ソロでケモに行くと知って、ナオミが大反対。
ひとりで電波も届かない山の中じゃ、何があるか心配だと言うのだ。
心配はもっともだが、だからって「はいそうですか」とは言い難い。
「前からソロで行きたいつってたろ!」
「そのために前回、予行演習したから大丈夫だ!」
ずっと前からやりたかったことだけに、強く反発する47歳。
とはいえ首都高の例もあり、こと危険に関しては敏感な反応をするナオミさん。
俺の「大丈夫」など、まったく完全に頭っから信用しない。
「キャンプだけしてくれば?」
「朝、もし誰かが来たら山の中入って、誰も来なかったら帰ってくるのは?」
と妥協案を示してくれるのだが。
そもそも「ソロでケモやりたい」ありきなので、根本から噛み合わず、話は平行線。
珍しく日付変更線をまたいでも決着がつかず、俺は黙々と翌日の準備を進めた。
朝イチ、やっぱり心配そうなナオミさんを尻目に、行く気マンマンのフル装備で職場へ。
「冗談じゃねぇ、単車の話だけは譲れるか。俺はソロケモやりたいんだ!」
イライラしながら職場につき、仕事してるうち……冷静になってくる。
こんな気持ちのまま走っても、楽しくないし、何かやらかすのは目に見えてる。
それに何より、
「てめえの女にあんな顔させてまで、やることじゃねえか」
と思い直して、中止することにした。
同時に俺はこれから、ソロでケモへは行かないことが決まった。
なので申し訳ないんだが、これから先、ヒマな人はケモ付き合ってくれると嬉しい。
そんな感じで。