119th 春の峠まつり 第三弾 リュックサック・ファイターの受難(2)
2013年 05月 05日
惨状を見た瞬間、出発前に感じたフロントの違和感を思い出す。
ここで、かみとみんなの約束だ。
いいか、どんなにちょっとした違和感でも、決して軽視しちゃいけない。
必ずチェック、もしくは専門家に見せてくれ。
もちろん、国産でここまでのことは中々ないだろう(ビューエルのベアリングはちょっとアレ)。
が、それでも何があるか分からないのが人生。
俺みたいにテキトーにせず、少しの違和感でも、時間をとってしっかり点検してくれ(`・ω・´)
とまあ、自業自得を棚に上げるのは、この辺にして。
とりあえず車載工具を引っ張り出す。
しかし、いくら「かなりのヘヴィメンテナンスに対応」してる俺の車載とは言え。
さすがに、ベアリングプーラーは入ってない。
「いちおう、アクスルを閉めなおして、ゆるみ止めボルトも締めて……あとはココじゃムリだな」
「どっかバイク屋に持って行きます?」
「いんや、だましだまし行くよ。フラ、ホントごめんな? 今日はこのまま高速で帰るわ」
知らない人に預けるのもイヤだし、長いこと手元から離れるのもイヤだ。
なので、良くないとはわかりつつ、そう選択する。
せっかくフラと走れたのに、と自分を責めてみるが、事態の解決にはならない。
それじゃあ帰ろうってんで、じわーっと走り始めたんだが。
リュックサックファイターの受難は、さらに続く。
フラの後ろを走りながら、何気なくブレーキをかけた瞬間。
「ファッ!?」
フロントブレーキがスカスカになってる(´・ω・`)
どうやらホイールがミリ単位で暴れてるようで、ロータが振れてパッドを押し戻すのだ。
二、三回ポンピングすれば効くのだが、もちろん、そんなもんに何の意味もない。
この段階で、俺はフロントブレーキまで失った。
<だましだまし、じわっと帰るプラン>は、難易度をさらに大きく上げ。
「リアブレーキのみで、奈良から柏まで帰る」
という、<S級難易度のサバイバルプラン>へ変貌を遂げたのだ。
「よし、とりあえず……生きて帰ろう」
そのくらいしか、目標が見当たらない。
そこから、フラの先導で国道25号へ戻る。
ところがどっこい、フラもまた期待に応える男。
すこしでも短い距離で帰りたいのに、途中でバキっと道を間違う。
さんざっぱら、林道みたいなウラ道を走ったあと、広い駐車場に出たところで。
「すんません、道を見失いました」
「ぎゃははは! このタイミングでやるな! 途中から変だなと思ってたんだよ」
「おかしいなぁ、こっちのはずなんだけどなぁ」
「とりあえず、現在位置を携帯で確認してみよう」
「いいなぁ。俺もスマホ買おうかなぁ」
ま、あんがい呑気にやってたんだけど。
紆余曲折ありつつも、どうやら25号をみつけて乗り。
フロントの被害を抑えるべく、のんびりペースで走ってゆく。
途中にあった休憩所へ入って、ここでフラとお別れだ。
「フラ、今日はホントごめんな? や、申し訳ない」
「いやいや、顔が見れただけでも良かったですよ。直ったらまた走りましょう」
「おう! もちろんだ! ガッチリ直して準備しとくぜ!」
呼び出しといてこの仕打ちにも関わらず、フラはニカっと笑ってくれる。
フラ、今回はホント、ごめん&ありがとう!
またタイミングあわせて走ろうな!
すっ飛ばすだろうフラに別れを告げたら、さて、後はひたすら家路を急ごう。
亀山から高速に乗ると、東名はすでにかなり混んでいる
特にここから四日市までは渋滞の名所だ。
もちろんすっ飛ばすわけにはゆかないので、中途半端な速度でずーっとすり抜ける。
なんたって、急ブレーキできないのだ。
途中で一度、すり抜けてるフラに追いついたが、後ろにつけるほどまでは速度を上げられない。
結局、挨拶もできないまま、フラとは流れ解散になり、やがて四日市を過ぎる。
無事、高速に乗ったところで、ちょっと欲が出たリュックサックファイター。
「むう、このまま東名をずーっとすり抜けはイヤだなぁ。やっぱ中央道で帰るか」
別におかしな選択肢ではないのだが、このときに限っては間違っていた。
俺のココロは、すっかりフロントホイール。
なにかっちゃ、こんな風にそっちへ気をとられてる。
さらに、フロントブレーキレス、いわゆるスーサイドセットアップだ(違います)。
ただただ、神経が削られてゆく。
中央道の看板を目指しながら、どこをどう走ったやら。
「中央道まであと35km」の表示に、一度、パーキングへ入って休憩。
休憩してても、気になるのはベアリング。
「うむ、どうやらボールがずいぶん無くなったようだな」
うむ、じゃない。
ここでナオミに連絡を入れ、「遅くなるけど今日のうちに帰る」旨を伝えたら。
さて、残りはまだまだ長いぞ、とっとと帰ろう。
しかし、そこはさすがの、かみさん43歳。
100巡航でぼーっと走りながら、帰ってからのベアリング交換手順を考えていたら。
予定調和で、道を間違える。
目の前に「刈谷」とか見えた瞬間、
「くぁwせdrftgふじこlp;@:「」!」
絶望、やるせなさ、自分のバカさへの憤慨。
自分が悪いわけだから、怒るわけにもゆかず。
今、地図でチェックしてみたら、たぶん50kmくらい無駄に遠回りして。
結局、東名高速に乗るハメになった。
そらぁ、富士山も笑ってるよ。
ただでさえかったるい東名高速の渋滞すりぬけに、フロントノーブレーキのおまけつき。
その上、渋滞でちんたら走ってると、途中でまたガロガロと聞きたくない音。
路肩に停めてチェックしてみるが、だからって何ができるわけでもなく。
たぶん、俺の人生でイチバンってくらい時間を掛けて。
夕方の6時すぎだったか。何とか無事、整骨院の方へ到着した。
さすがに、これからベアリング交換する、ガッツの持ち合わせも時間も無く。
荷物をすべて放り投げた、リュックサックファイターは。
駅へ向かって、トボトボと歩き出したのだった。
とまあ、春ツーリングのシメは。
俺らしく自業自得のバカトラブルで幕を閉じた。
ま、こんなトラブルはともかく。
ベースを作ってワインディングを空荷で走るのは気に入ったので。
夏のツーリングでも、何かしら考えてみようと思う。
そんじゃ、また次回のツーリングレポートで(´▽`)/
リュックサックファイターの受難/了
文責/かみ