房総ケモライド ―D山お色直し― (前編)

 
 
さて、春の連休初日は、前回中止になった、房総ケモライドへゆく。

前夜、実弟と呑んだくれつつも、比較的早めに就寝したマイトガイ。

ビシっと早起きし、むくんだ顔でオフロード装備を身につけたら。

e0086244_14473917.jpg

6:30ころ、柏を出発する。



晴天のもと、気持ちよく国道16号をすっ飛ばし。

297号「大多喜街道」へ入ったところで、コンビニへ。

朝食をとって、スポーツドリンクやタバコを買ったら。

e0086244_1448366.jpg

工具を引っ張り出して、ちょっと緩んでたミラーを締めなおす。

最高速近くまで出したら、風圧と振動で緩んできたのだ。

ま、現場に着いたらどうせ外しちゃうんだけどね(´▽`)



途中のスタンドで、単車とスペアタンクに給油する。

e0086244_1448883.jpg

スペアタンクに入れるとき、こぼしちゃったのは、まあ、いつものこと。



だんだん視界が開けて、房総らしい風景になってきたところで。

キレーなお姉さんが、道端に単車を停めて、カメラを構えている。

「何の写真を撮るのかな?」と思ったら、向こうから可愛らしい電車が走ってきた。

e0086244_14481360.jpg

急いでカメラを向けたんだが、時、すでに遅し。

この土手っぽいトコロの上を、二両編成くらいのカワイイ電車が走ってたのだ。

ま、言っても俺が興味あったのは、電車じゃなくてお姉さんの方だけんども。



と、今度は横の道から、救急車が出てきた。

e0086244_14481894.jpg

朝っぱらから、やかましいサイレンに先導してもらいつつ。

「こんだけガラガラなら、サイレン鳴らさなくてもよさそうだけどな」

などと、どうでもいいことを考えたり。



e0086244_14482327.jpg

なんだかんだ、柏から約二時間で、目的地の養老渓谷駅に到着。






一服しながら、mixiに写真を上げたりしてると、バイクがやってきた。

イロハかな? と思ったのだが、車種が違う。

「ああ、そうか。イロハが、誰か友達を誘ったのかな?」

e0086244_14482812.jpg

そう思いながら、白いセローに乗った人物へ、片手を挙げてご挨拶。

すると、乗り手が「おはよーございます!」と言いながらメットを取った。

下から現れたのは、イロハの嬉しそうな顔だった。



かみ 「あ? なんでだ? おめ、CRFはよ?」

イロ 「ありますよ。まだ売れないんです。値段が爆下がりで」

かみ 「いやいや、そうじゃなくて。なにこのセロー? 買ったんけ?」

イロ 「買いました。CRFでケモったら、死ぬかと思ったんで」



いつの間にか、さらっとセローを買っていたイロハは、ニヤニヤと笑っている。

e0086244_14483288.jpg

かみ 「ちょ、おめ! トラタイアじゃねぇか! 卑怯だぞ!」

イロ 「へへへ~!」

かみ 「シュラウドもケモ用に小さくてカッコいいな」

イロ 「そうですか? 僕は大きい方がいいんですけどね」

かみ 「うるせぇ卑怯者め。シュラウドよりタイアだ、問題は!」



俺が、何を騒いでるのかというと。



セローにトライアルタイアを履かせた機体は、ケモ界では最強の組み合わせなのだ。

言うなれば、例えば草レースで、俺がネイキッドバイクとツーリングタイアなのに、

イロハがスーパースポーツとハイグリップタイアでやってきたようなもんなのである。



つっても、もちろんホンキで、「卑怯だ」と怒ってるわけじゃない。

トラタイアを履いてきたら、こうやって罵(ののし)るのが、ケモの礼儀なのだ(´▽`)

最終的には、乗り手に依存する世界だしね。






イロハをひととおりイジメたら。

e0086244_14483760.jpg

一服しながらばんちょさんを待つのだが、この日は登山客が多く、リュック背負ったひとがたくさん。

そこへ通りがかった若い夫婦が、イロハを「すいません」と呼び止めてる。

どうやら写真を撮って欲しかったようで、人のいいイロハは、快諾して写真を撮ってた。



ちなみに俺は、こういう声のかけられ方を、した事がない(´・ω・`)






ケモライドは、山の中ですっ転びまくり、バイクを投げ倒す。

なので極力、身軽なカッコで行きたいのが人情だ。

それに、汚れたり壊れたりすると困るものは、持って行きたくない。

e0086244_14484376.jpg

つわけで、上着など持って行かないモノを、駅のコインロッカーへ仕舞う。

俺の場合はここでバックミラーも外してしまうから、それも一緒にロッカーへ。



かみ 「イロハも上着とか仕舞うか?」

イロ 「はい、お願いします。あ、お金払いますよ」

かみ 「いーよ、100円くれぇのもん……うお、300円かよ! 高いな!」

イロ 「すいません。千葉県民はガメツいんですよ」



いちおう突っ込んでおくと、俺も千葉県民だよ、イロハ。






んで、トイレを済ましたり、タバコを吸ったりしていると。

約束の9時をちょこっと過ぎたあたりで、ぶろろろろっ! っとエンジン音。

e0086244_14484980.jpg

房総の変態、ばんちょさんが、愛機ガスガス・ランドネに乗ってやってきた。



e0086244_14485320.jpg

ガスガス製の125cc、ランドネ「匠スペシャル」は、あの「成田匠」モデル。

ただでさえ「ほとんどトライアル車」なのに、リアオーリンズやフロントマルゾッキ(でしたっけ?)。

ケモ走るのは最強つーか、「鬼畜」と言ってもいい単車だ。



さっきの例で言えば、草レースにmotoGPのレーサー持ってきた感じ。



と、その鬼畜ばんちょさん、来るなり「うぉ! カブった!」とか騒いでる。

「ホモみてーじゃん!」などと、意味不明の供述をしており。

「なに騒いでんだ、このおっさん?」と思ってたら、なるほどそういうことか。

e0086244_1448599.jpg

デザインもカラーも全く同じジャージ

確かに「アッー!」な匂いがする(´・ω・`)






それじゃあ、楽しく山の中を走ろう!

つわけでトコトコ、山の中へ向かっていると、さっきイロハに写真を頼んだ若夫婦が歩いていた。

俺たちの姿を見て、笑いながら片手を挙げてくれる。

e0086244_1449569.jpg

ロードバイクだとあんまりないことだけど、オフはこんな風に歩行者と挨拶することが多い。

それを持ってオフの方が上とか、認められてるなどと思うわけじゃなく。

ロードでも、こんな風にひととの距離を縮められたら、より走りやすくなる気がする。



少なくとも、「俺はアウトローだぜ!」みたいなのよりは、チカラ抜けてて俺は好きだ。

いやまあ、かつてはその急先鋒だったんだけんども。

ひとってのは、年月と共に変わっていくもんさね。






ぱっと見にはわかりづらい、頭の悪い「入り口」から、山へ入ってゆく。

大雪や大雨の影響で、崩落したり荒れてたり、だいぶん様子が変わってるとのウワサだった。

そして、走り出してすぐ、それが大げさじゃないことを思い知らされた。

e0086244_14494742.jpg

入りっぱな数百メーターで、すでに覚えてる道と全然ちがう

なんとなく覚えてるルートのすべてに、あらためて泥をかぶせなおしたような。

その上に枯れ草だの倒木を、しこたま敷き詰めたような。



他の単車の通った痕跡が、極端に薄いのである。



D山は、カンペキにお色直しを済ませて、俺たちを迎えてくれた。



e0086244_14495137.jpg

下っていく前のところで、イロハが一度、単車を停めた。

いきなり、結構ちがう道の様子に、心なしか嬉しそうだ。

こらぁ期待できるつーか、先が思いやられるつーか……



おなじみ「川渡り」も、ちょっと難易度が上がってる。

e0086244_14495998.jpg

もっとも、ここいらまでは難易度が上がったことを、「楽しい」「嬉しい」と思える程度だ。

なんつっても、たった15kmに数時間かかる、D山はまだ始まったばかり。

久しぶりのケモライドに、胸がわくわくと踊りだす。






と。



先の方で、オフ車が渋滞していた。

ケモではわりとよくあることなんだが、ちょっとばかり雰囲気がおかしい。

三台で近づいてゆくと、向こうからも、ライダーが近づいてきた。

e0086244_1450369.jpg

どうやら、イロハの既知だったらしく、「お久しぶりです」などと話している。

そして、彼らの情報によると、この先が崩落しているらしい。

もちろん迂回路もあるのだが、その迂回路が結構な「難所」らしいのだ。



e0086244_1450795.jpg

単車を停め、歩いて近づいてゆくと、結構な大人数のケモツーだった。

話を聞き、それじゃあまずは見てみようと、歩いて先へゆく。

すると目の前に、かつてルートだった部分が崩落しているのが見えた。



e0086244_14501191.jpg

崩れてきた土によって、ルートが埋まり、倒木が阻んでいる。

これはさすがに、通ることは出来ないだろう。

つわけで、この下の方から迂回してゆくのだが、その先が「難所」になってるという。






難所までは距離があるので、いったん下へ降りて、集団が先へ行くのを見送る。

e0086244_14501587.jpg

降りた先には、川が流れている。



イロ 「かみさん、懐かしいでしょ。この水、のんでましたよね」

ばん 「俺もそのレポート読んだ。甘露だとか言ってたよね。このひとバカだなぁと思ったよ」

かみ 「なにをう! ホントに美味かったんですよ」

イロ 「あの時は、ハラを壊すより、優先するものがあったんですよね」

かみ 「そうそう、ヘロヘロで、腹とかどうでもよかったんだ」



バカ話して笑いながら、渋滞が緩和するのを待ち。

e0086244_14502065.jpg

やがて先頭が進んだので、こちらも難所の手前まで走ってゆく。

そして、ここに単車を停め、歩いて見に行った先で。

俺達は、絶望的な光景を目にした。






e0086244_14502549.jpg

写真ではビタイチ伝わらないが、かなりの急斜面が、俺達を待ち構えていたのである。

削れた土の上に水が流れ出し、ただでさえ登れそうもない斜面を、滑りやすくしている。

写真のひとは何とか立っているが、気を抜いたらそのまま滑り落ちてくるほどだ。



かみ 「イロハくん、これは『迂回路』とは言わないんじゃね? 迂回ってもう少し楽なものだろ?」

イロ 「ええ、これは『セクション』だと思います」

ばん 「こりゃまた、なかなかハードだねぇ」



呆然とたたずむ我々の前で、先行者のアタックが始まった。

e0086244_145029100.jpg

坂の中腹まで何とか駆け上がり、そこでわざとバイクを倒して斜面にとどめる。

すると、人がわらわらと集まり、ロープをかけて引っ張りあげてゆく。

結局、この集団でも、ノーヘルプで超えたのは一台だけだった。



その一台、フサベルが駆け上がった瞬間、俺は思わず拍手をしてしまった。

もちろん、他の人からも、歓声や拍手が沸きあがる。

この場所のMVPが決定した瞬間だ。



駆け上がったバイクが、中腹ですっ転んだり、フロントをサオ立ちさせて捲(まく)れたり。

そのたびに、見てる連中からゲラゲラと爆笑がわきおこる。

ケモライドでは見慣れた、実に楽しい光景だ。



そのあと、「次は自分だ」と気づいて、ちょっとブルーになるところまで。






先の集団が全員、難所を越えたところで。

準備している俺達に、ひとりが「ヘルプしましょうか?」と、声をかけてくれた。

ありがたい申し出に、お礼を言って助けてもらうことにする。



まずはイロハが、気合一閃、一気に登りだした。

そしてそのまま、ぐいぐいと傾斜を駆け上がり、なんと、ほとんど頂上まで登りきる

とたんに、見てる全員から「おぉ!」と歓声が上がった。



「うわ、イロハ上手くなったなぁ」



感心しつつ、次は俺の番だ。

非力なKLXで登れるのか、という不安を飲み込んで、気合を入れて走り出す。

と、加速中にリアがすべり、なんとか中腹まで行ったところでスリップダウン。



先集団の皆さんに、ロープで引っ張りあげてもらった。



最後にばんちょさん。

ランドネはするするっと登ってきたが、やはり濡れた土に脚を取られ。

俺より少し上の辺りで、ばんちょさんも撃沈。

e0086244_14503360.jpg

引っ張りあげてもらうとき、皆が、「軽いね」と言ってたのが印象的だった。






先集団の皆さんにお礼を言って、俺達はそのまま少し休憩。

e0086244_14503850.jpg

倒木を見ながら、どうやって超えていこうかと考えをめぐらしていると。

先の方で、また、騒ぎが起きている。

なんだろうと、三人で見に行くと、一見、何でもなさそうな場所で、みなが引っかかっていた。

e0086244_14504353.jpg

二方向からアプローチできる、斜面と木の間を抜けるルート。

ところが、どっちから行っても、木の手前の斜面でリアを取られ、登れないのだ。

そう、ココにも自然の洗礼、水の流れるツルツルの斜面があったのである。






しばらく見てたが、あまりにも大変なので、俺たち三人もヘルプに入った。

崩落した柔らかい土と、流れる水のコンビネーションが、急斜面を覆っている。

ヘルプへゆくにも、歩いてさえたどり着けず、たどり着いても足が踏ん張れない



何人もが、ルートを変えたり、アプローチ速度を変えたりしつつ。

それでも、斜面にとどまれず、ロープをかけて、引いて、押して。

俺もヘルプに入っては、足を滑らせて斜面を転がり落ちたりした。



まさに、ディス・イズ・ケモライド






全員が渡り終えたあと、俺達ははあはあと息を荒げ、汗だくになっていた。

そこへ、また「ありがとう。そちらも手伝いますか?」と声がかかる。

が、足場がなく、三人ほどで押し上げるスペースしかない、のはわかってたので。



「いや、大丈夫です。これは、さっきの坂越えのお礼ですから」



と、ヘルプを断った。



さて、それじゃあ、今度は俺たち三人の番だ。

バイクの元へ戻り、倒木を乗り越えて、難所の前に立つ。

それから、三人がかりで、押したり引いたりしながら、難所を越えた。



さっき、ヘルプを断った自分を、軽くぶっ飛ばしてやりたくなった。






ここで、かなり体力を使ってしまい、ヘロヘロになりながら先へ進む。

やがて眼前に、なんとなく見たことあるような光景が広がった。

あれ? もしかして? と思っていると、横でイロハが、その通りの事を言った。



「スーパーVの前、アプローチのところですよ」



やっぱりそうか、と思いながら、気合を入れて走り出す。

ところがココでは、崩落で埋められたことが、逆にいい方へ働いたようだ。

前はアレほど苦労したVへのアプローチが、ほとんど何も考えずにクリアできた。



同時に、KLXの登板力つーか、エンジンの粘りに感心した。

俺みたいに腕のない人間には、「一速固定アクセルのみ」っつー125は、いいかも知れん。

あまりに急坂は失速するけど、失速さえしなければ、結構ねばってスルスル登ってくれる。



「やるじゃん、KLX」


と、このときはまだ、呑気に構えていた。






後編に続く



 
[PR]
トラックバックURL : http://rugnarok.exblog.jp/tb/21938516
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by noreturnrydeen | 2014-04-27 14:47 | ちっちゃいもん倶楽部 | Trackback

アーカイブ


by かみ