里帰り

 
 
連休後半のツーリングに向け、ふたつチェックすることがあった。

トールスクリーンの高速での具合と、もちろん、チェーンドライブでの高速走行だ。

まずは、チェーングリスやドロ、ホコリで汚れた車体を洗車する。

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きれいになったら、さて、ドコへ走りに出ようか。



と。

「そーいや、ずいぶん実家に帰ってないな」

つわけで、オフクロの顔を見に、里帰りを決める。



外環道に乗ったところで、様子を見ながら徐々に速度を上げる。

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最終的に200スピード(1/2時速)まで上げてみると、トールスクリーンはさすがに居住性が高い。

立ちが強いので、ラージフライスクリーンより少しハンドルを取られる感じはあるものの。

これだけ余裕があるなら、高速ランも充分やれるだろう。




トールスクリーンもチェーンもトラブルが出なかったので、すっかりゴキゲンのかみさん。

そのまま外環をすっ飛ばし、和光北で下道へ。

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それほど混むこともなく、のんびりまったり走れる。


やがて道は、かつて整骨院の学校へ通った通学路になった。

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「懐かしいなぁ。あ、そうそう、ここで飛び出してきた犬をよけ損ねて、すっ転んだっけ」



いろいろと感慨にふけりつつ、無事、実家へ到着。

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実家はオンボロの小さな小さな家だが、俺が子供時代を過ごした思い出の場所だ。

ついた傷や壊れた箇所のひとつひとつに、ガキのころの記憶が刻まれている。




コンコン。

呼び鈴なんぞシャレたものはないので、ノックをすると、中から声が聞こえてきた。


「どちら様ですか?」


お袋の声は、むかし怒鳴りつけられた迫力など見る(聴く?)影もなく、やけにか細い


「もう、70をとうに過ぎて、80近いんだもんなぁ」


上ふたりが死産で、三人目にやっと生まれた長男坊は、そんな風に思いながら声をかける。


「俺だ、かみだよ」


とたんにがちゃがちゃと慌てて鍵をあける音がする。

出てきたおふくろは、光を失った目をこちらに向けながら、嬉しそうに笑った。

俺も自然に笑顔が浮かんでくる。





小さな玄関、台所、居間には、所狭しと荷物が積み上げてある。

しかし、彼女は光を失ってから、手探りでしか物を探せない

なので、どんなに散らかって見えようと、俺の一存では片付けられないのだ。

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ま、見た目があまりにもアレだから、いちおう、モザイクはかけてみた。




見えないくせに、色々世話を焼こうとするのを押しとどめ。

お湯を沸かしてお茶を入れたら、オフクロと差し向かいで近況を報告する。

その合間にも、飯を炊こうとしたり、お茶菓子を探そうとしたり、落ち着きがないったらない。



「はは、落ち着かないな。そういうところは、俺にも受け継がれてるな」



軽口を言いつつ、オフクロの漬けた梅干をお茶請けに、いろんな話をした。

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梅干を入れてるのが、よりによってマーマレードのビンてのがまたね(´▽`)




ひと通り話したら、携帯で【神々】にアクセスし、俺の書いた小説を読み上げてやる。

帰ったときは、一本か二本、声に出して読んでやるのが、最近の習慣なのだ。

今回は、「おふくろの古新聞」と、「栞(しおり)」の二本。



「本にして出版しないのかい?」

「本にしたって、オフクロ読めないだろう。つーか金が絡んだらきっと書けないよ、俺は」

「面白いのにねぇ」

「ははは、親の欲目だよ、それは」





そうこうするうち、弟が起きてきた。

仕事の関係で、昼間は寝てることが多いのだ。

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「おう」

「おー! なに、今日は」

「思いついたから、里帰りだ」

「あ、そうそう、木村政彦の本をまた買ってさ……」



起き抜けから、日本柔道界の至宝のコアな話を始める弟に苦笑しつつ。

差し向かいで、ビールを呑み始める。

おふくろは、友人と約束があるとかで、出かけていった。




日本の職人の話や、中韓に対する意見、格闘技やバイク装備など。

呑みながらも、話は尽きない。

それでも、弟がトイレに行ったタイミングで、ミクシィにつぶやいたり、ろろちゃんやマルに電話をしたり。



ろろ 「これから夜勤だから、残念だけど行けないよー」

かみ 「そか、残念。んじゃ、またそのうちねー!」



まる 「おう、明日、走りに行こうぜ」

かみ 「お、いいな。どこ行くべよ?」



ダチと話したら、電話を切って、また弟と話す。

ただでさえ狭い居間に、荷物がたくさん置かれてるせいで、余計にせまっくるしい

そのわずかなスペースにケツをねじ込んで、懐かしい、おだやかな気分で酒盃を傾ける。



そして、気づいたら寝オチしていた。





目を覚ますと、オフクロが帰ってきている。

すっかり酔いのさめた俺は、泊まって行けと言う彼女に、「寝るスペースねぇじゃねぇか」と笑い。

弟とちょっとバカ話をしたあと、帰路につく。






いつの間にか暗くなった高速を、200スピード前後ですっ飛ばしていると。


がん!


イキナリ、アタマをぶったたかれる。

一瞬、がくんとアタマが後ろへ持っていかれるほど、強烈な一撃だ。



「なんぞ?」


と驚いてると、胸からアタマへかけて、強烈な風が吹きつける。

そこでようやく気づいた、うっかりかみさん43歳。

目の前にあったはずの、トールスクリーンが見当たらない



「うわ、スクリーンが飛んじまった」



ベースカウルのマウントに、若干ムリがあったからだろう。

振動と強力な風に負け、ゴムブッシュに刺してあったスクリーンが抜けたようだ。

しかし、すっかり暗くなった上に、もうすでに結構な距離を空走している。


「こら、見つけられないな。道路公団のヒト、ごめんなさい」






スクリーンの回収をあきらめた俺は、そのまま走り抜ける。

ちょっと小腹が空いたので、柏へはむかわず、三郷南で高速を降りたら。

もちろん、そのままレブ・ステ-キへ。

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レブへ到着すると、すでに店外で待ちの列ができていた。

このときはすっかり忘れてたんだが、今日は29日=肉の日だ。

2、9、29日は「肉の日」で、ステーキが安くなってるから混むのである。



「混んでるとこ悪いなぁ」


と思いつつ、いつもニコニコ可愛いYちゃんにアイサツ。


「何人? ひとり? めずらしいね」


混んでる店内に入り、さがり300塩をオーダー。

んで、ミクシィやフェイスブックにつぶやいたり、まるからのメールを読んだり。


「おめ、明日雨っぽいぞ。アサッテにすんべな」

「そだな、んじゃ、アサッテな」


気心の知れたダチは、話が早くていい。




やがてステーキがやってきた。

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相変わらず、柔らかくてさっぱりした下がり肉を、もぐもぐとおとなしく喰って。

混んでるトキに長居は無用と、さっさか会計して外へ出る。



すると、スクリーンが飛んで寂しい顔になったユリシーズが迎えてくれた。

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ちなみに今日、雨の合間を縫って治療院へゆき、ショートスクリーンをつけて来た。

明日、まるぞーと茨城へ走りに行く予定だからね。




レブを出て、国道6号線に乗った俺は。

オフクロや弟、飛んでったスクリーン、レブ肉の後味なんかに思いを馳せつつ。

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優しい風の吹く夜の街を、気持ちよくすっ飛ばしたのだった。




里帰り/了

 
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by noreturnrydeen | 2013-04-29 15:15 | ソロツーリング | Trackback

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