118th 春の峠まつり 第二弾 リュックサック・ファイターとコミネマン(1)

 
 
 
ムラタとは、初めて会ったときから、意気投合していた。



しかし、大阪と千葉っつーロケーションのため、なかなか一緒に走る機会がもてない。

最後に走ったのは、二年前の竜神スカイラインだったか。

そのあとも、走ろうと言う話にはなるものの、タイミングが合わずに走れてなかった。



なので春ツーリングの裏テーマ、いやむしろメインテーマは、「ムラタと走る」だった。

同時に、ひとつ決めていたこと。

それは、「完全な状態」の俺を見せるということだ。






今までヤツと走るときは、当然ながらロンツーの最中=荷物を積んでいた



なので今回は、荷物を積まない状態で、ガッチリ走ろうと決めたのだ。

荷物はムラタの家に置き、空荷で竜神や和歌山のワインディングを走る。

そう話すと、OKした大阪の弟は、さらに別の提案もしてくる。



「今回、琵琶湖の宴会に行けそうもないんすよ。

 だから琵琶湖じゃなくウチで一泊して、朝イチから走りません?

 カンペキな体調のかみさんと走りたいんですよね」



そんな経緯で今回、俺は琵琶湖への参加を見送ったのだった。






前日、ムラタの家族と楽しく過ごした、次の日の朝。

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どちらもしっかり目覚め、やる気まんまんで着替える。

俺はもちろん、リュックサック・ファイターの制服

いつもの米軍服ECWCS+オフロードプロテクターだ。


ただし、残念ながらリュックサックは背負ってない。



一方、ムラタの方はと言えば、

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ナメられっぷりでは、軍服なみに定評のある、コミネのジャケット

どちらも抜かした相手に、「精神的な一撃」を加えることができる逸品だ。

いや、抜ければの話だけんども(´▽`)





ムラタの先導で、まずはヤツのホーム的ご近所ワインディングへ。

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朝早いからか、クルマもほとんどいなく、快適にすっ飛ばせる。



それはいいのだが、俺はこの段階で、ちょっとびっくりしていた。

ムラタが二年前よりずっと速くなっていたからだ。

シャカリキに飛ばすってんではなく、余裕を持って走ってるのに、速度だけがやけに高い



「そうか、ムラタのヤツ、アップハンにしたんだっけ」



アップハンを入れてアイポイントが高くなり、視野が広がって先が読みやすい。

上半身が起きて重心が後ろへ下がったことで、リアタイアへのトラクションも掛けやすい

おそらく、その辺が効いてるのだろう。



絶対性能よりも、安心感とコントロール

サーキットほどミューも高くなければ、視界も良くない公道では、そっちの方が効く場合が多い。

少なくとも、俺の経験ではそうだ。






心臓が飛び出すほどではないが、気ぃ抜いたら一気に置いてかれそうなペース。

だが、前をゆくムラタはひらひらと踊るように走り、破綻する兆しも見えない。

飛び去る景色と激しい風切音がなければ、ローペースだと勘違いしそうな穏やかさだ。



かなりのハイアベレージで、あっという間に、いつも休憩するコンビニへ。

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「あんだおめ、速くなってるじゃねぇか! やっつけようと思ってたのに、つまらん!」

「はははは! いや、ここはしょっちゅう走ってるからさぁ」

「アップハン、大正解みたいだな」

「うん、速いかはわかんないけど、楽しいね。前よりずっと」


だろうな。見てて分かるし、一緒に走ってる俺も楽しいよ。






すっかり気を良くした、リュックサックファイター。

コミネマンと並んで、ガンガンアクセルを開けてゆく。

砂でスリッピーな場所、路面の荒れたカーヴ、上下左右にダイナミックな高速コーナー。

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楽しく走ってるうちに、竜神スカイラインの文字が見えてきた。

ここまでは、言わばヤツのホーム。

だが、ここからはムラタだって、それほどたくさん走ってるわけじゃない。



「イコールとまでは行かなくても、こっからがある意味、勝負だな」



ヘルメットの中でニヤリと笑う、リュックサックファイター。

ま、実際はそんな目を三角にしてバトルって雰囲気でもなく。

俺もムラタも、ただ、楽しくて仕方ないって感じだったんだけど。






つわけで、まずは裏道のバカ峠。

竜神へのショートカットで、かつ、荒れた林道チックなワインディングだ。

二年前のムラタは、四苦八苦してる感じだったが、さて今回は?



ワクワクしながら、わき道を登り始めると。



一発目のコーナリングで、思わず「ほう」と声を上げてしまう。

バカ峠に入っても、ムラタの走りは安定していて、滑らかなバンキングでするりと曲がる。

リアがススっと沈み、すーっと曲がったら、あとはお得意のドッカン加速。



「足が断然、よく動くようになった。サス、やっこくしたんだな」



動く足を不安定と感じる向きもあるだろうが、俺は動く方が好きだ。

特にこういうバカ峠では、追従性やトラクションから見ても、動く(柔い)方が安心できる。

公道ならそこまで固めなくても、アクセルを丁寧にするだけで、妙な挙動は押さえられる。



なにより、その方がエキサイティングで楽しい。と、俺は感じる。






退屈の「た」の字もない、ひらひら楽しいワインディングランに、ニヤニヤしながら。

バカ峠を登り終えた俺たちは、そのまま竜神をすっ飛ばし。

鶴姫公園に飛び込んで、休憩&タバコタイム。

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「ムラタ、狭いとこスムーズになったなぁ。すっかり苦手じゃなくなったじゃん」

「そうすか? 嬉しいなぁ。でも、もう、すでに疲れたよ」

「なはは、でも、やっぱ楽しいなぁ」

「うん、むちゃくちゃ楽しいねぇ」



さて、それじゃあ龍神を走ろうか。






竜神スカイラインは、実に変化に富んだレイアウトの道だ。



前半(北面)は、低速ツイストから伊豆スカみてぇな高速コースになる登り。

後半(南面)は、低中速ツイストの延々と続くタフな下り。

総延長50kmに及ぶワイディングである。



その前半の低速ツイストから、高速区間へむけて登り始めた。



ムラタが「かみさんの走りを見たい」つーんで、こんだ俺が前だ。

偉そうに、「速くなった」なんて言ったぶん、あんましみっともないところは見せられない。

気合を乗せて、でも、無理や無茶はせず、あくまで楽しんで。





二年前にココを走ったときは、ケーロクのクセつーかSSっぽさが抜けてなかった。

だから、突っ込んで、ブレーキングして、曲がる、そのすべてのアクションがハデ

しかし、アレからずいぶんと曲がり倒し、俺なりの乗り方ってのを身につけた。



それを、ムラタに披露しながら、曲がりのひとつひとつを楽しむ。



サーキット的な理屈に惑わされず、ブレーキングをがんばらない。

場合によってはエンブレと走行抵抗だけで減速し、リーンアウトで早めのバンキング。

前を確認しながら、何かあればそのままオフロード乗りでかわし、なければウエイトを移動。



ある意味、「もう一度バンキング」するイメージで重心を据え、トルクを生かしてコーナリング。

あとはそれほどパワーのないビューエルなら、全開で脱出してもそうそう滑ることはない

滑ってもエンジン特性のおかげで、それほど怖い滑り方はしない。



「どうだい、ムラタ。 俺の乗り方、変わっただろう? いや、わかんねーかな?」



道と、単車と、ムラタと、まるで対話するような。

無言で濃密なコミュニケーション。

楽しいなんてもんじゃない。






最後の方でちょっとクルマに引っかかりつつ、中間地点のごまさんタワーに滑り込む。

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「ムラタ、やっぱおめ、ずいぶん速くなったよ。しかも安定して。やるじゃん」

「そんなことより、なんでブレーキかけてないの?! アレであの速さはおかしいよ!」

「だーら、かけてるんだって! エンブレとか両輪の抵抗で……」

「俺もリーンアウトで入るとかやってみたけど、全然わかんねーよ!」



ゲラゲラ笑いながら、そんな話をする。

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周りには山、見上げれば青空、横にはダチと単車。

タバコの煙をくゆらしながらも、浮かんでくる笑顔が止めれない。

俺の生きてる理由、と、大げさかもしれないけど言ってしまおう。



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「かみさん、走り方変わったね。前はすげぇサスが動いてたけど、今日はスムーズつーか」

ああ、なるほど、なるほど。

女の子が髪を切って、気づいてもらえた時の嬉しさって、こんな感じなのかな。






ごまさんタワーを出ようとすると、ムラタが笑いながら俺をからかう。


「かさみん、今、アソコの連中が出ようとしたのに合わせたでしょ? つっつく気でしょ?」

「ぎゃははは、なんでわかるんだよ! おめーも同じこと考えてんだろ!」


ま、結局、遊んでくれる人は居なかったんだが。



さて、こんだツイスティな下り。俺と相棒のイチバン得意なステージだ。

ココは一発、ホンキモード。千切るイキオイで走ろうか。

せっかく俺なんかに、「完調のかみさんが見たい」と言ってくれたムラタの為にも。



俺のライディングはとてもメンタルに左右されるので、こんな日は絶好調になる。



様子を見ながら徐々にペースを上げ、ホンキモードに突入。

わざとブラインドの立ち上がりで引き離してココロを折るとか、そういう小細工はせず

ただ、最大限の集中力を引き出して、下りのツイストを一心に下ってゆく。



くだりでは何とかムラタを引き離し、大口叩いたぶんの帳尻を合わせた。






フラットになった龍神の残りを、テンションの上がったペースで駆け抜けたら。

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分かれ道の青看板が出たところで、休憩を入れて一服。



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川の写真を撮ったりしつつ、地図を見てこの先を相談する。



「今、ここだろ? だからこっち行って、この道だ」

「そーすか? こっちじゃない?」

「なにをう? いや、まてよ。俺らがいるのって、本当にココか?」



ふたりとも、頼りないことおびただしい

案の定、何度か道を間違えてUターンをかましつつ、次のワインディングへ。

国道425と311をつなぐ、県道198号線を見つけて入り込むバカふたり。



なんとなく選んだ割には、この道は割と走りやすかった。

いや、和歌山の山ン中だから、それなりっちゃそれなりにバカ峠なんだが。

それでも変な枝道がなく、ガンガン攻めてゆけるから、気持ちいい。






一気に駆け抜けて、そのまま311号へ。



と、今度は逆に、道は広いもののクルマが多くて抜くのがかったるい。

しばらくはムラタとふたり、オーバーテイクを繰り返したんだが、早々に飽きちゃったかみさん。

「熊野古道」の文字が見えたところで、勢いよく枝道に入り込む。



テキトーに100メータほど登って、ちょっと広がったところで単車を留めた。



「いや、この先に行くわけじゃねーけど、ちと一服しよう」

「そっすね。いやー、しっかし楽しいなぁ」

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ムラタ、満面の笑み。

朝から飯も食わず、休憩と言えばタバコ一本分で、ここまで走り倒してきて、この笑顔。

相変わらず、嬉しくなるほど徹底的に、アタマの悪い男だ。



ここでは、今までより少し多めに、10分か15分ほど休憩した。

そんで走りだすのだが、さすがにこのままロクに地図もないクソ林道を登るのはアレだ。

なんたってココは、あの有名な熊野なのだから。



来た道を戻って、311へ乗りなおす。



今度は、さっきよりクルマの数が減ったので、そこそこ気持ちよくすっ飛ばし。

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これは311の途中、四村川(よむらがわ)の看板の前。

たぶん、信号待ちだと思う。

ヘルメット越しでも、ムラタの笑顔がよく分かるね。

バカな男だね。

俺も人のコト言えないくらい、ニッコニコだったけどね。




四村川から10キロほど走ったところで、道は168号につながる。

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これは、熊野本営大社のあたりだろうか?

ちょっと観光地っぽくなってて、観光客も多かったので、のんびり走って抜けてゆく。



やがて、人通り多いところを抜けたら、さて、168号を北上してゆこう。

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なんか道幅が狭くなってきたけど、気にしない、気にしない(´▽`)



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by noreturnrydeen | 2013-05-04 20:58 | でっかいもん倶楽部 | Trackback

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