タイミングという名の必然 山賊編その一
2013年 04月 13日
ベルトドライブで走るのも、そろそろ最後になりそうな、センチメンタル土曜日。
もちろん、そんなこたぁビタイチ関係なく、週末は遊びに出る。
月に一度のストレス解消、山賊宴会にゆくのだ。
朝イチ、荷物を積み終えて、写真を撮ろうとすると。
「前回、通りがかったお姉さん」が、また通りがかった。
カメラ構えて通報されちゃ困るので、カメラは仕舞って走り出す。
ちなみにお姉さんは冷たい感じのキリッとした美人だった。
んで、仕事がハネた午後。
職場から走り出し、三郷へ向かってすり抜けてると、思いっきり忘れ物してることに思い当たり。
ちょうどレブステーキあたりの六号線で、大声を出すかみさん。
「あぁ、カメラ持ってくるの忘れた!」
とは言え、ここから戻るのはメンドー。
「ま、携帯もあるし、よしなしが来るからヤツに写真をもらえばよかろう」
と、他力本願全開で、三郷南から高速に乗る。
換えたばかりのパイロットパワー3にニヤつきながら関越を北上。
上里で一服入れたら、キャンプ場まではあと少し。
暖かくなって、だいぶん増えてきたツーリングライダーに、片手を挙げて挨拶しつつ。
160~180スピード(1/2時速)あたりで一気に抜ける。
キャンプ場へ到着すると、すでにメンツが集まっていた。
POPOさんの四駆、タツヤのロケット3、ろろちゃんのBMに、POPOさんのBM……
え? いや、POPOさんのクルマあるよね?
BMだと思ってサラっと見過ごしたのは、poitaさんのGTSだった。
フロントが片持ちのスイングアームという、おそらく二度と発売されないだろう、時代のアダ花。
ロケット3と並んでも遜色ない、変態バイクである。
ま、そんな二台さえ色あせるほど、乗ってる人間がイチバン変態なんだけど。
アイサツしいしい、荷物をほどいて宴会の準備。
キャンプリーダーPOPOさん、こないだ購入したインディジョーンズっぽい帽子が似合ってる。
当然、その場でインディと命名された。
本人、まんざらでもなさそう(´▽`)
その奥には、秩父の生んだ人間兵器タツヤと、暴走する妄想ろろちゃん。
圧倒的な安定感を誇る、真正のダメ人間たちだ。
ほどなくエンジン音が聞こえ、茨城のダークハンターよしなし先生がやってくる。
程よいイイヒトっぷりの外見からは想像もつかない心の闇を抱えた、茨城の迷える魔獣。
とまあみんなにアイサツしたところで、近所のスーパーへ買い出しに出る。
鶏肉やナンコツを買って店を出る前に、お惣菜コーナーへ寄ったのだが、これが思わぬ誤算。
ここのスーパー、お惣菜がモノすげぇ充実してるのだ。
結局、お惣菜もしこたま買い込んで、戻ったら早速、宴会スタート。
土日休みが取れるようになったpoitaさんと、そのpoitaさんにワインをもらって呑むろろちゃん。
コップを忘れたろろちゃんは、ビールの空き缶にワインを注いでる。
画的にはどう見てもビール呑んでるようにしか見えない。
カメラを忘れた俺は、よしなしの写真をもらおうという魂胆があった。
なので、酔っ払わないうちに先生の写真を撮っておく。
優しい笑顔の裏には、ドロドロとした怨念がもういいですかそうですな。
みなが料理を始める中、俺はお惣菜をツマミに、とっとと呑み始める。
も、すっかり料理なんて気分じゃないのだ。
左が、お惣菜コーナーで最初に俺の心を射止めた、メガわらじチキンカツ。
あとは五目寿司に、薄切りサラミに、揚げ物を食うなら忘れちゃいけないタルタルソース。
そして、そのほかにコロッケ三種とイカフライも買ってしまった。
間違いなく、買いすぎ。
「コロッケ三種とイカフライは、確実にやりすぎた」と後悔の嵐に苛まれていると。
ろろちゃんが、「コロッケちょーだい!」というので、ありがたく貰っていただく。
「で、どれがカニクリームで、どれがエビクリームなの?」
もちろんビタイチ見分けがつかないので、勘で選んで持ってってもらった。
「どう、ろろちゃん? エビだった? カニだった?」
「…………わかんない……いや、エビかな?」
「ぎゃははは! わかんないの?」
「いいかい、かみさん。ボクは、牛と豚の区別もつかない男なん……あ、カニ! これはカニだね」
早くも大騒ぎ&大笑いだ。
その、ろろちゃん。
またも「ろろイタリアーナ」を作ってる。
肉を焼き、トマトソースで煮込むのだが、水の代わりにビールを使ってコトコト。
「まあ、ろろちゃんの料理って、作ってるときは首をひねるけど、出来上がると美味いん……」
「にがっ! 苦いよこれ! ビール入れすぎた」
今日は失敗したようだ。
一方こちらは、「今日は肉しか食わない!」と、相変わらず残念な発言をしてるpoitaさん。
ガソリンストーブをポンピングして準備を整えると、買ってきた肉をガンガン焼いてゆく。
のだが……
「うわ! なんだこれ! 硬い! 見た目は上等な肉なのに、スジみたいに硬いぞ!」
「ホントだ、見た目は高級肉っぽいですねぇ」
「だろう? でも、硬くて喰えない! くそー! 騙された!」
「ぎゃははは! イイガカリですよそれ」
「それはもう、煮込むしかないですね」
ろろちゃんの意見に、poitaさんは水を入れて煮込み始めた。
なかなか不安をそそる光景である。
そんな風にバカやりながら大笑いし、それぞれの酒盃を干してゆく。
すっかり陽がのびた春のひととき、キャンプ場に山賊の嬌声が響きわたり。
いきなりバーボンを呑むと壊れることを学んだインディジョーンズは、小手調べにワインをあける。
「このワイン、味は美味いし、そのわり安いんだけど、CMが気に入らないんだよねぇ」
とか、相変わらずわけのわからないことを言ってた。
それを聞いて笑いながら、怪しげな葉っぱを巻き始めるタツヤ。
いつもの光景ではあるのだが、冷静に見ると正視に堪えない光景でもある。
秩父県警の猛省と精勤を期待したいところだ。
ろろちゃんが、たんたんとデタラメを言い。
よしなしが、ゲラッゲラ笑い。
poitaさんが、真剣に肉を煮込み。
タツヤが、アクティブにラリって。
インディが、頓狂(とんきょう)なボケをかまし。
そしてもちろん。
かみさんもしこたま呑む。
場は早くもカオスの様相を呈してきた。
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