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栃木のマル家に集合し、朝の7時半頃出発。

予定では、ワインディングを回って昼ごろ赤城山麓に到着し、温泉に入って昼飯を食い、午後は赤城山を走り回るはずだった。が、俺らの予定なんぞあってなきが如し。 ゆっくり走るはずの50号をぶっ飛ばし、ワンディングをすっ飛ばし、温泉に着いたのが9時。

3時間早い段階で、予定外とか、そう言うレヴェルじゃない。

予定って言葉の意味を、三人とももう一度学びなおすべきだろう。



温泉が10時からだと言うことで、それまで赤城山を走ることにする。

 

三人で、一定のリズムを刻みながら、コーナーを駆け抜けてゆく。

立ち上がりで 、2サイクルのバァーンという排気音が、美しい三重奏を奏でる。

気持ちいい。



軽く走り終わって、ちょっと一息入れていると、Zがなにやら取り出してきた。

デジカメつーか、ビデオつーか、メモリーカードで短い動画を撮影できるヤツだ。



「走ってるところ、撮りましょう」



今度は俺が先頭で、マル、Zの順に走り出す。

この辺の映像は、Zがアップするだろうか、そっちで確認してもらおうか。

ここらでは特にトラブルもなく。

マルのフロントブレーキの手ごたえがおかしいくらいで、至って順調にワインディングを楽しむ。






時間になったので、、温泉に入って十割そばを食った。
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もちろん、俺はデフォルトでそば二人前。

飯を食いながら、このアトの予定をどうするかつー話になるわけだが、おおまかに二つの案が出た。



1)このまま赤城の峠をくるくるローリングして、夕方くらいにマルの家に帰る。

2)北上して金精峠から福島の方まで足を伸ばす。



「どうしようか?」

「やっぱ、おなかいっぱいコースでしょう?」



ほとんど悩むまもなく、北上して福島を掠めると言う、2)の『おなかいっぱいコース』に決定。

観光とかそう言うのではまずありえない、ちょっと様子のおかしいコース。

おなかいっぱいつーか、『頭のねじが緩んでるコース』の方が、名前としては妥当かもしれない。



午後のコースも決まり、ここで、仮眠をとることにした。



二時間ほど眠り、当然のごとく寝過ごす勢いの俺らを、Zが起こしてくれる。

寝ぼけた頭と、だるい身体を引きずって、とりあえずガソリンを入れてから、近くのコンビニへ。

そこでアイスクリームで脳に糖分を補給してやると、さあ、走ろうかと言う気合がみなぎってくる。

もちろん、俺はアイス二個食った。

 

 


午後に入っても、Zの走りに影は見えない。

特に左のブラインドコーナーの速さなんかは、目を見張るものがある。見えないコーナーに、ただ闇雲に突っ込んでいるんじゃないことは、センターをオーバーしてきた車がブランドの向こうから飛び出してきたときも、危なげなくかわしてるところを見ればわかる。

むしろ後ろで見てた、俺とかマルのほうがびっくりして、頭に来たくらいだ。

「さっきのクルマですか? ああ、別に大丈夫でしたよ。むしろ、これでかみ先生が怒って、Uターンしてあのクルマを追いかけるんじゃないかって、そっちの方が心配でした」

体力の残ってる午前中だったら、追いかけてただろうね。



バインバインと2サイクルの音をさせながら、三台は山を駆け上り、駆け下った。

今回は、俺もマルも、Zにおいていかれるほど離されることもなく。

一人じゃ無理だろうハイアベレージで走り続ける。



コーナリングが、だんだんカッチリ決まりだす。

身体は疲れているんだけど、気持ちの方は楽しくて楽しくて仕方ない。

いつの間にかでっかい単車で走ってたけれど、そういえば俺の単車の原点ってのはここだったんだと実感し、この世界を思い出させてくれたZに心から感謝する。もっとも当の本人はひらりひらりと軽やかに身を翻し、それを見たこちらも『もっと 気持ちよく』なんてアセり出し。

結局、感謝どころの騒ぎじゃない。

 

 


そのうち、Zの動きがおかしくなる。

右足をかくかくと踏み込んでいるのは、どうやらリアブレーキが利かなくなったのか。



路肩に止めて様子を見てみると、やっぱりそうだ。

Zの走り方は、リアブレーキを多用してコーナリング姿勢を安定させる。

だから、どうしてもリアブレーキが過熱しやすい のだ。



ブレーキが冷えて、手ごたえが戻るまでの間、しばし休憩。

と、マルが自分のバイクのステムナットをいじっている。

その動きが、明らかにおかしい。Zが思わず大声を上げる。



「マルさん! 今、ステムナットが動いてませんでした?

「うん、なんか緩んでる」



手で回せる段階で、『緩んでる』とかのレベルじゃねーわけで。

そう、つまり、マルはまたもや『増し締め』を忘れたのだ。



ステムナットの下には、さらにステムを締め付ける薄い板ナットが入っているはず。

だから、いきなり外れたりすることはないだろう。

が、こんなところを閉め忘れてる整備の単車は、早晩、大破してもおかしくない。



いや、マジで。




Zのリアがフェードしたのも、そりゃたいがいキチガイ沙汰なんだが、マルの前では影が薄くなる。

ここまでして話題を独占するのは、きっとヤツのトラブルは俺の領域と言う自負だろう。

これからもトラブル係としてがんばって欲しいものである。



そんな係、俺もZもごめんだから。

 

「最低、工具くらいは用意しましょう」



と言うZのお言葉に二人してうなだれた後、Zのブレーキもどうやら冷えたので、またもや走り出す。



さすがに三人とも疲れてきたところに持ってきて渋滞が始まり。

Zも俺もマルも、半切れで渋滞の車をパスしてゆく。

が、車の列は延々と途切れることを知らない。



と、いきなりZが単車を路肩に寄せる。

「いま、あそこに足湯がありましたよ。行って足の疲れを取りましょう」

この分じゃ、車の列も切れそうにないし、少し休憩するのもいいだろうと言うことで、足湯のある場所へ。



しかし、行って見てみると、足湯の場所にはお湯が見当たらない。



いや、少しは流れているんだが、栓を抜いてあるので 足湯ってほどたまってないのだ。

むしろ、足のウラ湯。

受付に行ってみると、今日の足湯はもう終わりと言うことらしい。



あきらめきれないZは、それでも靴下を脱いで足のウラ湯をやっている。

「気持ちいいですよ? 疲れが取れますよ」

言うんだが、俺は身体はともかくテンションが上がっているので、割合元気だから遠慮した。



マルはどうしようかなぁと悩んでいる。

相当疲れてはいるはずだが、なかなか靴を脱ごうとしない。

Zはどうしたんですか? なんて言ってたが、俺にはすぐにピンと来た。



クソマル、靴下を脱ぐのが、めんどくさいんだ。

悩むくらいなら、さっさと脱いでつけりゃいいと思うんだが。

これもまた、ダメ人間の面目躍如と言ったところだろうか。



合理性とか、マルに求めちゃいけない。無論、俺にも。



 


ここで、マルの彼女に、昼間やってたモトGP(バイクのレース)が録画できたか確認する。

すると、「無事に撮れている」と言うことなので、

高速に乗ってマルの家まで行き、そこでビデオを見ようと言うことになった。



疲れた身体でクルマの横をすり抜ける。

左側が斜めに削れて深い側溝になっているような道を、マルはがんがん進んでゆく。

俺も、かつては環七の風と(自分に)呼ばれた自称すり抜け王だから、負けっかとマルの後ろを追う。



がんばりどころが間違ってるのは、自覚しているから放っておくように。



ちなみにZは早々にクルマと一緒に走っていた。

「俺、昔から一本橋が苦手なんですよ」

Z、そう言う問題でもないから。

 

 


通称『地獄の一本橋』を終えて、高速に乗ると、さすがにちっちゃいもん倶楽部。

高速を走るのは、一番きつい。

いや、Zみたいに自制して100キロ巡航すれば何てことないんだろう。



が、いかんせん 俺もマルも峠と同じくらい、高速好きの比較的アレな人類だ。



すっかり日が落ちた暗い高速を、車の脇を抜けながら、マシンの限界まで回す。

SDRなんて、もともとそう言う用途のバイクじゃないから、140くらいから足元は怪しくなってくる。

エンジンは吹けきってるのにトルク不足でメーターの針は上がっていかない



俺はもう、ストレスの塊。



と。



バァーン!

横を抜けるRZ。もちろん、マルだ。

ヤロウ、これ見よがしにぶち抜いていきやがった。



が、悔しがってもマシンの限界が超えられるわけもなく。

結局、高速の出口まで、エンジンは吹け切ったままたどり着いてしまった。

最後の最後まで、苦労をかけるねぇ。



つーかブローしなくてよかったねぇ、俺。

 




マルの家に帰り、近くの居酒屋で晩飯を食う。

下戸のZはコーラ、俺とマルはもちろん、生ビール。

この段階で、マルの家にお泊り決定。



居酒屋を早々に引き上げ、マルの家でモトGPを見ながら、今日の反省会。

というか、思ったことをいろいろと話す。

こんな時間が、俺はいっとう好きだ。



レースの話、ツーリングの話、走り方、あったことなんかを話しながら。

目はプロライダーのキチガイじみた走りに釘付け。



と。



Zが彼女と電話で話している。

聞くともなくそのやり取りを聞いていると。



「うん、コレ見たら帰る」



え? 帰る? 今から?

俺は前泊して今日、マルんちから出発だったけど、君はアレだよね?

今朝、100キロくらい走って、ここまで来たんだよね?

そのまま俺らと一緒に400キロ近く走ってきたんだよね?

そのうち250キロくらいは、ずっとワインディングだったの覚えてるよね?



その400キロ走ったマシンが、250の2stだったコト、もしかして覚えてないの?

それで、これから走って帰るっていうの?

俺はもう、勝手にマルの短パンに履き替えて、くつろぎモードなのに?



体力つーより、その精神が強すぎる。

もう、笑うしかない俺とマルに手を振ると、Zは排気音を響かせて、夜の闇に消えていった。

俺とマルは顔を見あわせて、お互いニヤけてるのを確認する。

やつの気持ちは、手に取るようにわかった。俺も同じ気持ちだからだ。



「あいつ、最高だな」

「ああ、最高に面白れぇ」



冷静沈着、典型的理系。

俺たちとは毛色が違っている「ハズ」なのに、なぜか俺たちと同じ匂いを持つ男。

クールアイス・Z。

その正体は、単車が好きで、走ることが好きで、合計400キロ、そのうち半分以上がワインディングと言う、ハードを通り越してめちゃめちゃなツーリングを一日で走破し、なおかつ行き帰り100キロづつ走ってゆく、俺たちと同じ、いや、それ以上の単車バカだった。

 




片手を上げて颯爽と帰ってゆくZの後姿を見送った俺たちは。

マルの部屋に戻って、缶ビールのフタを開けた。

マルの顔は、疲れと、それ以上の喜びで上気している。

もちろん、俺も同じ顔をしてたんだろう。



マルがニコニコしながら杯を上げ「Zに」とつぶやく。



俺たちは、俺たちの最高にバカなダチについて、夜が更けるまで語り合った。
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by noreturnrydeen | 2005-09-20 18:20 | ちっちゃいもん倶楽部 | Trackback

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