水曜の午後は出たくない
2013年 03月 06日
急に驚くほど暖かくなった水曜日。
仕事をしてても、青い空が俺を呼んでるから、ウズウズして仕方ない。
「半日仕事がハネたら、どっか走りに行こう」と思いながら働いてると。
ニコニコしながら、モヒくんが顔を出した。
腰が痛いというのを治療しつつ、バイクやアニメの話をして笑い、
「とりあえず、グレンラガンは見とけ」
つー的確なアドバイスをして送り出した。
すると、入れ違いに佐川急便がやってくる。
注文してた工具がやってきたので、テンションがますます上がる。
仕事がハネて13時過ぎ。
工具の入れ替えをしてるうち、思い出したのがエアクリーナの掃除。
「せっかくだ、エアクリきれいにしてから走りに行こう」
つわけで、作業開始。
こないだ買ったドリルドライバ、思ったよりやれる子だった。
少なくとも、外装レヴェルのネジトルクなら、補助の増し締めナシで充分っぽい。
みるみるネジが外れるので、嬉しくなっちゃったかみさん。
エアクリ洗浄だけじゃ終わらなくなった。
普段はエアクリBOXで隠れてる場所へ注油してやろうと、ひと通り外す。
エアクリは中性洗剤で洗って、干してる間に他の作業。
注油に使うケミカル、今回はいつものシリコンじゃなくて、ナスカルブ。
<ファクトリーギア>や、ナオミの上司Mさんもお勧めの、かなり好評判なケミカルである。
効能が気になるヒトは、ググってみると吉。
ひととおり作業が終わり、エアクリが乾くまでもう少しってトコロで。
ずっとやりたくて、やらなかったコトをやってみようと決意する。
なにって、排気コントロールバルブの全開固定だ。
ビューエルXB12シリーズのマフラーには、排気コントロールバルブがついている。
低回転では閉じてトルクを稼ぎ、高回転では開いて排気のヌケを良くする。
そのバルブを全開位置で固定したら、どんな乗り味になるか知りたかったのだ。
固定方法は、気に入らなかったら戻せるよう、可逆的な方法を取る。
牧場に転がってたステーで、ワイヤを引っ張って全開状態。
それからエアクリを取り付けて、すべて組み上げる。
つーか、組み上げてる最中からもう、早く走ってみたくて仕方ない。
ワクワクしながらエンジンを掛けると。
きょきょきょ……ばろろん!
いつもと同じドロドロ言う音に混じって、カンカンと「空気がパイプを叩く音」がする。
社外のマフラーを入れたハーレィみたいな、低音に混じるコンコンカンカンって音だ。
「へへへ、いい音になったじゃんか」
気持ちのいいエキゾーストノート。
見上げれば、シビれるほど真っ青な空。
と来れば、やるこたぁひとつだ。
つわけで意気揚々、走り出してみると。
低速はもちろん、なくなった。明らかにパワー感がおとなしくなった。
だが、もともと極低速だと半クラ必須だったから、そこはほとんど気にならない。
んで、本来ならグワっとパワーが出てくる(感じがする)あたり。
中から高回転のつなぎが、拍子抜けするほどフラットになった。
今まで排気バルブの切り替わる時感じてたモノを、感じなくなったからだろう。
「なんだろ……ああ、そうか。XB9Rっぽいんだ」
回転がえらいスムーズになり、吹け上がりが早い。
低速でのドーピングがなくなって、このエンジン本来のテイストが感じられるようになった、とでも言えばいいだろうか。低回転、極低速でのパワー感が薄れた分、ギクシャクしなくなり、低速から中、高速へのつながりがすごく自然になった。
数値的には遅いかも知らんけど、扱いやすさがそのネガを上回る。
「これはヤベぇ。開けすぎる。ぜってー燃費悪くなるな」
半笑いでそうつぶやきながら、俺はアクセルをガンガン開ける。
今、どこを走ってるとか、どこにいるとかどーでもいい。
久しぶりに、まったく方向や位置を気にせず、目に付いた道を、ただひたすら走った。
やがて、タバコが吸いたくなったので、道の途中で単車を停める。
「うーむ、ココはどこだろう」
そうつぶやきながらも、なんだか現在位置を確認する気になれない。
ロングツーリングで気ままに走ってる時と同じ精神状態に陥(おちい)ってたのだ。
ここで、写真をミクシィやFBにアップしようと思い、携帯を取り出す。
と、電池の残りが少ない。
なのでポーチから、充電器とケーブルを取り出す。
「あれ? 充電できないや」
充電器とケーブルは買ったばかりだし、おそらくシガーソケットが壊れたんだろう。
そう判断してアップをあきらめると、タバコを吸いながらのんびり景色を眺める。
「さて、それじゃもちっと走ろうか」
なんとなく、ロンツーの感覚でいたが、今日は水曜日。
明日は仕事だ。
適当に走って、知ってる道に出たら、そこから帰ろうと決める。
「あとは、のんびり行こう」と走り出したのだが。
今までより軽く気持ちよく回るエンジンに、やっぱりテンションが上がってしまう。
結局のんびりもクソもなく、思いっきり開けまくって走った……
……のが悪かったのだろうか?
並んだ車やバイクをゴボウヌキにしようと、アクセルを開けた瞬間。
ばろろろ-ん! と吹け上がるエンジン。
だが、エンジンは回れども、車体が前に進まない。
「これ知ってる」
アクセルをいくら開けても前に出ない、このスカスカ感には覚えがある。
そのまま惰性で路肩によせて停め、リア周りをのぞき込むと。
ご存知、ドライブベルト切れ(一年ぶり2回目の出場)
「対策品の新型ベルトは、切れないんじゃなかったのか?」
と文句を言ってみても、状況は変わらない。
「仕方ねぇ、タクに連絡……あ、今日は水曜か。タクんトコ休みだ」
つわけで、ユウヒへ連絡を取る。
「もしもーし! ユウヒ? 今から時間あるかな。クルマ出してもらえる?」
「大丈夫ですよ、どうしたんです?」
「ベルトが切れちゃってさ、往生してるんだ」
「いいっすよ」
ユウヒが迎えに来てくれるまでの間、いろいろと構想を練りつつタバコをつける。
構想つーか妄想しながら待ってると、ユウヒがハイエースで来てくれた。
足労をワビながらユリシーズを積み込み、職場へ向かってもらう。
ユウヒ、ほんとサンキュな!
戻ったら、牧場にストックしてあったスペアのドライブベルトをつける。
リア周り端からバラして、なんとか明るいうちにベルト交換を終わらせた。
さ、とっとと家に帰ろう。
「うーむ、『ベルトが切れる、切れないは運』つーけど、どうにも気に喰わんなぁ」
ぶつぶつ言いながら走り出す。
んで、しばらく走ってると、陽がおちて暗くなってきた。
とたんに、なにやら違和感を感じる。
「あれ? もしかしてライト光ってなくね?」
確認してみると、かみさんご名答! 思いっきりヘッドライトが切れてる。
気づいたとたん、その原因に思い当たった。
「ああ、そうか。あの時だ」
ユウヒを待ってる間に、スマホを充電しようとしたのだが。
シガーソケットが壊れてると思いこんでたので、
「どこが断線してるかわらかないから、とりあえず線を短く切ってつないでみよう」
と考え、おもむろにハサミで線を切った。
結果的に断線じゃなく、充電器がイカれてたのだがそれはさておき。
その切った時に「火花が散った」気がした。
ライト切れで、それを思い出したのだ。
途中のコンビニに飛び込んで、とりあえずヒューズをチェックする。
すると、ライト用のヒューズが飛んでたので、スペアと交換。
キーオンで無事、ヘッドライトも点灯。
こんどこそ、家に帰り着くことが出来た。
半日つーか、実質数時間、気の向くままに走っただけなんだが。
気がついたら、なにやら色々トラブル三昧だった。
とは言え、半分は自業自得だし、残りの半分も深刻じゃなかったし。
面白い一日だった(´▽`)
え? ああ、そらそうだよ、もちろんさ。
チェーンドライブキット買うに決まってるだろう。
チェーン込みフルセット10万ちかくするけど。
ちぇ、だれだ?
「かみ、笑ってんじゃねぇか?」とか言ってるやつは?
そんなワケねぇだろヽ(`Д´)ノ
(*´▽`*)
水曜の午後は出たくない/了