山賊へ向かって下道を ―あるいはユリシーズの復活―

 
 
今回のレポは、「行き帰り」と、「現地での宴会」を、別々に書くことにした。

まずは行き帰りの道中、ユリシーズと仲良くなってゆく話。






0)出発前

長いことかかって、やっと復活した愛機、BUELL XB12X ユリシーズ。

しばらく乗ってなかったので、乗り手と機体のすり合わせが必要だ。

荷物を積むと動きはかったるいが、そのぶん、いろいろ確認しながら走るのにちょうどいい。



土曜の仕事がハネた午後一時、出かける前に、オイル交換と軽いメンテをしてやる。

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オイルはこないだと同じ、レブテックの20W‐50にした。



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ドレンボルトのOリングも新品に換えて。



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今回はプライマリやフィルタを交換しないので、すぐに作業終了。



はやく出掛けたい気持ちを抑えて、さらにワイヤーやレバーなど、各部へ注油。

あせる要素がある時ほど、あえてゆっくり慎重に作業したほうがいい。

特に俺みたいな、うっかりで出来てる生き物は。



最後にもういちど、荷物の積み具合を確認したら、さあ、ようやく出発だ。






1)往路

まずは、ゆっくりと身体の慣らしがてら、クルマの後ろへついて走る。



と、ブレーキングの時、フロントに若干の違和感を感じた。

ほんのわずかな、「気のせいレヴェル」の話なんだが、気持ち悪いので路肩へ単車を停めて。

左右フロントフォークの、プリロードと伸圧減衰を調整しなおす。



ついでにリアの伸圧を、「半戻し」ほど柔らかくしてみた。



違和感は解消されたっぽい(精神的なものかもしれないが)ので、そのまま県道を進むと。

16号を越えたあたりから、今度は音がおかしくなる。

排気漏れしてるだろう前側バンクから、ド派手な爆音がし始めたのだ。



一瞬、戻ろうかとも考えたが、戻ったって、できる対処は液ガス塗る程度。

スプリングを換えるにしても、来週の話になるから、どっちにしろ今やれる事はほとんどない。

なので、とりあえず騙し騙し走ってゆく。



もちろん、まったくなんの解決にもなってないんだが。






北へ向かって、6号線に合流するあたりまで走ってるうち。

爆音とかどうでもよくなってきた44歳、流れるクルマを縫い、景気よくすり抜け始める。

125ccからの乗り換えだけに、トルク感やアクセルスナッチでの加速がたまらない。



と。



けらけら笑いながらすり抜けてたら、いつの間にか、音が静かになっていた。



「ははーん、これはスプリングとエキパイ、シリンダーのスリあわせが完了したんだな」



と、「よく考えたら今ヒトツわかりづらい理由」をでっち上げて、ひとり納得したら。

そこからは、機体と身体のマッチングに努めつつ、6号線を北上してゆく。

途中で事故渋滞があったものの、基本的に流れは好調だ。

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事故渋滞つーか、見物渋滞だったのかな。

クルマは思いっきりひっくり返ってて、中の人は見当たらなかった。

無事だといいんだけど(´・ω・`)






最初こそチグハグだった、ユリシーズとのコミュニケーションだが。

まずはだんだん身体が思い出し、やがてアタマも思い出し

少しづつ思ったように乗れはじめた。



もちろん荷物を積んでるから挙動はニブいのだが、それが今の俺にはちょうどいい。



アクセルオンと同時に、フロントの接地感が減り、リアサスがググっと沈む。

荷物でケツが重い分だけ、その動きがオーバーで判りやすい。

そのうち、フロントがリフトするようになってきた。



荷重を意識して前後させながら、身体ごとユリシーズを思い出してゆく。

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途中で走りながら写真を撮ったり、また走りに集中したり。



こないだ買ったディッキーズの上下は、冷たい風を充分に防いでくれる。

カンペキとは言えないけど、120スピード以下で流すには充分だ。

なお、出発前にチェックしたらETCが壊れていたので、高速道路は使わない。






エンジン、タイア、各可動部分が充分に暖まったのか。

それとも慣れて、アクションが大胆になってきたからか。

その両方かも知れないが、とにかく、ひとつひとつの動きが良くなってきた。



気分よくすっ飛ばしてるうちに、道は355号と50号の交点。

茨城の北半分へ突入するわけだ。

つまり、普通の道でも=曲がり道となる(偏見です)。



県道61へ入ってゆくと、「待ってました」とばかりに、道がツイストし始めた。



荷物を積んでるとは言え、振り分けバッグで重心は低い。

さらに、何でだかはともかく、さっきから各部の動きがスムーズで軽い。

そこへ道がくねり始めたのである。



そりゃ、アクセルを抑えろという方がムリだ。



ノリノリになったかみさん、曲がり道をすっ飛ばし始めた。






すーっとツッコんでブレーキをナメ、サスの伸びにあわせてアクセルオン。

リアタイアに移った荷重が抜けずに、しっかり路面をつかまえたら、さらにワイドオープン。

出発時の爆音は、ウソみたいに消え、エンジンがドコドコっと低く吼える。



コンパクトな車体は、立ち上がりでカタパルト発進するように脱出。



山間部へ入って、道がツイストしながら今度は登り始める。

減速帯のあるキツめのカーブへ飛び込み、スナッチでリアを食わせて立ち上がり。

荷物を積んでるなりに、気持ちよく曲がってゆく愛機へ、俺は思わず叫んだ。



「いっやー! ようやく本当の意味で言えるよ! おかえり、ユリシーズ!」



ゴキゲン絶好調のマイトガイは、最高の相棒と共に山道で踊る。






やがて、下りのツッコミでリアが鳴いて、機体が軽くケツを振ったら。

それはポンコツな右足の動きが、悪くなってきた合図。

これは同時に、集中力の切れたサインでもある。



相棒が、「このくらいにしとけよ」と言ってる気がして。



「おう、そうだな。今日はこれ以上、攻め込んでくのはやめよう」



機械としゃべる変人は、ここでようやく、アクセルを抜いた。

程よく道もおとなしい感じになり、クルマも数台現れる。

あとは知った道、友が待つ川原を目指して、のんびり走ろう。



「ああ、そうだ。晩飯を買わなくち……いや、コンビニでいいか」



キャンプよりも大事な愛機とのダンスで、すっかり気を良くした俺は。

こんな楽しいのに、晩飯なんぞ何でもいいやと。

待ち合わせ場所のそばにある、セブンイレブンへ滑り込んだ。







<山賊宴会中>







2)復路

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ろろちゃんとよしなしに別れを告げ、ちんたら走り出したマイトガイ。

ボンヤリしたアタマのまま、道の駅の出口を左折し。

アクセルを開けた瞬間。



ずるっ!



まだタイアが凍っていたのか、それともドロを食っていたのか。

景気よくリアが流れて、盛大に暴れてしまう。

なんとか転ばずに立て直し、朝っぱらから大きなため息をついたら。



「いかんいかん、ぼーっとしてるぞ! 家に帰るまでが遠足だっ!」



だらだらのんびりではなく、事故や自爆に気をつけながらキビキビ走ろう。

国道を南下しながら、あらためてそう決意し。

「いつもの走り」に、「路面凍結」「荷物満載」と言うデータを加えて修正する。



国道を折れ、県道61号へ入ると、道は程なく曲がり始める。

しかし、ここは茨城県の山間部、しかも12月の朝だ。

道の「日陰になった部分」は、正直、信用できない(凍結)ので慎重に。






クソ寒い朝の空気の中、スカスカのオフロードメットが風を切る。

ほどなく口元から頬あたりが、冷たくしびれてきた。

これじゃタイアやエンジンも、なかなか暖まらないだろうなと、気を引き締める。



往路でリアサスを抜いたのが、ちょうど良かったのだろうか。

エアパンパンのわりには、出端(でばな)のイッパツ以外、タイアが滑ることもなく。

路面も警戒したほど凍結部分がなくて、気持ちよく走ってゆける。



もっとも、さすがにこの寒さじゃ、新しい服の防寒も、思ったほどは効かないようだ。

少しづつ身体の芯が冷えてきた。

同時に道の方も50号を越え、友部インターへ向かう355は、それなりに混んでいる。



攻める系からおとなしめに切り替え、よっぽど遅い時だけ、抜いてゆくことにする。







面白いのが、だからって高速に乗ろうとは思わないところだ。

さすがに凍結もないだろうし、高速に乗っちゃえば楽なはずなのだが、どうもその気にならない。

KLXに比べたら天国のようなシートとエンジンが、下道をまったく苦にさせない。



どこまででも走ってゆこうと思わせてくれるのだ。



ハヤブサの高速居住性の高さと、旋回性能のバランスは、驚異的だと思うが。

こいつの長距離走破性(速度ではなく)と、旋回性能のバランスも、奇跡的だと思う。

「遠くまで走って、峠道で踊って」の、どちらも楽しい最高の相棒だ。



もっとも、ソロで完結しちゃって、あまりヒトと走らなくなるのはネガかもね(´▽`)






クルマの後ろを走りながら、相棒の声に聞き耳を立てる。



どよどよどよどよ……フロントエキパイの排気漏れは、収まったようだ。このままで大丈夫かな?

にゃりにゃりにゃり……チェーンか? いや、カラーを変更したチェーンテンショナか。

帰ったら、ナスカルブをたっぷりと吹いてやろう。



「軽いし、こうやって音が聞けるし、オフロードメット好きだなぁ」



ついさっき、寒くて文句言ってたくせに、ゆっくりになったとたん忘れる

相変わらずの鳥アタマを首の上に乗っけた俺は、やがて国道6号線に出た。

こうなれば、あとはすり抜けしいしい、すっ飛ばしてゆくだけだ。



信号待ちで前に出て、青になった瞬間、アクセルワイドオープン。

勢い余ってフロントが浮いた(浮かせた、ではない)ところで。

復活したユリシーズと楽しく踊った話を、語り終えるとしよう。






どうやら、身体も心も走り方を思い出した。

しばらくはクソ寒い日々が続くけど、かみさんはもちろん走ってる。

冬でも走る酔狂なやつは、ヒマなら一緒に走ろう(´▽`)/

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山賊へ向かって下道を ―あるいはユリシーズの復活―/了
 
 
 
 
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by noreturnrydeen | 2013-12-07 13:33 | ソロツーリング | Trackback

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