116th 箱根ショートツーリング ダンス・イン・ザ・ウインド

 
 
 
レセプトと確定申告を終わらせ、やっと肩の荷が下りた土曜日。

酔っ払ってコンビニへゆき、ツマミやオヤツを吟味してると、携帯が鳴った。



「あれ? かずくんだ。もしもし、どしたー?」

「かみさん、明日ってなんかあります?」

「いや、別に何の予定も入れてないけど」

走りに行きません? かみさんと走ったことないし」

「おー! いいねー! 行こう!」



つわけで、いったん電話を切り、いそいそと家に戻って、かずくんへ折り返し電話。

話し合って、箱根あたりに行こうと決まり、電話を切る。

そこで思いついた俺は、そのままタカシへ連絡をとった。



「もしもしタカシ? おめ、明日ソロで走るつってたよな? カズくんと走るけど来るか?」

「ははは! 行きません、ぜってー行きませんよ。死んじゃうから」

「ばっかおめ、のんびり走るってばよ」

「騙されません。それより、兄貴が明日、休みのはずですよ?」

「そうなん? わかった、それじゃ兄貴に連絡してみるよ」



んで、しんごに電話を入れると、「午前中は用事があるから、昼からなら」つわけで。

お昼に箱崎へ集合して、箱根へ向かうツーリングが決まった。

嬉しくなっちゃった43歳、調子こいて呑みすぎ、泥酔&リバースしつつ就寝。





翌朝、スキっと目を覚ました俺は、ユリシーズに乗ってまずは職場へ向かう。

実は昨日の段階で、顔を<まろやか仕様>に戻してあった。

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だが、ご存知のようにまろやか仕様は高速域に弱い

かずくんやしんごつー飛ばし屋と走るには、空力的にちとキビシイのだ。

職場でラージフライスクリーンに付け替え、準備万端整ったら。

裏道を走って、京葉道路から首都高速へ。




高速に乗ると、今日はずいぶん風が強い

クルマと一緒にのんびり走って、お昼少し前に箱崎へ到着。

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すでにかずくんが到着していた。



「ういーっす! 今日は暖かいねー!」

「かみさん、大変なんですよ。ケツに粉瘤が出ちゃったんです。痛くて痛くて」

「ははは、んじゃなんでツーリング誘ったのよwww」

「昨日はマシだったんですよ。今朝起きたら、デカくなってたんです」



バイタリティのあるすげぇ男だが、こんな風にちっとも飾らない気持ちのいい男だ。

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かずくんのGSX‐R1000<L0>(エルゼロ)。フルカスタム。

白とゴールドが上品にマッチングして、彼によく似合う。

俺がゴールド使うと、ヒャクパーチンピラフレーバーだからね。

ほっとけ。






やがて、しんごもやってきた。

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相変わらず美しい、アグスタF4。


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細かいところがイチイチ凝ってて、さすがだなぁと感心させられる。


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しんごと三人で、しばらくバイク話に興じる。



「しんご、そのフォーク何Φあるんだ? つーかキャリパー6PODじゃん」

「そうなんですよ、かずさん。6POD全然ダメなんで、ブレンボもらうんです」

「てめ、しんご、6PODで、しかもシングルキャリパーのビューエルさんに謝れ」

「あははは」



てな感じでバカ話をし笑ったら、それじゃあ走ろうか。



「かみさん、今日は飛ばさないですよ」

「俺も、景色見ながらのんびり走るよ。ベルト切れっから」

「ふたりとも! そのセリフ、ちゃんと覚えといてくださいよ!?」



しんごの叫びにニヤっと笑ったら、かずくん、俺、しんごの順で走り出す。







今回は、湾岸から横浜新道、新湘南バイパス、西湘バイパスで箱根へ向かう。



走り出してほんの数十秒は、ホンキで120スピード(1スピード=1/2時速)くらいだった。

が、ちょっと前が開けたら、とたんに吠えるヨシムラサウンド。

強風の中、かずくんがアクセルを開けてイキ始める。



「ぎゃはははっ! ま、そうだろうなぁ」



俺としんごも当然、アクセルワイドオープンだ。

とは言え、今日は車体が持ってかれるほど風が強いので、上限160~180くらい。

ふたりには遅いだろうが、俺にとってはありがたい展開だった。






横浜新道あたりだったか。

強い風の中だんだんと、かずくんの速度が落ちてきた。

風が鬱陶しいのか、それともケツが痛てぇのか、と思った矢先、排気音がハネ上がる。



「ああ、なんだ。そういうことか」



ふぉーーーーん!



はいきたウイリー

フロントをサオ立ちさせてすっ飛んでゆくGSX‐R1000エルゼロ。

しかも、上がったフロントは、なかなか降りてこない



「こーの風の中、キレイにあげるもんだなぁ」



もちろん100オーバーからのウイリーなんてビタイチできない俺は、苦笑しつつ感心するばかり。



ちなみに、<おっかない人たち情報>によると。

「千葉で走り屋を名乗るなら、150からフロント上げて当然」

「上げる距離もメートルじゃなくて、キロを超えないとウイリーとは言わない」

だそうで、それなら俺は一生、走り屋にはなれそうもない。





横浜新道を降りて、混んでる一号線をすり抜けながら走る。

と、目の前に二台の白いバイクが走っていた。

かずくんがこっちを見て、肩をすくめつつ苦笑してる。



しばらく後ろについて走っていたが、そろそろ焦れたのだろう。

(行きますか?)的な表情でこちらを見るかずくんに、思わず大笑いしてると。

二台の白バイは、ウインカーをつけて右折レーンに移り、無事、何事もなく通り過ぎた。



後で聞いたら、この時、しんごは悲壮な覚悟を決めていたそうだ。

「かずさんが行きそうで、かみさんうなずいてるから、ああ、行くんだなって覚悟しましたよ」

覚悟の仕方がおかしい。





混んだり空いたりする道で、そんな風に遊びながら。

気づけばいつの間にか、新湘南バイパスを走り抜けていた。

しんごのアグスタにはETCがついてないので、出口で待ちつつ休憩。

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「しっかし、風が強いですねぇ」

「いやーキビシイね。までも、おかげで俺もついていける速度なのはありがたい」



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かずくんのレザー、「汚れちゃったからバイク用なんです」って、サラっと着てるけどアルマーニ

しんごはもちろん、若者らしいシャレオツなカッコ。

で、おっさんだけが、時代遅れのカドヤマックス&江戸勝ジーンズ。



ファッショナブルとは、前世で何かしらのトラブルがあったんだと思うんだ、俺。






テキトーに休憩して走り出したら、途中の合流から白バイが二台現れる。

しかもT字路で左右に分かれたから、どっちに曲がっても白バイと同道になりそう。

「またかよ」といった面持ちで、三人して顔見合わせると、全員の気持ちは一緒だった。

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さっき休んだばかりだけど、ここでまた休憩しつつ、災難をやりすごす

バカ話中にしんごが爆弾発言をして、それに俺とかずくんが苦笑。

ま、内容はウルトラプライベートだから、ココでは割愛。




たっぷり10分は休んだだろうか。

そろそろ白馬の王子様も姿を消したころあいだろうと走り出す。

海沿いの134号は、風が強いけど景色は美しい。



120~180くらいの幅で、すっ飛ばしたり流したり、気ままに走るかずくん。

いや、実際はずっと先導しているから大変なんだが、それを感じさせない。

フロント上げたり、逆にのんびり走ったり、実に楽しそうに走るのが印象的だった。





かずくんが加速し、続いて俺も加速し、しんごがピタリと後ろにつける。

ランデブーするように車列を縫い、高速コーナーへ飛び込む。

三様のマシン、三様の乗り手。

息の合ったストレスのない、心地よい走りに酔う。





西湘バイパスにのってもすっ飛ばし、西湘PAに入って休憩する。



「なんか食いますか?」

「そだね」



PAの食堂でメシを食い、外に出て一服つけながらダベる。

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相模湾は美しいかったが、空がすこしモヤってたかな。

煙霧ってヤツだったのだろうか?


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写真だけ見ると、休憩ばっかりしてるようだが、今回は走りながら写真を撮れなかったのだ。

片手で撮りながら走るには、ペースが速くて風が強かったから。

車載カメラ、ホンゴシ入れて探そうかな。


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食後の休憩を終えたところで、時刻は1時40分。

バイパスの残りを抜ければ、いよいよ箱根。

俺にとっては地獄の、ターンパイクだ。






料金所をくぐって、ターンパイクを走り出したところで。

俺はすぐさま、うしろのしんごへ道を譲る。

こんな超高速ワインディングは苦手だと、俺がさんざん泣きゴト言ってたので、しんごは素直に前へ出た。



んで、最初の数コーナーほどは、何とかついてゆけたが、まあ、そこまでだ。



ちょっとクルマに引っかかったら、そこでドカンと差が開く。

そして開いたらもう、二度と取り戻す術(すべ)はない

相手はふたりとも、ただの乗り手じゃないのだ。



ものすげぇイキオイで突っ込んでゆくかずくんと、食らいつくしんごの背中。

ホワイト&ゴールドのエルゼロと、真っ赤なアグスタが、ひとコーナーごとに離れてゆき。

やがて、完全に見えなくなった。



哀しいソロツーリングの始まりだ。



もちろん、ここでふたりに引き離されるのは、充分に想定内だった。

が、こんなに早く見えなくなるとは思わなかった。

残念ではあるが、まあ、俺のウデがないんだから仕方ない。



「相手が悪かったな」



肩をすくめて苦笑してると、大観山へ向かう最後の直線で、ようやくふたりの姿が見えた。

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大観山のパーキングで、休憩タイム。



「いっやー、見事に消された。もちっとやれると思ったんだけどなぁ」

「しょうがないですよ。パワーの差が出ますから。しんごもキツそうだったもんな?」

「きびしいですねー、パワー足りないです」



ふたりに慰めてもらいつつ、大観山の上でバカ話。

かずくんの知り合いの、豪快な事故の話や、面白い連中の話に大笑いする。

走って、しゃべって、また走って。



最高に楽しい時間だ。






と、風が冷たく感じてきた。



「さすがに山の上は寒いですね」

「あ、俺、インナーベスト持ってきたんだ。着とこう」

「俺もリュックに入れて来れば良かった」

「ロンツーで持ち歩くクセがついちゃったんだよ。真夏でも山の上だと寒いからな」



もぞもぞとベストを取り出して着込んでると、かずくんが聞いてきた。



「かみさん、このあとどうします? 椿(つばき)ライン走りますか?」

「そだね。せっかくだから、下ってみたいなぁ。しんごはこのあと、用事があるんだっけ?」

「ありますけど、大丈夫ですよ」



てな感じで、俺のワガママを聞いてもらい、椿ラインを下って帰るという段取りになる。

前にRと来たとき登ったことはあるけど、くだりは初めてなのでワクワクする。

パワーのあるふたりには、狭くて鬱陶しいかも知れないが、俺とユリシーズは楽しく走れそうだ。






往路の高速とターンパイクで疲れた、と言うかずくんが後ろへ下がり。

狭いくねくねバカ峠が大好きな俺が先頭へ。

三台は大観山を出て左へ折れ、椿ラインを下り出した。



だーっと下って、くねくねっと走り、大きく右へ曲がる直角に近いコーナー。

立ち上がって、直線を一気に加速。

左へだらだらと曲がりこんだ先に、Uターンチックな右のタイトコーナーが見えた。



すかさすブレーキング。



とたんにリアがロックして、ケツがとっ散らかる。




「おわっ! なんだっ!? ケツ振ったぞ?」

すぐに身体を前へ移し、オフロード乗りで180度カーブをクリアする。

無事に曲がりきってほっとしたところで、ケツの暴れた理由に思い当たった。



こないだから、あまりベルトに負担を掛けないよう、サスを固めてたのだ。



「すっかり忘れてた。んじゃ出来るだけスムーズに旋回してやらなくちゃな」



ゆるい曲がりのあと、すかさずまた右の180度タイトコーナー。

気をつけたつもりだが、ここでもちょっとリアロック。

これでようやく、リアをコントロールする感覚を掴む。



あとはただ、ひたすら曲がって楽しむだけだ。



頭をあげて先を見ながら、ブレーキを舐めつつ、車体をホールドして飛び込む。

コジったり余計なことをしなければ、マシンはくるっと旋回。

アクセルを開けると、いつもよりリアの動きは硬いが、しっかりと曲がって立ち上がってくれる。



俺がイチバン、「生きてる」と思える瞬間だ。



椿ラインの下りは、まさに俺とユリシーズの大好物な道だった。

特に後半のヤケクソ気味なツイストぶりなんぞ、今、思い出してもよだれが出る。

曲がってる間中、俺はヘルメットの中でゲラッゲラ笑っていた。



「ぎゃはははっ! なんだここ、面白れぇ! アッタマ悪い道だなぁ」



ま、笑ってる俺の方が、数倍、アッタマ悪いに決まってんだが。






ツイスティロードをお腹いっぱい堪能して、すっがりゴキゲンのかみさん43歳。

丁字路に出たところで、単車を停め。

途中でクルマに引っかかって離れた、かずくんとしんごを待って、残りの緩やかな坂を下る。



しばらく走って、途中でかずくんと先頭を交代し、スタンドに寄って給油。



「かみさん、椿の下り速いっすね。アメンボみたいにすーって曲がってましたよ」

「いや、バイクのおかげだよ。よく曲がってくれるんだ」

「そのバイク、あんなに安定して曲がれるとは思いませんでした」

「でしょ? 楽しいバイクなんだ。な、しんご?」

「やれる子ですよね」



ユリシーズの曲がり能力を、ふたりに褒めてもらい。

ターンパイクで消されたことなど、すっかり忘れてニコニコの43歳。

バカ話して笑い、さて、あとは帰るだけ……なのだが。



この先、俺以外のふたりには、地獄の時間が待っていた。






SS乗りを殺す最大の敵、渋滞である。






アップライトなポジションの俺はともかく、ふたりは前傾姿勢のきついSSだ。

ダラダラと渋滞の間をすり抜けていると、その消耗っぷりは大変なものである。

しばらく走ったあと、途中にあった<公衆トイレのある休憩所>に滑り込んだ。



「ケツ痛てぇし、左手は痛てぇし、肩は凝るし」

「なんでもない俺も、ケツ痛いですもん。そりゃあ、かずさんキツイですよ」

「ふたりとも、すまん。俺はちっとも痛くない」






その後も延々と渋滞にハマりまくり。

信号待ちのたびに、ヘルメットの中のかずくんの表情が凹んでゆく。

「ずっと先導させちゃってるからなぁ。さすがに疲れただろうな」

申し訳ないと思いつつも、俺はその表情がおかしくて、思わず笑ってしまった。



信号待ちで追いついたドカが前に出たのをウイリーで黙らせたり。

事故してたトライアンフを助けに停まったり。

しんどいくせに大活躍するもんだから、さらにしんどくなる悪循環にハマる、かずくん。



痛む左手をふるふると振り、ケツをかばってナナメに座りながら。

西湘バイパスへ乗ったところで、ついにギブアップ

先へ行ってくれと手を振るので、俺としんごが前に出て、160くらいで引っ張った。




バイパスを抜けて、国道を走り、横浜新道の入り口で、最後の休憩。

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ここからは流れ解散という段取りになり、タバコやトイレを済ませたところで。

本日のCrazy Marmaladeでっかいもん倶楽部は、事故もトラブルもなく、無事終了だ。



「今日は楽しかったよ、ありがとう! 最後まで事故ンないように、気をつけて帰ろう!」

「ありがとうございました」

「また走りましょう」

「ま、イチバン危ないのは、俺だけどな」

「あははは!」



笑顔で挨拶をしたら、それぞれがぞれぞれのペースで走り出す。



首都高へ入り、湾岸線に乗ったあたりで、ふと思い出し笑い。

「ああ、そうか。そう言えばかずくんとは、今日、初めて走ったんだっけ」

全然そんな気がしないなぁと思いながら、強風の中、俺は柏に向かってアクセルを開けた。






かずくん、一日中先導、お疲れ様でした。

峠の鋭い走りやウイリーしてる時と、渋滞で凹んでるときのギャップが最高だったよ。

また、タイミング合ったら、走りに行こう!



しんご、忙しい中、時間を割いてくれてサンキュな。

少しづつアグスタと仲良くなれてるみたいで、走ってる姿がえらい楽しそうだった。

休みが合う時は、また一緒に曲がり行こうぜ。



ふたりとも、チェーンドライブ化したら、また遊んでな?(´▽`)

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ダンス・イン・ザ・ウインド/了
文責/かみ

 
 
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by noreturnrydeen | 2013-03-10 19:57 | でっかいもん倶楽部 | Trackback

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