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キャス宴会

仕事がはねても、自営業者らしい面倒ごとは残ってたりするわけで。

銀行と税務署に行ってその面倒ごとをやっつけると、えらい中途半端な時間。夕方には、筑波サーキットを走り終えたキャスタが遊びに来るので、これから走りに行くのは無理。

おとなしく家に帰って、銀星にメール。

『明日休みなら遊びにこい』とメールしたら、『休みじゃないけど遊びにいく』と返事が来た。栃木から飛んでくるつーンだから、相変わらずフットワークの軽い男だ。来るってコトは飲むわけで、当然、泊まり=朝っぱら渋滞なわけだから、俺ならめんどくさくなっちゃうだろうなぁ。



と、moto君からメールで『箱根でZさんと会いました』。

なるほどダメ人間は惹き合うものなんだなと思ってたら、こないだYZF-R1を買ったばかりのK君も一緒にいると言う。例のケモライドで一緒に走った若者だ。んで、結局、Zの提案で、彼は箱根から関越~磐越~常磐と言う鬼のルートをたった一人で走って行ったらしい。

相変わらず強靭な身体と精神だねぇ。

 


さて、夕方になるとキャスタがやってきた。

さすがに帰るから今日は飲まないとのコト。もちろん俺は、自分さえ呑めりゃぁ、相手が飲んでようが飲んでまいが関係ないので、まったく文句なし。さくさくとビールを開けてカンパイ。呑みながらバカ話をしていると、やがて銀星がやってくる。ほどなく、彼女を寝かしつけたZも到着。
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俺とキャスタ。キャスタはすでに、我が家でイチバン居心地のいい、ベッドマットの上に陣取ってる。呑んでないから関係ないけど、呑んでるときはこの場所がイチバン、寝オチしやすくて楽なのだ。夜、寝室からトイレに行く俺に踏まれる可能性はあるけど。

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銀星とZ。Zはこの位置が定番。銀は最近、ようやくぶっ潰れないで呑むようになってきた。つまり、すでに呑み方が俺より大人なわけだ。成長、著しい。つーか俺がもう少し成長しなさいよって話だ。もうすぐ40で成長もクソもねーけどな。

んで、呑んだくれて(俺が)ぶっ潰れて(俺が)、楽しい夜をすごした。

みんな、ありがと。

 
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by noreturnrydeen | 2007-09-26 09:53 | エンカイ | Trackback
 

さて、最近ドハマりのケモライド、二回目の挑戦。

今回行くのは、前回行ったコースに、その先の『ホンキで厳しい地獄のコース』を加えたオールコースである。こないだ、散々しんどい思いをしたあそこを前哨戦にするとか、正直、「なに言ってんだ、アンタ?」て話だ。

しかしもちろん、そんな俺やK君の心の叫びは、あの男の胸には届かない。

 

日曜日、何とか風邪を退治して、雨の中、moto家に向かって走り出す。

moto君の実家で待ち合わせ、例のトレーラハウスで一服しながらしばらく話し込んだ。それから彼の家に向かい、愛妻Tちゃんと、愛息Nくんにご挨拶。と、晩飯の材料のひとつを買い忘れたというmoto君が、スクーターに乗って買い出しに出かける。

そう。

ここで俺は、彼の愛妻Tちゃんとふたりっきりになったのである(息子がいます)

となれば、スケベ大魔神の誉れも高い俺様が、ちょっかい出さないわけがない。さくさくっと口説いて彼女と心を通わせた俺は、ダンナの居ぬ間にと、彼女の身体に手を這わせた。Tちゃんは力を抜いて目を閉じると、俺の手にすべてをゆだねたのだった(完)



完じゃない。

いや、今回、moto君の家に前日入りした理由のひとつに、「嫁の首の調子が悪いから診てやってくれまいか?」と言うのがあったのである。コレでもいちおう、この道20年なので、それじゃ、ケモライドでそっちに行く機会に治療しようか、と約束していたのだ。

Tちゃんを治療しているうちに、moto君が帰宅。

入れ違いに、こんどはmoto君の腰を診る。腰つーか腰をかばってイカれかけてる脚やケツなんだけど。前回のケモライドの後、moto君の動きを見てて、脚の動きがおかしいなと思ってたので、いい機会だから一緒に治療しとこうとなったわけである。

 

愛息Nくんをからかいながら、moto君の治療も済み。

さて、ビール飲もうぜ!

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moto君とN君。溺愛してるが、甘やかさない姿勢は好感が持てる。

 
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Tちゃんとmoto君。こっちは、もう少し甘やかしてあげなね?

moto君とは何度も飲んでるし、話も会うから楽しくて当たり前なんだが、Tちゃんも話しててすごく楽しい子だった。単車の話や、いろんな話で盛り上がれるダチと飲んだくれるだけでも最高なのに、傍らには可愛らしい女の子が、一緒に飲んで笑ってるのだ。

そりゃ、絶好調に楽しい宴会に決まってる。

そのかわいい女の子が、たとえ人の嫁さんだとしても

いや悔しくない。ホントだ。ホントにホントだ。俺の目を見るな。

 

ビール、焼酎、日本酒。

合わせるつまみは、moto君が目の前でさばいてくれた秋刀魚刺。延々と飲んだくれ、笑いっぱなしの、しゃべりっぱなし。も、これ以上楽しくなったら、俺、ひきつけ起こしちゃうかも的な盛り上がりの中、不意にmoto君がつぶやく。

「かみさん! このまま寝ないでケモライドいきますか!」

と言う、『何を発病したんだこいつは?』的セリフに、時計を見れば。

3:00ってなに?

あわてて(自分の)スイッチを切り、用意してもらってた布団にもぐりこんだ。



翌朝。

「かみさん、やばい!」

のセリフに起きた俺は「今何時?」と質問を返す。

んで返ってきた答えが、7:30。

うん、完璧に寝過ごしたね。たしかK君と待ち合わせた時間は5:00だったよね。


飛び起きて荷物をまとめ、慌てるあまりTちゃんに挨拶もしないで(Nくんにはした)moto君のクルマの後ろについて、待ち合わせ場所へ。ま、結果的にはK君も遅刻してたつーか、moto君が起きられたのは、K君からの遅刻をあやまる電話が来たからだったのだ。

K君、思いっクソ寝坊して、ビビりながら恐る恐る電話してみたら。

モノすげぇ不機嫌そうなmoto君の声が聞こえて、慌ててすっ飛んできたらしい。

ま、不機嫌だったんじゃなくて、起き抜けの寝ぼけ声だっただけなんだが。




moto君のトラックに、三人の単車を積んで、いざ、ケモライドコースへ。

前回はあまりよく道を覚えてなかったので、今回はしっかりと道を頭に刻みながら、途中、moto君のTTRにガソリン入れたり、朝飯や昼飯、ケモライド必須アイテムのスポーツドリンクを買ったりしつつ、ようやく、D山駐車場に到着。

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今回は、前回のコースにプラスして、moto君が彼のケモライド師匠であるtomohitoさんに教わったより一層へヴィなケモノ道を行くわけだ。こういう情報と言うのは、知らない我々にとっては、まさに値万金、宝石よりも貴重なものである。

心から感謝するとともに、教えなきゃよかったと思われぬよう、また恩を仇で返すことにならないよう、ケモノ道ルールをきちんと守って走り、伝えるように努める所存だ。と言うわけで、場所の詳細など、明記しない部分もあるが了承されたい。

文章硬いな。

 

前回と同じ場所から、同じようにケモノミチへ入ってゆく。

あれから、それほど日がたってない(約二週間)ためか、セクションやそのつなぎも、なんとなく記憶にある場所が多い。全体の長さの見当もだいたいつくので、精神的にすごく楽だ。フロントフォークを落として足つきを良くしたのも、すごく効いてる。まるきし怖くない。

怖くないから、大胆に攻められる。

結果、あっという間に前回最大の難所だったポイントに到着した。

そんな俺とは逆に、今回かなり苦しい思いをしているのがK君

なんとこの男、先日、サーキットでモタードをやってきた時のハイシートのまま、今日この場に来てしまっていたのだ。そう、片足つんつんバレリーナ状態でケモノミチ。なにゆえそこまで男道なんだK君? どんだけ求道精神あふれてンだって話だ。

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Vの入り口で、ヘバるK君。

なんつって余裕こいてるけど、俺も休憩して初めて、結構疲れてることに気づく。精神的に楽だから気づきづらいだけで、ケモライドは、身体への負担が大きいと言う証明だ。びっしょり大汗かいて、昨日の酒、全部出ちゃったしね。

寝坊のせいで時間もない。と言うことで難関セクションは、協力体制を敷いて引っ張り、押しながら登る。ま、moto君はほとんど助けなしで上がっちゃったけど。思うに、ヤツの単車にはジャイロか何かがついてるに違いない。

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前回の最終休憩ポイント。

今回はココから戻らずに、さらに先へと踏み込んでゆくことになる。ここで飯を食い、休憩を入れてから、いよいよまだ見ぬ地獄へと連れて行ってもらうわけだ。なんだかんだ、息が上がっていて、固形物が取れる状態じゃなかったので、俺はウィダーインゼリーで済ませた。

 

さぁ、休憩もいれたことだし、いよいよ出発しますか。

とここで、俺とK君にとって非常に幸いな出来事が起こった。

今回のコース、半端じゃないとmoto君に脅かされていたので、実は、前述のtomohiroさんを筆頭にココを走った方々のブログを精読して、ある程度知識だけ仕入れていた。その中でも、かなり厳しそうだとビビっていた、『つるつる坂』と呼ばれるセクション。

そこに来た時に、moto君が意外そうな声を上げる。

「あれ? 今日はぜんぜん滑らない」

きっと気合で風邪を治した俺や、ハイシートでセクションに挑む『魁男塾』K君を、神が哀れんでくれたのだろう。もっとも通過に苦労するだろうと思われていた場所が、少なくとも普段よりは圧倒的に登りやすいだろうコンディションになっていたのである。

事実、俺もK君も転倒一回で、何とか登ることが出来た。

いや、つっても言わせてもらえれば、俺にとってはぜんぜん登りやすい状態ではなかったけどね。アレが濡れてて、立ってることもままならないほどすべると言う、『いつもの状態』だったら、俺なら近くにテント張って舗装されるまで待ち続けるね、ホント。

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で、この写真の奥の方から出てきたところで、目の前に舗装路が見えた。

「お疲れ様でしたー! これで終わりです」

moto君の言葉に、思わず目が点になる。コレで終わり? うそでしょ? 他の人のブログじゃ、もっとイロイロ難所があったような気がしたんだけどなぁ。なんて腑に落ちない顔をしている俺の横で、K君が安堵の表情を浮かべている。ハイシート、キツかっただろうからなぁ……



「なワケねーだろ! こっからが地獄の始まりだよ~ん!」



絶望。

この言葉を顔にしたら、このときのK君の顔になるだろう。もちろん、うすうす分かってはいたんだろうけれど、それでも「終わり」の言葉に安堵してしまった、彼の素直さが敗因だ。むしろ、moto君の鬼っぷりの勝利。さすがに自他共に認めるドS。恐るべし、moto。

 

さらに、↓この場所の前でmoto君、明らかに様子のおかしなことを言い始めた。

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「ここが入り口です」


え~と、君は俺に見えない誰かとお話してるのかな?

少なくともその『入り口』ってのが、俺の脳には認識できないんだけど?




こうなればとにかく、moto君の後ろについて走るしかない。

moto君、K君、俺の順番で地獄へと入っていくわけだが、先がどうなっているのか、俺には一切わからないので、ある程度、車間距離をあけて走りだした。んで件(くだん)の『入り口』とやらに進んでゆくと。

「おわっ」

いきなり数十センチの落差。

何とか転ばずに先へ進むと、しばらくの間は延々と下りが続く。いや、この日本語では、俺の体験を正確に表記できてない。斜度45度の下り坂、それも道幅なんてないに等しい下り坂の一面が枯葉で覆われている。

もちろん、片側はガケだ。
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上の写真を見ながら、モニターを上に向けて、斜め45度くらいに傾けてくれ。

傾けた? 横から見たら『イ』こんな風になった?

じゃぁ、イメージしてみて欲しい。

そこをバイクで下るのだ。

左に落ちたら確実に大怪我するから、気をつけて。

 

俺とK君は表情を引き締め、緊張しながら気合で下っていく。

当然、一度や二度すっ転ぶのだが、さすがにここで派手にすっ転んだら、いろんな意味で後がないので、俺は何とか自力でリカバリできるところに踏みとどまる。

K君は一度、下りながら転んだのに、単車が登り方向に向いていると言う、なかなかハデな転び方をしてた。さすが男塾。そのあとリカバリにチャレンジするも、あえなく断念。moto君がヘルプに入るが、そのmoto君でさえ、さすがにてこずって『クソッ!』と叫んでいた。

一瞬、軽く殺伐として、申し訳ないけど、俺はニヤついてしまった。

遊びってのは、ホンキでやればやるほど、楽しい。



そのあとも、セクションとセクションのつなぎって言うより、俺にとっては全域がセクションみたいな道を、おっと間違えた、これはもう誰がなんと言おうと道じゃない場所を、moto君はガンガン進んでゆく。

一方、難所のたびに、俺を振り返って不安げなまなざしを送ってくるK君。

(お互い、かなりきびしいよね。でも、がんばろうぜっ!)

と、弱者ふたりはアイコンタクトで会話しつつ、何とか進んでゆく。そのうち、ある場所でK君が転んだ。そのとき、寡黙な彼には珍しく『ヴァッ』とか日本語で表記するのが非常に困難な悲鳴を上げる。しょっちゅう『ぬぉっ!』とか叫んでる俺と違って、あのK君の悲鳴だ。

こりゃヤバいっ!

慌てて駆け寄ると、K君、V字の壁と車体で右足を挟まれている。右足と言えば、すぐそばにあるのは、カンカンに焼けたエキパイだ。俺とmoto君で車体を起こし、K君に様子を聞くと、ねじったり火傷したりはなくて、単純にはさんだだけらしい。ほっと安心。

ついでにココで、休憩となった。

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疲労で心折られかけているK君。

モザイクの下はすげぇ悲しい笑顔だったりする。

 

K君の右足の痛みが引いたところで、またも走り出す。

も、どんな所をとか、どのくらい難しいとか、どんだけしんどいとかは書けない。実際に体験する以外に、伝える方法はないと思う。ただひとつだけ実感できたことは、この間と今回の、たった二回のケモライドだけで、知らない間に、単車の扱い方がずいぶんと変わってきた。

なにをすべきか、少しずつ分かるようになってきたし、分かったことを実際にやれるようになってきたのだ。もちろん、ベテランケモライダーから見れば児戯に等しいだろうが、たとえば必要なときに、きちんとフロントアップしたりとか、いつの間にかできるようになってる。

これほどしんどいのに、それが嬉しくてニヤニヤしてしまうのだ。

 

深い泥水の中を走り、ぐちゃぐちゃのドロの中を走り、V字にタイアを取られ、ガケにすっ飛びそうになり、木の根に足を取られ、ツタにからめとられ、車高より低い倒木をくぐり、アクセルを開け、クラッチを使い、立ち、座り、とにかく走って走って、走る。

やがて、沢のそばで休憩になった。

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あぁ、やっぱり写真じゃ伝わらない。

俺の撮影がヘタなのももちろんあるだろうけど、身体から湯気を上げつつ沢に下り、冷たく澄んだ沢の水を頭からかぶったときの、全身から邪気が抜けてゆくような爽快感。それを感じながら、ふと見上げた先にあるこんな風景は、もう、たまらなく甘美だ。

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水は思わず笑みがこぼれるほど、冷たく美しい。

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沢のそばに身を置くだけで、不思議と、素直で穏やかな表情になってゆく。

 

たっぷりと沢の水で身体を冷やし、自然の恵みに癒されたら、さぁ、走り出そう。

とはいえ、道はもちろん有って無きが如し。moto君こそ、セクションを越えながら『きゃっほーっ!』とかありえない元気っぷりを発揮しているが、俺とK君はほうほうの体(てい)で、相変わらずアイコンタクトで励ましあいながら、moto君の後を必死に追う。

草ぼうぼうの急坂(当然、すべる草の上を下る)だの、イノシシのドロ浴びの跡だの、倒木越えだのを、とにかく、最後の力を振り絞って、残った体力とわずかばかりの技術を総動員して、修験者の表情で進んでゆく。

と。


舗装路だ。


振り返ったK君の顔に、安堵の笑みが浮かんでいる。俺の顔も、もちろんゆるんでいる。一般的には、ものすごく荒れて、落ち葉の渦巻く走りづらい道なんだろうが、ケモノの後は話が別。俺とK君にとっては、高速道路より広くて安心できる、走りやすさ抜群の道だ。

その道で、昼飯を食った水のみ場まで戻る。

この間、ここで出会った老夫婦と、今回も偶然再会した。おじさんも、おばさんも、相変わらず元気だった。なんだかうれしくなって、俺は疲れて寝転がりながらも、ニヤニヤとしてしまう。程よく休憩を入れたら、さて、最後はあの尾根越えルートだ。

気を抜かず、最後までしっかり走ろう。



ここで俺とK君が順番を入れ替え、俺はmoto君の後について走る。つーかね、この尾根越えルートだって、一般的に言ったら、充分すぎるくらいガッチリと林道なワケだよ。落っこちたら絶対引き上げられないようなガケが、場合によっては両側にあるんだよ。

moto君、飛ばす飛ばす。

それでもボケっと走るよりは緊張が続いてキッチリ走れるから、俺も気合を入れてmoto君を追った。時々離されるけど、先が急に倒木でふさがれてたりするので、そこで減速せざるを得ない分、何とか見失わずに走ることが出来た。もちろん、K君もガンガンぶっ飛ばしてる。

数十分、体感的には数分で、俺たちは無事、駐車場に帰り着くことが出来た。

 
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moto君とK君は、ここでトラックにバイクを積んで帰り、俺はこのまま柏へ帰る。

着替えて、帰り支度をしたら、今回のcrazy marmalade ちっちゃいもん倶楽部は、全身筋肉痛で、どこをどう動かしても筋けいれんを起こすほどボロボロになってる癖に、妙に『終わりたくないなぁ』と後ろ髪を引かれながら、無事終了だ。

 
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気の毒なランツァ。ちょうど納車一ヶ月にして、すでに当初の面影なし。

 
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これが、オトコK君の魂のハイシート。ひとりだけ、明らかに腰の位置が違う。

 

このあと、駐車場でランツァの試乗会をやった。

K君が乗ったら、お次はmoto君。

変態ライダーの面目躍如。いろんなパフォーマンスを見せてくれる。あんまりすげぇので、うっかりず~っと見とれてしまって、動画ほとんど撮りはぐった。ごめん。ちょっとだけ撮れたやつを編集したので、ヤツの変態っぷりの片鱗でも味わって欲しい。




オフロードに乗り始めて、ちょうど一ヶ月。

その間に二回、ケモライドに参加させてもらって、俺の単車に対する姿勢が、だいぶん変化し始めている。SDRの時も感じた操る喜び。アレに数倍する操る喜びを、この新しいステージは俺に与えてくれるのだ。楽しくて、楽しくて、ひきつけ起こしそうだ。

最初こそロードに、それもクルーザーで攻める走りに、何かしら生かせるといいなぁくらいの考えでしかなかったが、今、俺はオフの面白さにどっぷりとハマっている。単車ってのは、まだまだ、こんなに奥が深くて面白いんだ。操るってのは、こんなに難しくて楽しいんだ。

この先なにがどうなるなんて、俺自身、見当もつかないけど。

 

俺は、単車に乗ってられりゃ、ハッピーだよ。

 
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by noreturnrydeen | 2007-09-24 13:46 | ちっちゃいもん倶楽部 | Trackback
 

怖くても、逃げ場はない。前に進むしかない。

でもやけくそじゃうまくいかない。怪我するのがオチだ。クチサキじゃ登れない。ハスに構えていたらクリアできない。ケモライドは、言い訳の入る余地が一切ない、怖く、厳しく、しかし、だからこそ気持ちいい世界だ。

己の器を思い知り、謙虚な気持ちで自分と戦う。

今まで単車で走った中で、イチバン厳しく美しい世界だ。

 

クリアしたmoto君は、俺たちを指導しつつ、余裕で遊んでる。
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鬼の体力。

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手前の木のところでやめかけたので、カメラを向けたら、綱渡りを始めた

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基本的に、エンターテイナーなんだろう。お調子者とも言う。

 

何度もチャレンジするが、俺もK君もクリアできず。

やがて、時間的な余裕がなくなったので、moto君がDトラとランツアに乗ってセクションアタックし、俺とK君が補助として押す。人の単車に乗って、ほとんど上まで駆け上がってしまうんだから、やはりmotoと言う男、只者ではない。

むしろ、化け物だ。


「さぁ、あとは湧き水のある場所に行って休憩し、尾根伝いに帰りましょう」


ほっと気を抜きかけて、いかんいかんと自戒する。

案の定、『この先は楽』って言ったけど、結構厳しい。だが、確かに厳しく、怖い場所も多いのだが、難関の後だからかすんなりと進める。怖いんだけど、それでも冷静になって『ココは斜めってるから、後輪を落とさないように』とか、自分で思いつける。

操る技術はともかく、それを自分で見つけられるようになったのがうれしい。

山に入ったときよりは、確実にランツァ任せじゃなくなってる。俺もやれるじゃないか。

いやもちろん、まだまだ乗せられてるんだけど。

 
 

だんだん、道がなくなる。

といっても今までの意味じゃない。

いくつかのセクションを含めてケモライドしてきて、山の中でも『あ、アレが道だな』と見つけられるようになったはずなのに、それでも道が見つけられないのだ。木の間を縫うように走るのだから、これっぱかしも道じゃないわけで、当たり前なのだが。

木の間をまっすぐ走るのではない。

文字通り縫うようにジグザグと走るのである。もちろんそれは、moto君が意地悪してるんじゃなくて、無駄にジグザグしてるように見えて、実は上手に邪魔なモノを迂回しているのである。ちょっと『走れるようになった』と喜んでると、これだ。

ケモライド、恐るべし。

だが、厳しいライドのおかげで、少しはコントロールが出来るようになった。砂地のきつい坂も、楽に降りられる。もっとも、俺がリアブレーキのみで進んでゆくところを、moto君はフロントも使ってみたりしてる。簡単にいけるところも、練習だといって難しく走る。とんでもないチャレンジ精神だ。

moto、恐るべし。

 
 

やがて、舗装された林道へ出る。

「高速?」

思わずそんな冗談が出るほど、舗装路は走りやすい。

枯葉と砂が山ほど浮いて、ほとんど舗装は見えず、ところどころ穴が開いてたりもするんだが、それでも今まで通ってきた道に比べれば、広くて平で、まさに高速道路気分だ。道幅1メータがこれほどうれしく、頼もしく思えたのは生まれて初めてだ。



そうこうするうち、湧き水ポイントに到着。

もちろん、冷たくて気持ちいいし、モノすげぇ美味い。そこで三人でだべりながら、今日の走りや折れた心、すばらしい自然、こんな気持ちのいい世界につれてきてくれたお礼、話すことはいくらでもあるし、緊張の解けた俺のおしゃべりは、とどまるところを知らない。

すると、軽トラに乗ったおじさんとおばさんがやってきた。

湧き水を汲みに来たのだろう、トラックの後ろにはポリタンクが山になっている。


「こんにちはー!」


挨拶すると、にっこり笑って答えてくれた。それからおじさんも含めて、しばらくダベる。


「おじさん、のんきに話してるけど、おばさん一人で水汲んでるじゃん。手伝いなよ」

「いいんだよ、大してきつい作業じゃないから」


聞いてたおばさん、笑いながら


「いいの、いいの。おじいちゃんだから、力仕事させないの」


もともと、商売柄ヒトと話す機会が多いし、話すこと自体好きなのだが、山でココロを洗われた後だけに。いつも以上に彼らを素直に受け入れて、楽しく話せる。俺は笑った。おじさんとおばさんも笑った。moto君も笑った。K君も笑った。それを見て、俺がまた笑う。

素敵な時間だ。

 



やがて、腰を上げた俺たちは、moto君に連れられて、尾根沿いの道を走り出した。

入ってきた入り口の山まで、10分か15分くらいだということで、最後のひと走り、気合を入れる。そして走り出してみれば、いつものとおり、尾根沿いの道はmoto君が言うほど甘くはなかった。

5~60センチの幅のケモノ道で両脇がガケ。

そんな場所が何度も何度も顔を出す。ほかの部分も、両脇がガケじゃないだけで、片側は常にガケだ。とちゅう、moto君が停まり下を指さして笑う。覗き込んでみると、ガケの下にさっき登りきれなかったセクションが見えた。

「おぉ、あの場所だ! 俺、今晩あの道を夢に見そうだよ」

なんて軽口をたたきつつ、内心『や、マジで夢に出てきそうだな』と肩をすくめて、走り出したmoto君の後に続く。両脇ガケ、ガケ側に傾斜した道、道というよりガケのカントを通るだけといった、ケモライド前なら行けなかったような場所も、走り抜けられる。



もちろん、怖い。

だが、それをきちんと克服して、理屈で補強しつつ、走る。

マイク・タイソンを育てた名トレーナー、カス・ダマトの言葉を思い出した。

「恐怖は火のようなものだ。上手に扱えば、冬には身を暖めてくれるし、腹が空いた時には料理を手助けしてくれる。暗闇では明かりともなり、エネルギーになる。だが、一旦コントロールを失うと、火傷をするし、死んでしまうかもしれない」

そしてこの後に続く言葉、

「もし、恐怖心をコントロールできれば、芝生にやって来る鹿のように用心深くなることができる」

の鹿のように。

俺は考え、用心深く、必要な時には思い切りよく、走ることが出来た。

成長、出来たよなぁと、少しの自賛と満足感。

 

 

道はようやく山を越え、砂利だらけのフラットダートに入った。

完全に安心だ。まっ平らで、対向車とすれ違えるほど広い道に、俺はうれしくなってすっ飛ばす。moto君がぶっ飛んでゆく後ろを、足を出し、テールを滑らせながら、ガンガンと攻め続ける。気持ちいいー! このぶっ飛ばす感じもやっぱり単車だよなずささささっ!

フラットダートの上で俺は、テールを180度まわしてすっ転ぶ

スライドさせすぎだ。

すぐさま起き上がれ。後ろから来るK君が追突しないようにしなくち……あ、停まってる。まぁ、冷静に考えれば、俺はケモノ検定のときから、K君の前ですっ転び倒してるわけで、そりゃ、車間も開けるわな。ぶつからなくてよかった。

つーか、ちっとも成長しとらん。


 

ケモライドで傷だらけになったランツァに、とどめの一撃を加えてしまった。
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なにこの鬼ハン。

 

ようやく、最初の休憩所に到着。

すると、荷台をあけ単車を積みながら、moto君がすばらしいセリフを言う。

「かみさん、キャンピング(カーの中)で飲みましょう

飲みますとも。飲まいでか。明日、仕事だけど。

moto君のクルマに三台積んで、話しながら帰る。

途中、moto君の昔話をイロイロと聞かせてもらった。本人はあっけらかんと語るのだが、そのエピソードの一つ一つから、自分に厳しい姿勢や、心の強さがわかる。本当に、すげぇ男だと思う。



そしてmoto家の近所に到着。

途中のスーパーで酒と肴を買い込んだら、moto君のキャンピングカーで宴会だ。

シャワーを借りて身体を洗ったあと、moto君の服を借りて着る。

んで、買ってきた肴を並べてカンパイするわけだが。


その前に。


いくらケモライド師匠だろうが、俺より単車が上手かろうが、これだけは言わせてもらいたい。

俺にポロシャツを着せるな。

世界で一番、ポロシャツの似合わない男なんだから。

組長に無理やりゴルフに連れてこられたヤクザみたいですね、かみさん」

泣くぞ?

 
 

心の洗濯をした後の酒は、本当に、本当に、全身に沁(し)みた。

moto君も、あんまり飲めないK君も、すげえいい顔だ。俺は洗濯しすぎてボロボロだったけど。

俺たちは早速カンパイし、呑み、語り、笑った。ケモライドの、きつさ、厳しさ、そしてそれを上回る楽しさ。自然の美しさと、それを美しいと素直に感じられる幸せ。まじめな話、バカ話、金ではゼッタイ買えない喜びが、そこにはあった。

 

ケモライドは団体競技だ。

普段から言ってるように俺は、馴れ合ったり、仲間だなんだ言うのは好きじゃない。

俺自身がもともと集団行動を苦手とする上、自己責任を知らず、誰かに寄りかかるだけの連中や、集団でいることで強気になり、かさにかかって調子に乗るバカ、自分で動きもせず、楽しくないと口を尖らせる精神的乞食。

そんな連中に、嫌気がさしていたからだ。

だが、ケモライドでお互い協力し、セクションを越え、美しい時間を共有する。これは馴れ合いじゃない。クソったれな口先の仲間じゃない。そんなぬるい精神など入り込む余地のない厳しい世界だ。命を支えあい、ともに苦境を超えるパートナー、相棒だ。



独りでは行けないところでも、みなと一緒なら行くことが出来る。これは何も、『初心者が行けないところを上級者に手ほどきしてもらう』という話に限ったことではなく、その上級者も 、誰か仲間がいれば、単独では困難な場所に行くことが出来るのである。

ケモライドマスターも、半人前も、等しく大事な戦力なのだ。

 



今日、ケモライドしながら。

俺はまるで、マルと阿吽(あうん)の呼吸で走るときのような快感を感じていた。会ってまだ、一年足らずのmoto君や、つい先日会ったばかりのK君と、こんな時間を持てること自体、奇跡的だ。そして、それはイコール、ケモライドの魅力のひとつなのだ。

走り、乗り越え、折れて、立ち上がり。


最後に現れる、絶景と恵み。


普通のツーリングだって、多少の苦労や苦痛のあとの美しい景色は格別なものだ。

が、ケモライドで到達する場所、そこへ到達したときの感動は、それに数倍する。そこは間違いなく観光地ではないどころか、普通に生きている大部分のヒトが到達することの出来ない秘境なのである。

俺の飲んだ湧き水は、乗り越えたものだけに与えられる甘露なのだ。

この瞬間、すべての苦労や蓄積した疲れまでもが、一瞬にして喜びにシフトする。


つまり。


ケモライドをしたあと、最後に残るのは喜びだけなのだ。

 
 

ただそこにある自然を、ただそこにいる俺が、越える。

独りで、あるいは仲間や単車の助けを得て、越える。

おそらく山を越えるだけなら、己の身体のみを使う山屋の喜びには、到底かなわないだろう。だが、単車とともにあることで、単車乗りだからこそ得られる喜びをも加味した、ケモライドだけの喜びが、たしかに、そこにはある。

そしてそいつは、かつて何度も感じた幸せを、また俺の心によみがえらせるのだ。

あぁ、単車に乗っててよかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

追伸:こいつらにだけは、謝っておきたいと思う
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ランツァと。

 

 
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俺の身体。

 

でも、またケモライド、行くぜ。



ケモライド 難関挑戦動画(かみトーク入り)

 
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by noreturnrydeen | 2007-09-09 11:38 | ちっちゃいもん倶楽部 | Trackback
~The beautiful world~
 

待ちに待った、ケモライド当日の朝。

余裕をみて早めに出ると、集合場所へ向かいながら

「どこかでガソリン入れていかなくちゃなぁ」

なんて考えていたんだが、ちと、見通しが甘かったようだ。さすがにケモライドステージ付近(つっても、集合場所から、さらに走るのだが)だけあって、スタンドはあれども、開いてない

「こりゃぁ、まずい。いったん集合場所に行って事情を話し、開いてるスタンドを探しに行こう」

集合場所に行くと、到着寸前のところでpoitaさんを見つける。

poitaさんは、今日、ブーツが間に合わなかったので、お見送りに来てくれたのだ。

なんと情に厚いヒトだろうか。ヒマ人とも言う。

挨拶して、コーヒーをおごってもらって少しだけだべり、ガソリン探しに行く旨を伝え、moto君が来たら謝っておいて欲しいと告げるとると、俺はガソリンを求めて走り出した。走り、走り、行けども、行けども、見つかるのは閉まってるスタンドばかり。



やがて、さすがにココまで来ちゃぁ戻るのに時間がかかりすぎるってところで、poitaさんに電話。すると、poitaさんが自分のガソリンを分けてやるから帰って来いと言ってくれる。俺は早速Uターンして、集合場所を目指した。

と、集合場所に程近いだろう場所で、スタンドのおじさんが出てきたのを見つける。

あわてて飛び込み、おじさんに給油してもらえるかと確認し、OKが出たのでホッと安心してpoitaさんに電話する。『スタンド見つけました』と伝え、ガソリン入れてもらって、さぁ、急いで戻らなきゃ。回りをみる余裕もなく、俺は集合場所へ向かって走り出した。

急げ、急げ、急げ。

 
 

道に迷った。明らかに迷った

こんなときこそあわてるなと、単車を停めてバッグから地図を引っ張り出す。え~と、この道が32号線だから、このまま行ってやれば、ああ、ココに出るはずだな。ちと違和感を覚えながらも、とにかく早く戻ろうと、気ばかりがあせる。

さらに走って、走って、やがて。

 
 

うん、ここ、さっき通ったよね。

俺、どっかで一周してるね。

気を取り直して慎重に進むと、ようやく、集合場所へ戻ってこられた。

と、集合場所の目の前で閉まってたはずのスタンドが開いてるじゃないか。なんだ、これなら余計なことしなきゃよかった。走りながらハンドルから手を離して、poitaさん、moto君、K君に向かって両手を合わせる。



「ごめーん! 遅くなったー!」

するとpoitaさん、苦笑いしながら

「かみさん、あなた目の前のスタンドで給油してたよ」


衝撃の新事実。


指さす方を見てみれば、確かに、さっきおじさんに頼んで早くあけてもらったスタンドだ。

つまり俺は、いつの間にか集合場所まで戻っていたのに、スタンドが開いてるコトに気をとられ、彼らが見ている目の前で給油し、そこから全力ダッシュで遠ざかっていったのである。


「声、かけてくださいよー!」

「いや、motoが『面白いからビデオに撮ろう』言うんだもん」

するとmoto君、ニヤニヤしながらビデオを取り出す。

「いやー、いい絵が撮れましたよー」

せめて、ネタにしてやってくださいorz

 


気を取り直して、山へ向かう。

moto君とK君はクルマにバイクを積んできていたので、その先導で、poitaさん、俺、と続く。やがて落ち葉が山ほどぶちまけられている、かろうじて舗装路といった体(てい)の道に入り、しばらく進むと駐車場が見えた。ココに車を入れて、積んできたバイクを下ろすのだ。
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左からpoitaさんのDF250、poitaさん、moto君と彼のTTR、K君のDトラ林道カスタムと、K君。

 

ここからさらに山道を上がり、しばらく走った後、moto君が速度を緩め、山の中へ。

いよいよ、ケモライドのはじまりだ。

藪の中を走ってゆくと、道はだんだん厳しくなり、やがて土砂崩れで道(と言うかすでにケモノ道)がふさがっていた。まともな人間は引き返す場所であり、ケモライド的にはようやく始まると言うことになる。moto君は何事もなく進んでゆく。

俺もその後に続くと、確かに簡単ではないが、何とかクリアできた。

次にK君がクリアして、さて、と待っているとpoitaさんはここから引き返すと言う。まぁ、ブーツもないし、ヘルメットもオープンフェイスだし、賢明な判断だろう。ここでpoitaさんと別れると、俺たちは、山の中へと進んでいった。




ここで、正直に告白すれば、俺は少し安堵していた。

当然、これから先はもっときついだろうけど、俺の腕はともかく、ランツァの走破性をもってすれば、なんとかクリアしていけるんじゃないだろうか? いや、ランツァの走りはすごいから、moto君を驚かすくらい走れるんじゃないか?

そんな風に思っていたのだ。

すでに、道と言うよりガケの途中にある段差的な場所を走りつつ、なんとかmoto君の後ろでがんばる。厳しいが、イケる。右側がガケだから落っこちたら持ち上げようはないけど、四国で刻まれたガケ恐怖症は克服できたようだ。ランツァのおかげだろう。

沢のような場所も、何とかクリア。これも、ランツァのおかげ。

 
 

しばらく走るうち、moto君が停まった。

「ここが、最初のセクションになります」

言われて見てみると、道は入りっぱなから右へ大きく曲がりつつ、登っている。道の真ん中には30cmほどの深さのわだちが続いている。傾斜は確かにきついが、これよりきつい坂も登ってきたし、まぁ、何とかいけるだろう。そう思いながら、ファーストトライ。

坂に入り、右に曲がるところで、フロントがアサッテの方を向いてすっ転ぶ。

すぐさま単車を起こし、坂をバックで下るのだが、当然、バックなんてやったことがないので、簡単にすっ転んだ。足場を確認し、バイクを引き起こし、一速に入れたままクラッチとブレーキを使って、ゆっくりとバイクを下ろす。なんとか降りられたが、すでに息が上がっている。

くそっ、次こそ。





セカンドトライも、あえなく失敗し。

はぁはぁ、むしろゼイゼイ息を切らしながら、バイクを引きずり起こしてバックで下る。またコケた。引き起こすランツァは、すでに体感的にはM109Rくらいの重さだ。汗がボタボタとたれる。暑い。重い。足をとられてバランスを崩す。

何とか持ちこたえ、バイクをスタート位置へ。

後ろで待っているK君にわび、待たせてるmoto君にわびる。降りてきて俺のトライを見ていたmoto君が、細かいアドバイスをしてくれた。ひとつひとつの指示に、俺は「はいっ」と返事をする。今回、トライしている間は、moto君に対してずっと敬語を使った。

俺はケモライド初心者だし、メイワクをかけるに決まっている。

つれてきてもらい、教わり、助けてもらう立場である以上そうするべきだと、この間のケモ検定のときからずっと、感じていたからだ。それに腹の底から「はいっ!」と声を出す方が、気合が入る。



サードトライ以降も、なんとか自力で行こうとするのだが、上手くいかない。

バイクは思ったように操れないし、頭は痛くなってくるし、息は上がると言うより鞴(ふいご)のようだ。最初の段階では、どんなにきつくてもきつい顔をするまいと決めていたのだが、トライするごとに、そしてそれ以上にリカバリするごとに体力、気力を削られる。

やがて、急激な発汗と低血糖の症状で、めまいがしてきた。

 

俺は、折れた。

 

ものすごく情けない話だが、俺の心はココで折れた。

めまいも、頭痛も、あるにはあるが、それはもう、言い訳でしかない。折れたからと言って、薄らみっともない言い訳をして、ちいさなプライドを守ってると思われるのは、何よりも避けたい。ここは潔くしよう。


「ごめんなさい。折れました。休ませてください。K君、先に行ってもらっていいですか?」


moto君とK君の了解をもらい、K君がトライするための場所も開けられないまま、俺はその場に倒れこむ。ひざをついてしゃがみこんだんじゃない。大の字になって転がってしまったのだ。今、思い返してもはらわたが千切れそうなほど、情けない。

なぜなら、こうして走り終えた今、『このときの俺は、まだ、体力があった』と言うことを実感しているからだ。潔く振舞うために「折れました」と言ったが、内心では『本当に頭も痛いしめまいもするから、仕方ない』と思っていたのだ。

結局、自分への言い訳をしていたのだ。

折れたと発言したことより、倒れてしまったことより、それがイチバン情けないと思う。




K君が登った後、俺も何とか起きだし、二人の助力で最初のセクションを登り終えた。

しかし、心が折れたかっこ悪さ、悔しさは、じわじわと俺を苛(さいな)み、蝕(むしば)む。このままの状態じゃ、超えられるものも超えられない。頭を振り、気合を入れなおし、セクションとは行かなくても、自分にとってきキツそうなところは、すべて声を出してクリア。

脱力した身体を自分で激励し、声を出して走る。

 

と。



また、moto君が停まった。

セクションか?

折れそうになる心を叱咤しつつ、グリップを握る手にチカラを込める。すると、振り向いたmoto君は、優しい顔で「この先、休憩ポイントです」。俺は安堵に抜けかける力を拾い集め、気合を入れて「はいっ」と返事をすると、彼らについて休憩ポイントへ入った。

バイクを停め、ふらつきながら降りる。

moto君が『あそこに水があるんですよ。お先に行かせていただきます』といい、俺はそれに答える気力もなく、何とかうなずいた。横にバイクを停めたK君は、まだまだ元気そうだ。若いなぁと思いかけて、自分を戒める。

若さじゃない。俺が折れたんじゃねーか。イイワケするな。

 

moto君の後、K君には申し訳ないが、先に水場へ行かせてもらった。
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水は、ものすごく冷たくて、あきれるほど美味かった。

ガブガブと飲み、頭を冷やし、身体に水をかけて冷やす。

冷やすたびに、少しずつアタマがはっきりしてくる。

はっきりしてくるごとに、悔しさが増す。

大量の水を浴び、身体を冷やしまくってようやく人心地つくと、K君に水場を明け渡し、moto君のところまで行って、そのまま倒れこんだ。


はぁはぁと、まだ息が上がっている。


ごろんと仰向けになると、俺の顔の横から立ち上がった木々が、青空に向かって手を伸ばしている。たくさんの樹木が太陽を適度にさえぎり、その木立の間を風が抜けてゆく。風は、俺のほほをなで、沢の向こうへ流れてゆく。

 

 

景色が、水が、音が。

すべてが、ぶっ倒れた俺を包む。

気持ちいい。

 

 

そんな俺を気遣ってくれたのだろう、moto君は早めの食事タイムにしてくれた。

ビデオを構えたときは、ケタケタ笑いながら「落ち武者みたいですよ」「リンチされたみたいですね」などと言ってるmoto君とK君だが、こんなさりげない気遣いをしてくれているからこそ、半分、失神しかけながらも笑えるのだ。

「大丈夫ですか?」

なんて言われるより、折れた心を取り戻すためには、ずっとありがたい。


さりげなく気遣ってもらい、その気遣いにこちらも気づき。

だからこそmoto君は動画を撮ってちゃかしたりするし、俺もぶっ倒れながら軽口をたたく。入ったら戻れない、みんなで前に進んで出るしかないケモライドでは、改めてクチに出さなくても、自然に連帯感が生まれるのだ。


そして、苦労した先に待っていてくれる、自然。


素直に感動し、謙虚な気持ちになる。『俺は生かされてるんだ』と言う思いが、本当に素直に、心の底から湧いてくる。てめぇの小ささを知り、周りに助けられることで、まったく自然に、『俺もこの二人を助けるんだ』と強く思える。

甘ったるい群れ意識ではなく、共闘する者の信頼関係が自然に結ばれるのだ。

 
 

なんだよ。こんな素敵な世界があったのかよ。
 

 

飯を食う余裕などないのだが、食わなければまた折れるだろう。

持ってきた飯を強引に口に押し込みながら、俺はぼっきり折れた心が、moto君とK君、大自然のおかげで、いつのまにか修復されていることに気づく。大丈夫だ。俺はまだやれる。
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K君、余裕の笑顔。モザイクかけちゃってるけど。

 
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余裕の塊、moto君。いろんな意味で、やっぱり変態。

 

何度も水浴びし、持ってきたスポーツドリンク2リットルも飲み干し、代わりにペットボトルに清水を詰め終わるころ、俺の心は完全に復活していた。イイトコ見せてやろうと言う、気負いや衒(てら)いが完全に抜けて、まったくの自然体で立ち上がれた。

「よっしゃ、気合入れていくぜ」ではなく「さぁ、みんなで行こう!」と言う気持ちだ。

ま、足引っ張ってるの、俺なんだけどね。

すると面白いもので、さっきよりきついような場所を、順調にクリアしてゆくことが出来る。曲がって登る、深いわだち、滑る路面、さっきまですべてが不可能にしか思えなかったのに、そこにあるものを、あるがままに受け入れることが出来るのだ。




ここは、こうやれば行けるはず。

静かな気持ちで、冷静にそんなプランを立てられる。もっとも、技術がついてこないので、結局、思ったように行かず、盛大にすっ転んだりもするのだが、その後のリカバリも、きついながら淡々とこなしてゆける。

厳しい場所では、moto君のアドバイスが入り、俺とK君は「はいっ」と返事をして、言われたことにトライしてゆく。それもただ言われたことをやるだけでなく、場合によっては違うことも試してみたりしながら、助けられつつ進んでゆく。

苦しいが、楽しい。

 
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どうしても行けない時は、倒木を切ったりもする。

 

やがて。

「ココが今日、一番の難関です。そのために時間をとってあるので、出来る限り一人でクリアしてください。かなりきついですが、心で負けないように」

moto君の言葉に、俺とK君の表情は引き締まった。
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moto君。バイクにまたがってセクションを抜ける姿は、鳥肌が立つ。

 

しかし、最大の難関に行く前のコースが、俺とK君にとってはすでに難関だった。

まずは単車を下に置いたまま、コースを見てみる。moto君が細かい注意点を教えてくれるので、それを頭に入れながら進んでゆく。すると、俺の目の前に現れたのは、いくつかの深いわだち(モノによっては1mを超える)しか見当らない、タダの急斜面だ。
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これが道に見えてくるんだから、ケモライドってのは怖い。

つーか写真に撮ると、どうしても急斜面具合が伝わらないなぁ。

 

「時間はあるから、何度も挑戦してください。これさえ越えれば、この先は楽です」

そう言ったmoto君は、まず、お手本を見せてくれる。

もっとも、あまりに腕が違いすぎて、ぜんぜん参考にならないんだが。それでも、今までならポカンと口をあけて『すげぇなぁ』とつぶやくだけだったはずが、今はきちんと彼が何をやっているのか、なにを意図しているのかがわかる

ま、わかってもマネできないんだけど。


刻一刻と路面状況が変化するのがケモライド。

たとえば自分でトライして地面を掘ったら、もう、次のトライの時には状況が変わってるのだ。さすがのmoto君も、ココを一発クリアとは行かなかった。チャレンジ4回くれぇか? moto君がセクションクリアに成功。

見てる俺とKくんの心はすでに折れ気味だ。

それでも、交代にチャレンジする。もちろんクリアは出来ないのだが、それより何より、リカバリの方がきつい。またもガンガン体力を削られる。心が折れると、K君と交代。K君が折れると、俺がチャレンジ。さっき回復したはずが、また心折られる。

そしてK君の挑戦を見てるうちに、やってやるぞと言う気持ちが湧く。

その、繰り返しだ。

 
2/2へ続く
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by noreturnrydeen | 2007-09-09 10:33 | ちっちゃいもん倶楽部 | Trackback

ケモノの狂乱

仕事が終わったら速攻で家に帰り、さて、待望の宴会タイムだ。

ろろちゃんから『もすうぐつくよ-』メールが来ると同時に、表でエンジン音が止まる。いや、いくらなんでも早すぎだろうと顔を出してみると、闇の中にでかいバイクとでかい男が立っている。バイクの横っ腹には、輝く三本の排気管。RocketIIIだ。ってことは、これがきっとdaimonさんだな。

早速、表に出てご挨拶。

「うい~っす」

と声をかけ、バイクを置く場所を指示すると、daimonさんがRIIIをそこへ入れる。それから少ししゃべっていると、この男、サイドバッグからなにやら取り出した。そう、もちろんRIIIのキャリアの代金として俺が指定した、酒だ。ありがたく受け取ると、もう一本出てくる。それを受け取ると、また一本。

俺の相好が土砂崩れを起こしたのは、言うまでもない。

 
家に入って、daimonさんとビールで乾杯しつつくっちゃべる。なかなか面白い話が多かったんだが、さすがにココには書けない内容が多かったので、割愛。つーか、てっきり年上かと思ってたら、だいぶん年下だったんでびっくりした。あと、貴乃花の真似が上手いのもびっくりした。

で、ろろちゃんから近くについたという連絡が入ったので、Nがお迎えに出る。

その隙に、daimonさん、いや、daimonちゃんは、荷物の中から短パンを出して着替える。用意周到。前後して、当然のごとく、Zと彼女のPちゃんがやってきた。すぐにろろちゃんも顔を出しカンパイして、さぁ、宴のスタートだ。呑むぞー!

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左からN、Pちゃん、Z、daimonちゃん、ろろちゃん。

バカ話しながら呑んだくれていると、daimonちゃんよりさらにでかい男、poitaさんから連絡が入る。『柏のケンタ閉まってんじゃんよー! 俺、ここで暴れていい?』とか、相変わらず気の毒なヒトっぷりを発揮してるので『いいから早く来てください』と笑いながら催促。

やがて、poitaさんもやってきた。

んで、くるなり短パンに履き替えてる。daimonちゃんといい、でかいヤツのお約束なのか?
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なにこの兄弟。

コンロとかビールの缶が小さく見えるのは気のせいだろうか?

 
んで、楽しくて仕方ない俺は、『まあ、来られないだろう』と思いながらも銀星に電話する。が出ない。んじゃぁとメールでヒトコト『きなさい(笑)』とだけ送る。すると、しばらくして返事が来た。ヒトコト、『了解(笑)』とだけ。俺は思わず大爆笑しながら、電話をする。

「大丈夫なのか?」とか「無理するなよ?」とか言おうと思ってたんだが、電話に出た銀星の声を聞いた瞬間、俺の口を突いて出たのは『ばーか、ばーか、おめ、ホントバカだな』だった。そう、いわゆるツンデレである(違います)

つーか銀星はフットワークがいいから、かわいい。

 

携帯がなり、見るとmoto君からメールがきてる。

「盛り上がってますか?」

なはは、やっぱ気になるんだ。明日仕事じゃなきゃ、一緒に飲んだくれられたんだが、残念だ。今日きちゃったら、二日酔い+寝不足+朝の渋滞ってな『地獄の三連コンボ』だからね。さすがにかわいそうだ。まぁ、酒も俺も逃げないから、またいずれ呑んだくれよう。

 

一時間ほどして、銀星がビールケースを抱えてやってくる。どんだけバカだおまえ。
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さあ、役者はそろった。

呑んだくれようぜー!

 

酔っ払ったろろちゃんが踊りだす。
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すると、同じく酔っ払ったPちゃんがまねして踊りだした。『つられるー』とか叫びながら、ひらひらと確実に何かの電波をキャッチしちゃった系の踊りを続ける二人。見てるこっちは、もう、腹筋がよじ切れる寸前。なんだこのカオス。

 
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そしてもろん、こんな面子がそろったら、バイクの話はいつまででも続く。

ここで、俺はまた悪い癖を出し、ゆっちょむに電話した。なにやら寝てたみたいだが、酔っ払った俺の傍若無人さに敵はない。たーのしーぞー! とわめきながら、ろろちゃんに代わる。酔っ払ったろろちゃんは『今から来い』とかひでぇ事を言い出した。

ゆっちょむ、山口県なのに。

当然、『行けませんよー』言ってるゆっちょむに、ろろちゃん、ニヤニヤしながら、

「大丈夫。時速500キロで来れば、二時間だよ」

鬼か。


 
延々と呑んだくれ、しゃべり、歌い、踊り、気づけばAM2:00だ。

俺は次の日が仕事だから、そろそろ寝なくちゃならない。と言うより、はじめからいいペースで飛ばしてきたので、どっちにしても、もう、目を開けてられないのだ。俺より早く起きて仕事に行くヤツラも居るってのに、どいつもこいつもみんな元気だなぁ。

身体のどこかに、体力の泉が湧いてるに違いないね。それかロボット。

 
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ひとあし早く、銀星も撃沈。朝の7:00には起きて仕事に行く。タフなやつだ。

タフと言えば、もうひとり。

みなが撃沈してゆく中、次の日仕事だってのに、いつまでも起きてるヤツがいる。
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ろろちゃん、朝5:00に起きて仕事に行くんじゃないの?

 

朝、起きたら、全員きれいさっぱり消えていた。あの宴会は幻だったのか(寝ぼうです)

つーか、みんな結局、朝の4:00まで呑んだくれてたそうだ。キチガイかおまいら? ろろちゃんなんか、寝てないんじゃねーか? poitaさんとdaimonちゃんは、そのままpoita家でキャリアの取り付け。Zはともかく、Pちゃんはきっと二日酔いだろう。後半、ワインのボトル抱えて呑んでたし。

しっかし、ホント、気の置けない連中と呑んで騒ぐのは、最高に楽しい。

 
みんな、また飲んで騒ごうぜ!
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by noreturnrydeen | 2007-09-07 18:30 | エンカイ | Trackback

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