみ

 







 
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by noreturnrydeen | 2012-12-01 16:24 | エンカイ | Trackback
 

さて、毎度おなじみ、週末の山賊宴会……なのだが。
 

出発予定の一時間前から、オモテは土砂降り

「こらぁ、さすがに出れねぇなぁ……♪土砂降りの雨がぁ~♪ じゃねぇっつんだ」
 
ジギーの「I'M GETTIN' BLUE」を口ずさみながら、二時間ほど凹んでると。
 

予定時刻を一時間ほど過ぎて、ようやく雨が上がった。

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「ひゃっはー! 誰が雨男だって? ざまあ見やがれ!」(実際、降ってました)

使用頻度の低いものを色々と削り、またもコンパクトになった荷物を積んで。

さあ、出かけよう!



XB12Sのフロントマスク、通称<まろやかカウル>は、高速にとても弱い。

だが、雨で一時間ほど押してるので、いつものようにのんびりとは走れない。

乾き始めた高速を、まろやかフェイスの上限160スピードですっ飛ばす。



叩きつけてくる風に上半身を押し戻されつつ、遊んでくれる四輪とやりあいながら、

「くっそ、押し戻される! ネイキッドで200スピードとか出すやつぁ、絶対ドタマ狂ってる!」

と、世の<バトル系ネイキッド乗り>を罵(ののし)るマイトガイ。


群馬ツーリング以来の戦闘モードですりぬけ、ようやく秩父に到着。




まずは140号線沿いのベルクで、酒と食料の買い出しだ。

ワインや肉団子を見繕ってレジに並ぼうとすると、なにやら怪しげな人影が見える。

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埼玉のスーパースター、ろろちゃんだ。

かごいっぱいに、色んなものを買い込んでる。


「ちょ、ろろちゃん! どんだけ買い込んでんのよ!」

「かみさんは、それだけ? 足りるのかい?」


バッグにジャックダニエルが一本入ってるから大丈夫(´▽`)




無事に買い物を済ませて、いつもの川原へ走ってゆくと。

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「なんだ? えらいイキオイで雑草が刈られてるじゃん! 広々としちゃったねぇ」

「別の場所みたいだねぇ。せっかくだから、いつもと違うところでやろうか」

「そだね、ここ吹きっさらしで寒いしね」



つわけで、他によさそうな場所がないか、探索開始だ。

どんどん奥へ進み、ほとんど川の真横あたりまで入り込んだ、かみさん43歳。

「ステップ上げたから、さすがに岩だらけのダートは厳しいなぁ。いっそスタンディングか」

ブツブツ言いながら、ガレガレの岩場でUターンしようとした瞬間



リアがズっと滑って足をつく。

しかし、足をついた先も砂利が敷き詰められてるわけで。



「くそったれ、あきらめるもんかっ…………あ、ダメだ」



















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あきらめたので、試合終了。

「ここんとこ、キャンプっちゃ立ちゴケしてんなぁ。秩父には陰謀の匂いがする

と、秩父へアサッテな疑いを吹っかけながら、カメラを取り出して撮影。

写真を撮ってひと息ついたら、リアシートから荷物を降ろす。このままだと、重いのと足場が悪いのとで、起こせないのだ。全部おろして車体を起こし、いちおう不具合を確かめる。ハンドルが少し曲ったぽいが、あとは問題なさそう。キズとかはハナから気にしないしね。

「とりあえず、ろろちゃんトコへもどろう」




ろろちゃんのいる広い場所へもどって、立ちゴケの経緯を話す。

それから、あらためて荷物を降ろした。いつもよりずいぶんと奥まったところだが、なんつっても今まで草ぼうぼうで入れなかった場所だ。ものめずらしさも手伝って、今回のキャンプ地をこの場所へ決める。それから、タバコを買い忘れたので、近くのコンビニまで。

走りがてら、ユリシーズのダメージをチェックすると、どうやら大丈夫そうだ。



戻って来て、宴の仕度を整えていると。

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よしなし先生が、茨城から到着した。

今回は秩父を影から支配するチンピラ、タツヤが不参加なので、きっと足りないであろうマキを持ってきて来てくれたために、いつものBMWではなく、オンボッコ号でやってきた。なので、いつものように暴言を吐いたりはせず、「おーさんきゅー!」とやさしい笑顔で迎える。

もちろん、迎えたのはよしなしじゃなくて、マキの束の方だけど。



と、積み上げられてゆくマキの束を見ていたろろちゃん。

「ボクもマキを持ってきたんだ」

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この国だとそれは、マキじゃなく「わりばし」って呼ぶんだよ、ろろちゃん。


「ぎゃははは! そんなん、あっという間に燃やしきっちゃうんじゃね?」

「キミは割り箸のチカラを分かってないね」


ろろちゃん、やけに自信満々で割り箸を燃やし始め

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「ごらんよ、ちゃんと焚き木として使えるじゃないか」

割り箸を火にくべるペースが早いことには、今は触れないでおこう。




暗くなる前に、ある程度メシの仕度をしておこう。

ベルクの袋から、買って来た材料を取り出す。

「あぁ! なんてこった! ツブれてんじゃん!」

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先ほどかました、立ちゴケの爪痕だろう。

つっても、カタチが崩れたって、中身が変わるわけじゃない。

オプティマス(ガソリンストーブ)でコッヘルに湯を沸かし、顆粒の昆布ダシを加えたら、あとは鶏だんごを次々と放り込んで、遠慮なくガンガン煮るだけ。だんごからもダシが出て、昆布と鶏のハーモニーを魅せてくれるだろうと目論(もくろ)みつつ煮込んでいると。

携帯が鳴った。

画面に表示される名前を見て、俺は思わずニヤリとする。

長年のダチ、うわばんだ。



うわばってオトコとは、かれこれ10年以上の付き合いになる。

俺のダチとしては珍しく、単車に乗らない。

なので、家で一緒に呑んだり、俺の実弟のライブを見に行ったりして遊ぶことが多かった。当然、いままで山賊宴会に顔を出したことはなかったのだが、ユルベルトでろろちゃんやよしなしと何度か遊んでるうちに、来てみたくなったのだろう。

今回、山賊宴会に初参戦してきたのだ。

ちなみに「うわば」が本来のハンドルネームで、「うわばん」ってのは活用形だから気をつけろ。



電話でうわばんに、ココまでのルートを説明する。

が、俺は多弁だけどバカなので、上手く説明できない。

ろろちゃんに代わってもらって、ココまでのルートを説明してもらった。


後で聞いたら、本当にすぐ近くまで来れてたらしい。

いつもどおり、見やすいところで火を焚いてれば、見つけられたかもね。

ま、来れたんだから、どうでもいいけどね。



んで、電話を切ると入れ違いに、こんだ「しき」から電話。

これも同じく、ろろちゃんにまかせて、俺は俺の仕事をする。

もちろん、やつらの目印とするための焚き火を焚くのだ。




焚き火を焚いてると、うわばんがやってきた。


「先生(うわは俺をこう呼ぶ)、誕生日おめでとうございます」

「おお、ありがとう! これはなんだ……おぉ、ジャックダニエル! ありがとな!」

「ナニ言ってるんですか! それだけなワケがないじゃないですか」


うわばん、ニヤッと笑って袋を差し出す。

のぞいてみると中には、彼の地元の酒にして俺んちのハウスワインでもある、『牛久ワイン』の白が二本。ちなみにハウスワインの赤は、オーストラリアのイーグルホーク、カベルネ。それはともかく、俺は歓声を上げて喜びながら二本のワインを取り出して、自分の手元に並べた。

いや別に、誰も取りゃしないんだが、酒飲みってのは意地汚いのだ。




無事に合流したうわばんが、炎の前で腰を落ち着けるころには。

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焚き火も勢いを増している。

「はは、これこれ。やっぱし火を焚いてこその山賊宴会だよな」

なんつってると、どよどよとVツインの音が聞こえる。


「お、しきか……にしちゃ、ちょっと静かだな」

よしなしと一緒に首をかしげていると、やってきたバイクが停まり、暗闇からヒトが歩いてきた。

秩父と言えばこのヒト、タンクトップエンペラーのタツヤだ。

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この寒空に、さっそく服を脱ぎはじめているところはさすがである。


「あんだおめ、ロケットじゃないんけ?」

「今日はV‐RODです」

「ああ、姉ちゃんのだっけか」


お姉ちゃんに、「たまには動かしてくれ」と預かったらしいのだが、夜のちょい乗りってエンジンにいいのか?



それはともかく。

今日は帰るんで、珍しくノンアルコールビールなんか呑んでるタツヤも加え、山賊宴会はヒートアップ。

炎に照らされたダチの顔を眺めながら、呑み、話し、笑う。気の置けない連中と呑む酒は、世界のどんな美酒にも勝るわけで、買って来た秩父の地ワインはあっという間にカラ。よし、それじゃあ早速、うわばんの持って来てくれた牛久ワインを飲もう。


「あれ、ワインオープナ忘れた。よしなし、持ってない?」

「ありますよ……はいこれ。つーか自分もワイン買って来たんじゃないんですか?」

コルクを粉々に砕いて、コーヒーのフィルターで漉(こ)すとかなら、得意なんだけどな」



バカ話して笑ってると、今度は地元のKYくんが顔を出してくれる。

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なんと土産に、地ワインの白を買ってきてくれた。

もちろんすばやく自分のフトコロへ仕舞いこむ、あさましい呑んだくれ。

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ジャックダニエル二本に、赤ワイン一本、白ワイン三本。

今、コレを書きながら、このときの俺がうらやましくて仕方ない。



もはや、宴会というより酒盛りと呼んだ方がしっくりくるような宴の中。

ゲラゲラ笑って呑んでると、やかましいエンジン音とともに、青い光がやってくる。

「おぉ、来たな!」

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そろそろ常連と言っていいだろう、しき&ブルバード800の登場だ。


「おめ、ベルクからココまで何分かかってんだよ!」

「いやー、思いっきり迷いました」


5分の道を一時間もか?

迷ったってレヴェルじゃない
ぞ、それは?




しきの豪快な迷いっぷりに大笑いしたら、もちろん酒盛りは絶好調。

荷物を降ろしてテントを張ってるしきを横目に、ガンガン呑んだくれる(主に俺が)。

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しきのテーブルやコンロは、他の連中と少し毛色が違う。

単車乗りなんてのは、基本的に天邪鬼つーかひねくれ者だから、みなとまったく同じものをなかなか使いたがらないのだ。んで、何度か試して不具合を感じたり、他のヒトの道具の使いやすさに感動したりして、次々と買い換えつつ、最終的におんなじモノだった、なんてのもよくある話。



その上、しきは持って生まれた星回りが悪いのか、同じものを使っても先に壊れる
 
実は今回、ついに俺のコットが壊れた。

だが、同じのを使ってたしきは、すでに壊して新しいのを買ってきてた。俺が20泊くれぇ使って一部破れたのに対し、しきはほぼ毎回ぶっ壊してる。俺だって扱いは乱暴だから、これはもう、しきの使い方か星回りのどっちかが原因に決まってる。

そのしきは早速、コンロを不完全燃焼させ、まわりに生ガスを撒き散らしてた。

さすがの星回り、天才と言ってもいいだろう。

これから、トラブル係はしきに任せて、俺は引退しようと思う。



そんなこんなで、勢ぞろい。

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初冬の秩父、気温はすでにゼロからマイナス。

それでも焚き火を囲んだ山賊どものテンションは高く、笑い声が絶えない。

右を見ても左を見ても、目に入るのはバカばっかり


やっぱり、山賊宴会は最高だ。
 



発動編に続く
 





 
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by noreturnrydeen | 2012-12-01 16:21 | エンカイ | Trackback

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