はい、かかりません。
だが、これは慣れたタイプのエンジンストップなので大丈夫。
このパターンの時は、一回キーオフにしてしばらく休んでると、だいたい復活する。
たぶん、熱でなんか誤作動したんだろう。知らんけど。
毎度のことだと、道っぱたでタバコを一服しつつ、回復を待つ。
テキトーに休んだあとキーオンすると、ほら、さっき消えてたインジケータが点灯してる。
セルを回せば無事にエンジンが回りだし、それじゃ、ツーリングの続きだ。
ワインディングはないものの、代わりにどっかん直線と青空。
夏のツーリングらしい風景を堪能しつつ、ドコドコ気持ちよく走ってゆく。
すっ飛ばす時のひらひらと、直線のんびりドコドコ感の、完全な両立。
やっぱり俺はビューエルが好きだなぁ(・∀・)
やがて瑞浪市か土岐市あたりだったか、ホームセンターを発見するマイトガイ。
迷わず駐車場に滑り込んだ。
なぜならもう、だいぶん前から気持ち悪さが限界だったのだ。
冷房の効いたホームセンターに入り、目的のモノを500円で買ってくる。
ぐちゃぐちゃのブーツを履くのはここまで。
これからブーツが乾くまでは、この新しい旅の相棒、「サンダル500」に活躍してもらう。
ちなみに「サンダル」の部分は「ガンダム」と同じイントネーションで読んでもらえれば幸い。
足の指の間を通るさわやかな風に、すっかりごきげんのかみさん。
「暑くても、やっぱ晴れてる方が気持ちいいよねー♪」
サンダルを落とさないように気を付けながら、ニコニコで国道を走っていると。
性懲りもなく、
また雨が降ってくる。
悟り切った表情で遠くを眺めながら、静かに走る47歳。
「ま、空は青いし、すぐ止むだろ」
誰にでもない、自分自身に言い聞かせつつ、アクセルをあける。
ありがたいことに、雨はすぐにやみ、青空が顔を出してくれる。
もちろん、ギラギラクソ暑くはあるんだが、「これでブーツが乾くぜ」と心を元気づけ。
21号線を西へ西へ。
名古屋市街を通る21号線は、クソ混んではいるものの、とにかく道幅が広い。
三車線なんか当たり前、四車線あるところも珍しくない……つまりすり抜けしやすい。
実は日本一荒っぽいんじゃないかと思われる、愛知の車列を左右に縫いながら。
今ツーリング初めての、鬼すりぬけ大会だ。
琵琶湖までの辛抱だと、全力で集中しながら、俺と同じくらい乱暴な運転の連中を抜き去る。
前と車の動きとミラーしか見てないので、景色なんぞひとっつも記憶に残らない。
「昔は、『出発から帰宅までずーっとこれ』だったんだよなぁ、アホだなぁ」
くすっと笑ったら、関ヶ原あたりで、そろそろ道が空いてきた。
さて、それじゃ切り替えてのんびり行こうか。
コンビニで休憩がてら、SNSに現在地と目的地を書き。
熱でグスるエンジンをだましだまし、琵琶湖の東岸へ出る。
「おぉ、やっぱりきれいだなぁ。それに風が気持ちいいや」
あとは東岸をさらっと南下すれば、湖岸緑地はすぐそこだ。
……と思ってた時期が、ボクにもありました(´・ω・`)
もね、琵琶湖のデカさをナメてたね、俺は。
行けども行けども、湖岸緑地がやってこない。
あまりに遠いので、だんだん疑心暗鬼になってくる。
「あれ? どっかで見逃した? いや、まだまだのはずだ」
記憶にあるランドマークを探しつつ、一本道をひたすら南下。
アホほど混んでる渋滞の車列の横を、えっちらおっちら抜けてゆき。
ようやく、本当にようやく、見覚えのあるランドマークが見え始める。
結局、彦根からかなりの時間を費やして、ようやく湖岸緑地へ到着。
ユリシーズを停めて荷物をおろし、湖岸緑地の草原の上にぶちまけ。
「ふいー、なんとかたどり着いたなぁ」
ため息を吐き出しながら、シートを敷き、テントを組み立て、SNSへ投稿し。
全部終わったところで、ようやく、ジャックダニエルのキャップをあける。
関ヶ原のコンビニで買ってきた
ブロックアイスを放り込み、冷えたミネラルウォーターで割ったら。
いつも通り大地の分け前をこぼしてから、グラス(プラスチック製だけど)を太陽へ掲げ。
「お疲れっした! いただきます!」
湖面から涼しくて優しい風が吹いてきた。
今夜は気持ちよく眠れそうだなと、湖を眺めつつ酒杯を傾ける。
琵琶湖の夜は、旅の気分をさらに盛り上げてくれたのだった。
□8月13日
明けて翌朝、快晴とまでは行かないが、気持ちのいい青空が広がる。
「これなら今日中にブーツも乾きそうだ」
つわけでサンダル500をつっかけ、荷物を単車に積み込んだら。
さあ、今日はどっちへ行こうか。
しばらく地図を見ていると、京都を抜けた先に国道372号線という道を見つける。
山間部を通って姫路へ向かうその道が、どうやら面白そうだ。
「姫路まで出てから、四国へ渡るか山口へ行くか決めよう」
大雑把なルートが決まったので、フロントホイールを南から西へ向ける。
朝イチまだそれほど混んでない京都市街を抜けて、無事372号へ出た俺は。
ここで自分の選択がとんでもなく大正解だったことを知る。
この372がとにかく楽しい道だったのだ。
単純にワインディングオンリーってわけでもなく、かといって混んでる国道でも当然なく。
ワインディングと平地の絶景が、絶妙のバランスで混在している(京都側半分)。
朝からごきげんにツイスティな道でひらひら踊り、抜けた先には青空と緑。
デジカメの電池が切れたので、ここから先は
停まってる写真だけなのが実に残念だ。
「携帯ホルダーでもつけて、走りながら撮れるようにしようかなぁ」
まあ、走ってる途中で落とす未来しか見えないけど(・∀・)
山(曲道)と、直線(景色)を
充分に堪能しつつ、斜めから射す朝日を背に受け、ひた走る。
R1000やフューリィ、ハヤブサやロケットスリー、今まで乗ってきたいろんなバイクを思い出し。
「うん、やっぱりビューエルは俺のバイク人生の集大成なんだよな。これからもよろしくな」
改めて実感し、バリ伝のグンちゃんの真似をして、タンク(カバー)にそっと手を添える。
国道372は、今回のツーリングで
一番楽しかった道だ、と言っていいかもしれない。
姫路側になると、そこまでビックリするほどじゃないんだけどね。
とまあ、そんな感じで走ってる最中に写真を撮ることもなくなり、走りに集中して没頭し。
「混んできたなぁ、市街地だなぁ」
と思ったら、姫路に到着していた。
せっかくなので、最も美しいと名高い「姫路城」を見にゆく。
市街地をすり抜けながら走って、案内看板の示すまま進んでゆくと、お城についた。
近くだと
かえってよく見えなかったので、少し離れたところから写真を撮る。
現地でも思ったし、写真を見返しても実感するけど、本当に美しい城だ。
あの時代に生まれてたらおそらく雑兵だったろう俺でも、「この城を守るんだ」と思える。
姫路城をあとにしたら、通りがかりのコンビニへ入り。
ようやくサンダル500をぬぎ、ブーツを履きなおす。
つーか372号が楽しくて、サンダル500のまま割と攻めちゃったのはここだけの秘密だ。
ステップ擦ったとき「ぬおっ!」とか変な声が出た(・∀・)
ブーツに履き替えたら気分も新たに、国道2号線を西行しよう。
2号線は高速道路みたいな無料バイパス区間が多いから、距離を稼ぎやすい。
とりあえず岡山あたりまで何も考えずに走り、そこから四国へ渡るか決めよう。
ま、尾道あたりでもう一回、四国への分岐はあるし、テキトーに行こうか。
どこだか忘れちゃったけど、2号線のバイパス区間。
バイパスに乗った瞬間、この景色に迎えられて、思わず路肩へ停めて写真を撮った。
透明感と奥行きが、どうにも堪(たま)らなかったのだ(・∀・)
とまあ気持ちよく走りだしたのだが。
如何せん走りやすいバイパスばかりがあるわけじゃなく。
基本的に混んでる2号線は、すり抜けしなくちゃならない区間もたくさんある(すり抜けはマストじゃありません)。
気合を入れて集中し、すり抜けをしまくっていると、周りが見えない。
バイパス区間ではいろいろ考えてたのに、結局、岡山も尾道もすっ飛ばしていた。
「ま、いいや。山口に向かって、帰りに四国へ渡ろう」
風まかせらしい結論が出たところで、あとはひたすら2号線をすっ飛ばすだけ。
そんな状態なので、このへんから現在地の確認がかなり怪しい。
一本道だと油断するよね。
どこかのバイパス区間の途中にある、パーキングとか道の駅みたいなところへ入った。
瀬戸内の美しい海に、しばし目を奪われる。
と、パーキングの柵のあたりに、やたら敷物が敷き詰められている。
なんだろうと思いつつ、写真の
お尻を向けてる男性に近寄ってゆくかみさん。
「こんちは! 今日ってなんかあるんですか?」
「ええ、花火大会があるんですよ」
なるほど、それで敷物を敷いてるのかと思いつつ。
俺の興味は敷物や花火大会から離れ、件(くだん)の男性そのものへシフトしていた。
なぜなら、彼の耳が俺より激しい「柔道耳」だったからだ。
かみ 「失礼ですが、その耳って……何かやってらっしゃいます?」
男性 「そちらも、何かやってらっしゃるんですか?」
かみ 「柔道です」
男性 「私も柔道です」
お互いにニヤっと笑い、柔道家同士うちとけて話をする。
やがて彼の知り合いがやってきたところで、「それじゃ」とあいさつをし。
やけに楽しい気分で、ユリシーズにまたがった。
いつもより長い休憩時間だったせいで、エンジンの方もいくらか機嫌を直したようだ。
それからは特に目立ったトラブルもなく、鼻歌を歌いながら2号線を駆け抜ける。
やがて、姫路から走ること6時間、目的地に到着した。
山口と言えばもちろん、山口のハーレィ乗りドルフィの家だ。
珍しく、迷うことなく到着し、ドル家の前でエンジンを切ると。
「ははははは! 早かったっすね」
ドルと嫁のJちゃんが、笑顔で迎えてくれた。
なんのアポも入れず突然やってきて、いきなし「風呂かせ」とか言ってるキチガイを。
嫌な顔ひとつせず気持ちよく迎えてくれる、おひとよしな夫婦である。
愛犬のカイくんだけは、突然やってきた不審者に、
警戒心マックスでレッドアラート爆鳴り中。
まあ冷静に考えて、カイくんの対応がいちばんまともつーか正しい。
ドル夫婦は俺を甘やかしすぎだ(・∀・)
ドル 「かみさん、俺らちょっと用事があるけえ、留守番しとってもらえます?」
かみ 「おう、もちろんだ。突然きちゃって悪りいな」
ドル 「いえいえ、来てもらってうれしいですから」
などと俺を甘やかすドルは、立ち上がって台所へ行くと、なにやらやり始める。
驚く俺の前に、次々と酒瓶が並べられてゆき。
「かみさん、帰ってくるまで、好きなの呑んで待っとってください」
待つよ、待つとも、待たいでか! なんなら
一週間くらい留守番できるよ俺。
とまあ、すっかりご機嫌でドル夫婦を送り出し、オシャレな家でお留守番をする。
時々、庭に出てタバコを吸いつつ、警戒するカイくんを懐柔するも、和解には至らず。
数時間後、帰ってきたドル夫婦と、呑んだくれて楽しく過ごす。
ドルのおすすめ「殿様しょうゆ」は、旨口つーか甘めの醤油で、めちゃめちゃ旨かった。
だから後で買おうと思って、こうして写真撮ってたんだってことを、今、これを書きながら思い出した。
あとで通販サイトさがさなくちゃ(・∀・)
ドル嫁のJちゃんをマッサージし、すっかりふにゃふにゃ骨抜きにしたら。
ドルとふたりで呑んだくれつつ、いろんな話をした。
仕事や嫁、バイクにダチ、久しぶりに会ったダチと話すことはいくらでもある。
なんだかんだ遅い時間まで、楽しい夜を過ごせた。
□8月14日
翌朝、そーっと出発しようとしてるところを、ドルに取り押さえられる。
「かみさんのことだから、早出すると思ってましたよ。朝飯くらい食ってってください」
ありがたい申し出に、家へ戻って朝食をいただく。
しばらくまったりした時間を過ごし、それじゃあと腰を上げたら。
ドルとJちゃんに見送られつつ、「またな」と笑ってセルを回す。
きゅるるる……きゅるるる……
はい、お疲れ様です。エンジンかかりません。
電圧計は6とか8とかありえない数値を表示している。
苦笑いしながら荷物を降ろし、シートを外してバッテリをむきだしたら。
「ドル、わりい。ジャンプコード持ってない?」
ジャンプしてもらって、エンジンをかけたら。
アクセルを煽ってみると、どうやら充電はされてるようだ。
「ふむ、レギュレータが逝ったわけじゃなさそうだ」
だとしたら、エンジンさえかかれば充電できるだろう。
なんで突然、バッテリが空になったのかはわからんけど。
レギュでもオルタネータでもないとすると、やっぱバッテリの寿命かなぁ。
ドル 「今日、休みなんで、なんかあったら連絡ください」
かみ 「おう、ありがとう! ま、だましだまし行ってみるよ」
何の根拠もなく、何の解決にもなってないセリフを吐いたマイトガイ。
今度こそ二人に別れを告げて、東へ向かって走り出した。
走り出してすぐ、さっきまで12とか13だった電圧計が、いきなし6になったまま動かなくなる。
「あれ、充電されてない。なんでだ? さっきまで動いてたやんけ。今度こそレギュか?」
首を傾げつつ、さすがに充電されない状態じゃアレなので、ドル家へ戻りかける。
と、戻ってる途中でいきなり電圧が復活し、アクセルに追従して電圧が上がるようになった。
「わけわからん。電圧計そのものの表示がおかしいのか……いや、実際にバッテリ空になってるしな」
とりあえずレギュが逝ったわけじゃなさそうだし、なら、ジャンプすれば家まで戻れるか。
じゃあ、ジャンプコードがあるであろうガソリンスタンドを繋いで行けばいいんじゃね?
あれ、俺って天才じゃね?
つわけで、「停まるのはガソリンスタンド」という縛りの元、とりあえず千葉に向かって走り出す。
ところがこの作戦、俺とバッテリ的には正しかったのだが。
空冷エンジンにとっては、ハードでやり切れない作戦だったようだ。
とにかく150~200㎞走り続けるって条件だからね(´・ω・`)
エンジンチェックランプが付き、空冷OHVが悲鳴を上げるころ、一発目の給油。
2号線のどこだか、ガソリンスタンドのすぐそばの道っぱた。
スタンドの販売機で買った水を、景気よくエンジンにぶっかけて冷ましながら。
自分も冷たいドリンクを飲んで、身体と頭を冷やしてやる。
今のところは、なんとかエンジンもかかるけど、このまま千葉は厳しいかなぁ。
原因を考えたり、この先の対処を考えたりしながら、たんたんと進んで二回目の休憩。
画面の奥、左側にガソリンスタンドが見える。
「給油しなくても、スタンドの近くで休憩すればいい」ことに、ようやく気づいたうっかりかみさんだった。
暑くてぼーっとしてた、ってコトにしといてくれたまえ。
そのあと、大阪あたりで道に迷ったり。
そんな絶妙のタイミングで大阪のムラタから「大丈夫?」なんて連絡が入ったり。
それに返事しつつ、大阪市街の地図を何度も確認したり。
それでも、やっぱり道に迷ったりしつつ。
なんとか大阪市街を抜けたところで、コンビニ休憩をとる。
もちろんスタンドのそば。
ここで今日中に千葉へ行くことをあきらめたマイトガイ、三重のおーがへ連絡を入れる。
「泊めてくれ」「かまわんぞ」と、これまたいつも通り。
急ぐ必要がなくなったので、余裕ができたのか、
タイアの減りなんか気にしてるようだ。
さすがにこれは、帰ったら交換してやらないとなぁと思いつつ。
三重のおーが家へ向かって、のんびりと走り出した。
国道25号のうねうねゾーンを楽しんだり、高速みてぇな平均速度に笑いつつ。
夕方くらいだったか、無事、三重のおーが家に到着した。
すっかり大きくなった、おーがの愛娘にして俺の愛娘、NNKが笑顔で迎えてくれる。
来年は五年生、
高学年になるNNKが、俺に懐いてくれるのも、これが最後かもしれない。
感慨深く思いながら、おーが家で歓待を受ける。
つーか居心地よすぎて忘れてたよ。
この家に初めて来たんだってことをwww
最近のおーが家は、この
二匹を中心とした封建社会が築かれている。
手前が「きなこ(♀)」で、奥が「わさび(♂)」という、この家の暴君たちは、警戒心が緩かった。
少なくともドルん家のカイくんほどは警戒されなかったよ(・∀・)
バカ話して呑んだくれて笑って、正月以来のおーが一家と団らんし。
途中で帰ってきた長男UKTとも、軽く話をしたりしつつ。
さて、明日もだましだまし走って、なんとか千葉へ帰り着こう。
楽しい時間の余韻を楽しみながら、心地よい眠りについた。
□8月15日
「かみ、ちょっと見てみ」
いつもどおり静かに出てゆこうとする俺を、おーがが呼び止める。
続けて、おーが嫁の飼い主ちゃんが、「ウチの娘を泣かさんでくれる?」とニヤニヤ。
何のことだ? と、ふたりのそばにいるNNKを見た瞬間、俺の時間が停まった。
NNKの瞳から、はらはらと涙が流れていたのだ。
あ…ありのまま今起こった事を話すぜ。
47歳のおっさんが家に帰ると言ったら、小学四年生の女の子が涙を流していた。
何を言ってるかわからねぇだ(ry
そんなもん、「勝てる方程式」が見当たらねぇわけで、俺の連泊が決定した。
つわけで、「ラーメン喰いたい」とわがままを言い出した、千葉のおっさんの意見が通り。
さっぱりとしてるのに、出汁が濃くておいしいラーメンだった。
サービスで付いてくるネギ油を入れると味が変わり、見た目より多いのに飽きずに食える。
チャーシュー丼は残念ながら、俺には甘すぎたけど。
ラーメンを食ったら家に戻り、だらだらと過ごす。
ホント、家にいるのとほとんど変わらない感じで、このまま休み明けまで過ごしそうなイキオイだ。
でも、明日はちゃんと帰らないとね。
□8月16日
翌朝、4:30に起きだした俺は。
みなを起こさないようにそーっとおーが家を出る。
ちょっと小雨が降ってるけど、これくらいなら問題ないだろう。
キーオンすると、おぉ、バッテリも13ボルト以上出てるじゃん(・∀・)b
祈るようにセルを回すと、すぐにエンジンが起きた。
そのまま前の坂道をそーっとくだり、とにかく住宅街を抜ける。
あとは千葉へ向かって走りだけなのだが……このまま下道をゆくのは、正直しんどい。
走り自体は退屈だけど、仕方ない、高速道路で帰ろうか。
つわけで高速に乗ったマイトガイ、涼しいつーか寒いくらいの朝の道を走ってると。
ぽつりぽつりときた次の瞬間。
やけくそのような土砂降りに襲われたのだった(´・ω・`)
スタンドで給油したあと、濡れた服を脱いでカッパを着こむ。
さあ、あとは200kmごとに給油しつつ、まっすぐ千葉まで帰ろう。
雨だからエンジンも熱くなりすぎないだろうし、ま、行けんだろ。
頼むぜ相棒、家まで何とか持ってくれよな?
日本平(静岡)までだった(´・ω・`)
そこへ至るまでに、もちろん兆候はあった。
走ってるうちに突然、充電しなくなり、電圧計が12.11.10.9……と下がり始める。
こらぁいよいよヤバいかと思ってると、突然、電圧が13ボルト付近まで回復。
そんなのを繰り返すため、高速を降りるタイミングを計りかねていた。
でもまあ、なんとか行けんじゃねぇか? と根拠のない結論で走ってると。
不意にメーターが落ち、スピード、タコメータともどもビタイチ動かなくなる。
「いよいよ速度に距離さえわかんなくなったか。もう、厳しいかな。いや、行ける!」
ダメな47歳がダメな中二病を発揮した結果。
またメータが動き出したり、電圧が戻ったり、もう何が何だかわからん状態。
そしてついに、日本平の手前でエンジンが息継ぎを始めた。
アクセルをあけてもガス欠みたいに反応がとぎれとぎれ。
さすがにダメだと、車体をガクンガクンさせながら日本平パーキングに入り。
バイクパーキングに入れた
ちょうどそのタイミングで、エンジンが止まった。
しばらく休ませてから、キーオンするも電圧計は6ボルトを表示。
ここで完全にあきらめつつ、念のためにセルを回してみると、やはりピクリともしない。
天を仰いで大きく息を吐きだす、マイトガイことかみさん47歳。
携帯を取り出したら、かけ慣れた電話番号に連絡を入れる。
保険会社のスタッフに現状を伝え、レッカーの手配をお願いしたら。
迎えが来るまでパーキングでゆっくりと休もうか。
SNSに「停まった」旨を書き込み、のんびりとウェブ小説なんぞを読んでると。
一時間ほどで、レッカーがやってきた。
レッカーに積まれてるユリシーズの高速料金を、納得いかない気持ちで支払い。
一番近いレッドバロン清水店へ送ってもらう。
バイクを降ろして帰ってゆくレッカー屋さんを見送ったら。
バロンのスタッフにタクの店へ移送してもらう旨をお願いし、ついでにタクへも連絡しておく。
それからタクシーを呼んでもらって、最寄り駅まで。
静岡駅から
新幹線に乗って、無事(?)、柏まで帰ってきたのだった。
楽しかったこと、前フリになってたこと、いろいろとあったけど。
総じて面白いツーリングだったことは間違いない。
が、さすがに何度も新幹線で帰るのは、いろいろと切ないので。
今回限り、ユリシーズでのロングツーリングはやめようと思う。
もちろん、通勤や近場へのツーリングには行くけど、新幹線レベルの距離は出かけない。
これからは大切に、熱を持ったらすぐ停まるくらいの感じで、穏やかに付き合っていこうと思う。
何度トラブっても、帰ってこれなくなっても、俺はやっぱりビューエルが好きだから。
んで、もちろん「ロングツーリングに出ない」って選択肢は、俺の人生にはありえないので。
ロング用に新しいマシンを、それもぜってー壊れないのを、買うことにした。
つーかこれを書いてる段階で、もう発注済みの納車待ちだったりする。
買ったのは世界最強の単車、スーパーカブ110だ。
さて、カブでいったいドコまで行けるかなぁ(・∀・)
2017夏ツーリング/了