山陽~九州~山陰ツーリング 西遊記 六日目2/4
2007年 07月 19日
道の駅、ゆうひパーク三隅で休憩。
ここでマルに電話し、24日のサーキットはどうするんだといったような話をする。
「おう、かみ。今度はなにやらかすんだ?」
「やんねーつの。普通にツーリングして、無事に帰るんだよ」
「なんだ、大ネタはまだか」
ホント、要らねぇ期待だ。
ゆうひパークの名前的に、たぶんココから綺麗な夕日が見えるんだと思う。
いや、詳細とか説明書きとか全然確認してないから、本当に綺麗かはカイモクわかんねーけど。
ただ、方角的に海は西だから、少なくとも夕日は見えるはず。
んでま、夕日はともかく。
サルノコシカケはあった。
この奥がレストランで、暑さに往生していた俺は、吸い込まれるように冷房の匂いのする店内に足を踏み入れてしまう。とたんに、「いらっしゃいませ」の声。誘われるままに店内へ進み、ガラス棚のメニューを見て食券を買う。
全体的に、昔のデパートの食堂的なフレーバーのする店だ。
焼肉定食と、イカメシ。
いや、もちろんセットなどではなく、焼肉定食の食券を買ってから、メニューにイカメシを発見してしまったのだ。発見つーか、ものすげぇ堂々とでかいサンプルが置いてあったのに、ちっとも目に入らなかった。暑さでやられたんだね。
普段から、ボケてるだろうって?
何をおっしゃいますやら。こちらには、証拠があるのだ。
ホラね。
キー落っことしなんてココ何年も、言い過ぎた、ここ一、二年やってないんだから、これはもう完全に暑さのせいに決まってる。つーか、メシ喰って、さんざん涼んで、タバコ吸いたい(店内禁煙だった)からって表に出たら、この光景だからね。
さすがに、背筋が寒くなった。
気を取り直して走り出し、
石見海浜公園の、ハッシータワーの横を通り。
道の駅、キララ多伎で休憩すれば、目的地はすぐそこ。
いちおう、曲がりなりにもかみを名乗る以上、行っておかなければならない場所、出雲大社が次の目的地だ。ここで八百万(ヤオロヨズ)の神々に名を連ねる儀式が、俺を待っているのである(待ってません)
順調に走り、ついに出雲大社の看板が目に入ってくる。
そのままカンバンどおりに進んでいると、走り抜けた交差点の向こうに、なにやらステキな建物を見つけた。
あわてて単車を停め、Uターンしてそこへ向うと
旧大社駅の駅舎が、そのまま移築されていた。
あんまり長いこと見てないので、この建物が現在なにに使われているかはわからない。ただ、少なくとも重要文化財とか、その類の扱いではないと思う。目の前で、ガキが思いっきりサッカーやってたから。
つか、写真の郵便ポストに、サッカーボールぶち当ててたから。
旧大社駅前通を戻り、右に折れてまっすぐ走ると。
おもいっきり、ハデなでかい鳥居が見えてきた。
「おぉ、さすがにハデだが、なにやら綺麗過ぎるな」
思ったら、本物は↓こっち。
コレも充分でかいんだが、派手さでは負けるか。
ただ、ヤレた木の感じといい、無駄な装飾の一切ないところといい、非常に重厚というか、俺の中でイメージしてた、こうあるべき出雲大社の姿にどんぴしゃだったので、見たとき思わず感嘆の声を上げた。や、今 んなって見れば、『こんなもんじゃね?』思うけど。
シリアルナンバー8000001だし。
神楽殿。
ここでもすげぇものが見れた。
注連縄、ステキすぎ。
これが落っこちてきたら、縄で圧死という、世界でも珍しい死因で死ねる。
華美ではないけど、落ち着いて美しい透かし彫り。
まさに出雲大社を飾るにふさわしいと思う。
なんか、改築中だった。
説明を読みながら、中をよく覗こうとしたら、係のおっさんに怒られた。
せっかく日本的に美しいのに、この外灯はいただけない。
コレは、とても気持ちよかった。荘厳な気分に浸れる。
日本神話の一部が、彫刻化されていた。
これはたぶん海幸山幸の『潮満つ玉』のくだりだろう。
こっちは間違いなく、『因幡の白兎』だ
なかは、こんな感じで鮮やかな緑があふれていた。
心穏やかになれたからかもしれないが、見るもの全てが美しく思える。
派手さや奇抜さを抑えた、控えめな美しさ。
日本国本来の文化である、自然と一体化し調和する美しさが、そこにあった。
あるべきものがそこにある、美しさだ。
俺と正反対だってことはわかってるから、突っ込まなくていい。
充分に心を洗われた俺は、出雲大社をあとにした。
次なる地にして、今回の山陰紀行の最大の目的でもある、『鳥取砂丘』を目指し、愛機M109Rを淡々と走らせる。途中、美しい景色を見るたびに、なんとなく停まって、写真を撮ったり、ボケっと眺めたりした。
とは言え、正直この手の海岸線の美しさは見慣れてきて。
こういう、ちょっとヘンなモノの方に心惹かれたり。
ま、今見ればどうってコトないんだけど、このときはもう、出雲大社での詫び寂びのある落ち着いた風景に心奪われたあと、さらに、山陰地方の海岸線のあまりに美しい景色を見すぎてて、感覚が麻痺してきていたのだ。
それでも、美しい風景を見ながら走るのは気持ちがいい。
つづく