房総ツーリング 紅葉キャンプ(後編)

 
 

秋の短い陽が翳(かげ)り、あっという間に息が白くなってきた。

今回の目的のひとつである、ハイカロ炭を取り出して、焚き火の中に放り込む。

それから半網をかけ、おでんを入れたコッヘルを乗せる。

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これで晩飯の準備は完了。

炭に火が回ったら網の下に集めて、残り半分のスペースで焚き火をする寸法である。

夜は長いし、じっくり煮込みながら、キャンプを楽しもう。



ワインを飲み、タバコをくゆらし。



暮れてゆく夕空を眺めながら、気持ちよくぼんやりしていると。

BMさんの方で、ちかちかとカラフルな光が灯(とも)る。

なんだ? と視線を向けた先には、例のわんこ。

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その胴体と首に、赤と緑の光を発するベルトが巻かれていた。



「なはは、かわいいですね」

「暗くなるとさ、どこに居るかわかんなくなっちゃうんだよね」

「なるほど、それで光らせてるんだ」

「クルマに轢かれちゃう可能性もあるから」



わんこの安全のため必要な措置ということで、なるほどと納得しつつ。

緑と赤をチカチカさせてトコトコ歩いてく姿が、やたら可愛くて笑った。

しかし、確かに真っ暗な闇の中では、効果のある方法だと思う。



夜中、トイレ行くとき必ず蹴っ飛ばす、ウチの灰皿にも夜光塗料を塗っておこうかなぁ。






やがて炎が落ち着いてきたので、網の下に炭を集め。

ホンゴシ入れて、おでんの煮込みを開始する。

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ついでにワインも温めて、ホットワインで寒い夜を楽しんだり。

ちなみに、こないだ買った防水パンツは、少々なら火の粉が飛んでも大丈夫だった。

んで、のんびり火を見つめながら、時々、BMさんと話をしたり。






BMさんに年齢を聞かれ、そこから家族の話になる。ちなみにBMさんは50代。

奥さんと娘さんふたりは、アウトドアに興味がなく、いつも「わんことふたり」なんだそうだ。

寂しそうに、「付き合い始めたころは、一緒に行ってくれたんだけどなぁ」と嘆息し。



そのガッカリした表情に、申し訳ないけど、俺は思わず笑ってしまった。



「俺はソロの方が、面倒がなくて好きですよ」

「そう? 私はねぇ、やっぱり寂しいよねぇ。ほら、あそこのご夫婦なんて、憧れるよ」



言いながら、彼が指差した先では。

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クルマでキャンプに来てるご夫婦が、星を見ながら、仲むつまじく談笑している。

それを見ながら、うらやましそうに「女房も昔は来てくれたのになぁ」と繰り返すBMさん。

苦笑しつつ、まあまあとなだめる俺。



この日は我々と、このご夫婦のほかに、クルマのソロキャンパーがひとり。

あと、ここから下った別のサイトに、何組かの家族が来ていた。

初冬のキャンプ場としては、普通なんだろうか?






ところでBMさん、俺をどう呼ぼうか考えた末、「ミスター」という呼称に決めたらしい。

「ミスターはさぁ……」「ミスターのバイク……」と話しかけてくるので、ついつい苦笑してしまう。

藩士の俺にとって、ミスターと言えば鈴井貴之なのだが、水曜どうでしょうの話は控えた。



「ミスターは、どっから来たの?」

「柏ですよ」

「へぇ! 私は松戸だよ!」

「おぉ、ご近所さんじゃないですか!」



思わぬ近さに、お互い偶然を驚きながら、楽しく話をする。



「ミスター、ブログとかやってるの?」

「やってますよ」

「へぇ、もしかしてミスターって、雷神さんってひと?

「いやいやいやいや違います! 友人の友人らしいですが、俺は会ったことありませんよ」



千葉のオフ乗りならみんな知ってる、超有名人の名前を出されて、あわてるマイトガイ。

そこからネットの話になり、「マーマレードスプーン」と言うサイトをやってると答える。

スマホで検索したBMさんが、「あったあった」と喜んでるのが、少しくすぐったい。







話しながら食ううちに、おでんはほとんどなくなり、腹もいっぱいになってくる。

一方のBMさんは、犬の散歩をしてから食事の用意だったので、まだ始めたばかりだ。

話の合間、夜空や焚き火を見ながらほっこりしていると、BMさんから声がかかる。



「ミスター! アジ食べるかい?」

「おぉ、ありがとうございます! いただきます!」

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アジ刺をもらったので、ワインはいったんお休みして、買っておいた焼酎を取り出す。

シェラカップも脇へよけて、木のカップを取り出すと、黒霧島を注いで準備完了。

アジ刺をツマミにぐびりとやる、焼酎の美味いことと言ったらもう。



「ミスター! 粕漬け食べるかい?」

「あ、ありがとうございます!」

「うん、食べな食べな。まだ、これからメインがあるからね」

「いや、もう……ええ、それじゃ」

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山賊名物、「eisukeさんの食べ物攻勢」を思い出して苦笑しながら、美味しくいただく。



「ミスター! メインだよ、スキヤキ! すき焼き食べなよ!」

「す、スキヤキですか。焼肉はよくあるけど、スキヤキは初めてです」

「そうかい? 食べな食べな!」

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スキヤキまでいただいたところで、カンペキにお腹一杯となるマイトガイ。

満腹すぎて、写真もピンボケ(言いがかりです)。



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スキヤキの鍋を片手に、満面の笑みを浮かべるBMさん。

最後には、「ミスター、みかん食べる?」と、みかんまでいただいてしまった。

今週、太った気がするのは、たぶんBMさんのせい(´▽`)






焚き火を前にした男は、哲学者になる。



お腹いっぱいになった我々は、酒を呑みながら、少し真面目な話もしたり。

焚き火を始めるとき、下にブロックを敷いたり、ゴミをすべてまとめて仕舞ったり。

俺のそんな様子や、真面目な話に、「ミスターえらいねぇ」と言っていたので。



BMさんはきっと、俺のことを真面目な人間だと思ってるだろう。

なので、本当はただのダメ人間だということを、ここに明かして、謝罪しておきたい。

でも、彼と呑んで笑った一夜は、実に楽しかった。






BMさんと話してない時は、焚き火や夜空を眺めたり、携帯やカメラをいじっていた。

晩秋から初冬といった風情の夜空は、空気が澄んで、星が降ってくるようだ。

心の雑味が全身から抜けて、星明りの中に溶けてゆく。

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とは言え、ばっちり酔っ払ってるから、デジカメの設定をイジって、余計なことをしたり。

おかげで、ココから先の写真は、すべてハイコントラストになっている。

いや、まあ、普段の写真も「PCでいじってからアップ」してるんだけど。






犬を連れた、陽気なビーエマー。

満天の星空。

揺らめく炎。

冷たい夜風に、吐いた白い息。



楽しい出来事や、美しい風景に癒されながら、房総の湖のほとりで。

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俺は、実に幸せな夜を過ごしたのだった。









あけて、翌朝。
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太陽が顔を出す前から、空は快晴。

思ったほど寒くもなくて、気分は最高。

そして写真はハイコントラスト



すると。

昨日、BMさんが羨ましがってた、ご夫婦キャンパーの旦那さんが近づいてきた。



「おはようございます!」

「おはようございます! ゆでたまご食べます?」

「おぉ、ありがとうございます! いただきます!」

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つわけで、大好きなゆでたまごをいただく。

奥のクルマとテントが、ご夫婦キャンパーのベース基地。

さすがにカーキャンプだと、装備の充実度はハンパない。






さて、撤収の仕度をする前に、残した薪(たきぎ)を燃やそう。

昨晩、カバーするのを忘れたため、夜露にぐっしょりと湿ったマキを積み上げ。

ナイフで細いマキを削って、「焚き付け」を作り、エスビットと共に火をつける。



ぐずぐずと煙の上がる火を、慎重に育てながら。

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目の前に広がる、朝日を浴びて美しく輝いた紅葉を、写真に収めた。

でも、ハイコントラスト(´・ω・`)



やがて、どうにか火が起きて、薪を足せるようになってくる。

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日が当たらない朝の冷たい空気に、炎の熱が心地よい。

「たったひと束のマキ」で、夜と朝を過ごせるようになった自分を褒めつつ。

タバコに火をつけて、イスにどっかりと座り込む。



ソロキャンプの朝はいつもバタバタする俺らしくもない、のんびりとした立ち上がりだ。






一服しながら横を見れば、

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BMさんも火をおこして、のんびりとコーヒーかなんかを飲んでた。

後ろの木々を見ると、もうそろそろ日が差して来る角度なのがわかる。

そして数分後には、キャンプ場に朝日が差してきた。



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テントを移動させて、太陽光にアテて干しながら、景色を眺めつつ一服。



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南側の山に朝日が当たり、空とのコントラストが美しかったので、写真を撮ったり。

とは言え、撮れた写真はやっぱりハイコ(ry



「歩かない」かみが珍しく、朝の散歩なんかもしてみる。

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管理棟の横に小道があり、その向こうが、もうひとつのテントサイト。

木製の滑り止めで養生された、急な坂道を下ってゆくと。



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右手に炊事場とトイレがある。



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左手にはキャンプサイト。

ぐるっと回ろうと思ったけど、冷静に考えれば、見える景観は上と同じに決まってる。

なので、とっとと散歩から戻ってきた。所要時間3分(`・ω・´)



坂道を上がってくると。

目の前にBMさんのBMWと、紅葉に染まった山。

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ツアラーはこういう景色が似合う。

そして、この白い車体を見てたら、ユリシーズが恋しくなってきた。

早く直してやりたいんだけど……ま、この話は別項で。






戻ると、焚き火がだいぶん下火になってたので、炭を並べなおしてやる。

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燃焼効率をよくして、出発前に燃やし尽くさなきゃならないのだ。

黒いトーテムポールが燃えている間に、テントをたたんで荷物を仕舞いこみ。

残った灰を、「灰捨場」へ捨てたら、荷物をKLXに積み込んで。



最後に、ご夫婦キャンパーとBMさん、ソロキャンパーさんらへご挨拶。



かみ 「ゆでたまご、ありがとうございました!」

夫婦 「いえ、お気をつけて!」

かみ 「それじゃ、お先に失礼します! またどこかでお会いしましょう!」

BM 「おー、帰るのかいミスター! どこかで会ったら、またご馳走するよ」



KLXにまたがった俺は、みなに別れを告げて走り出す。






湖と紅葉が、とても美しい。

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美しいのだが、しかし、さすがにそろそろ絶景に飽きてきた。

穏やかな走りや、やさしい時間が多かったのは、癒されて良かったのだが。

ずっとそればっかりってのも、それはそれでシンドい。



なんだかんだ、すっ飛ばすのも、ガリガリやるのも好きだしね(´▽`)






高滝で火がつき、ケモれなくて増幅していた、「ガッチリ走る」魂。

それがそろそろ、鎌首をもたげはじめた。

パワーのあるバイクで、ワインディングをすっ飛ばしたい。



「早くユリシーズ直さなくちゃ」



つぶやきながら、しかし、現状目の前にあるのは原二なわけで。

はやる心を無理やり押さえつつ、通りがかりの景色を撮ってみたり。

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ところが、コレを撮ってる最中に、ツーリング集団が通りがかり。

それを見てもう、飛ばしたくて飛ばしたくて仕方なくなる。

荷物を積んだKLXでは一回やらかしてるんだが、それでも、行きたいのだ。



俺は、バカだから。






心の声に逆らわないのは、かみ家とエンジェルダスト家の家訓。

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行くと決めちゃったら、ガンガン行こうじゃないか。

幸い、房総には楽しいワインディングが、これでもかと走っている。

うねうね踊る曲がり道を、エンンジンぶんぶん唸らせながら、思いっきりすっ飛ばす。



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新しいタイアは、ダンロップよりロードの食いがいいようだ。

ケツの重量物を忘れないようにしつつも、目いっぱい攻め込んでゆく。

さすがに切り返しはかったるいが、振り分けバッグは重心が低いので走りやすい。



パワーがないので、速度を殺さないよう、突っ込み重視で楽しく走った。



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もっとも、こういうド真っ直ぐなところは、何もやりようがない。

最高速も高が知れてるので、ここは諦めて、おとなしく走った。

ストレス解消とまではゆかないけれど、それなりに満足して16号に乗る。



あとは気合のすり抜け大会。

久しぶりに、超真剣すり抜けで走りきり、柏にほど近いところで、車列をかわし脇道へ。

ためていた息を吐き出し、「ああ、楽しかった」と笑ったところで。



ハイカロ炭の検証を兼ねた、紅葉キャンプツーリングも無事に終了。

紅葉、キャンプ、BMさん、ワインディングすっ飛ばし、気合すり抜け。

美しいものを見て、楽しいことをガッチリやれた、満足のツーリングだった。






んで、最後に柏市のはずれを走っていると。

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「おや? イチョウかな? 黄色い並木が続いてるぞ」



房総半島の紅葉は、すごく綺麗だったけど。



柏もまあ、そう捨てたもんでもないじゃん(´▽`)

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さーて、そろそろホンゴシいれて、ユリシーズを直してやらなくちゃね。



房総ツーリング 紅葉キャンプ/了



 
 
 
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by noreturnrydeen | 2013-11-24 10:48 | ソロツーリング | Trackback

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