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GSX1300R隼 身体ならしの散歩


半日の仕事が終わった。さぁ、走り出そう。

と、その前に、どこに行くにしても、駐車場が必ずフラットとは限らない。なので、ほぼ直立してるハヤブサのサイドスタンドを、ショートクロームに変更する。お値段2万円なり。ま、高いっちゃ高いが、V-MAXのショートスタンドだって1.5万円位したし、こんなもんっちゃこんなもん。

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こんくらい短くなる。エンドがRを描いてるのは、どの高さでも対応できるようにだろう(多分)

ジャッキアップして、ノーマルをはずし、サクサク交換。

つーか日本車は精度がいいから気持ちいいね。

このスタンドもメリケン製にしては、フッティングがまともだった。ま、ただの棒だしな。

んで、ついでにクロームエンジンガードもつけてやる。これもモノの数分だ。

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3分かからずについた。位置がこれでいいのかは、知らない。でも、普通ここだよな。

 

さて、準備も出来たし、走りに行こうか。

整骨院を飛び出し、なんとなく走ってるうちに16号に出た。県道8号、船橋取手線を北へ向かい、途中から6号線に入る。そのまま、ビーフラインから北茨城へ抜けようと走っていたのだが、すぐに首が疲れてきた。仕事の疲れもあるんだろうが、こりゃ向こうまでもたねーかな。

なので県道19号線を折れて、とりあえず筑波へ向かう(筑波は生ビールじゃありません)

んで、その道すがら、時々アクセル全開走行を試してみた。SDRだと120くらいで抜けてゆくカーヴに、気づいたら160で突っ込んでるのに驚く。攻めるなんてこれっぱかしも思ってないのに、鼻歌交じりで160~180巡航。足元はもちろん、オン・ザ・レール。

ポジションはきついけど、ちょっと大きいSDRだと思って走ってやれば、それほどは気にならない。すり抜けもビートルバッグを気にしないでガンガンいけるし、高回転(俺にしては)まで回るから、シフトアップが忙しくない。今までシングルとかV型ばかりだったから、これは楽でいいね。

や、RocketIIIはマルチだけど、アレもほら、あんまり回らないじゃん?

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あっという間に、筑波山のふもと、いつものコンビニに到着。

山が、少し色づき始めてる。北へ行ったら紅葉が見ごろだと、Zが言ってたなぁ。明日は、Zオススメの裏磐梯にでも行ってみようか。なんてことを考えながら、缶コーヒーを飲みつつ一服つける。ここでしっかり休んでおかないと、急に疲れが出て、峠で飛んじゃうのは、RIIIで経験済み。

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ビートルバッグ、やっぱり純正色に塗ってもらうことにしよう。

 

一服つけていると、ツーリングらしきバイク集団が、何台も抜けてゆく。ま、ツーリングだったらきっと、頂上のパーキング目指してるんだろうし、何台来ても関係ないけど。タバコを吸い終わって伸びをしたら、さ~て、筑波山を登ろうか。

紅葉には早いだろうが、そこそこ観光客のいる山道を、クルマと一緒に登る。

やがて、頂上に出た。

そのまま、いつもの風返しへ入ると、停まらずに下りを一本。車体まかせに漫然と走ると、さすがに大柄でもてあます。マルはどうやって攻めてたっけ? やつの姿を思い出しながら、ブレーキをしっかり使いつつ、後ろ側に乗って荷重を意識しながら走る。

あ、曲がるじゃん。

もちろん、これだけ車高を落としているんだから、コーナリング性能そのものはスポイルされているんだろうが、それでもバンク角は風返しの速度には充分。それより面白かったのが、舵角と言うか、今までのクルーザみたいにバンクさせないで曲がると、ちょっといい感じだったこと。

まだ、攻めるなんてのには程遠いが、イロイロ試していると、ちょっとづつ速度が上がる。

 

しばらく走って、疲れたので休憩。

喫煙所で一服してると。
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タイホンダのCBR125なんつー珍しいバイクがやってくる。

アイサツして話しかけてみると、若い男の子だ。

彼はいわゆる風返しの日曜早朝本気組で、これは軽く走るとき用なんだそうだ。普段の戦闘機はVTR250らしい。しばらく話してたんだが、なにやらちょっとエキセントリックな男で、その妙なテンションを軽くもてあまし始める俺。

俺にしちゃ、珍しいんだけどね。

ふつーに話してて突然、『……なんですよぷひゃひゃひゃひゃっ!』って笑い出すんだもん。しかも、その話の笑いどころがカイモク見当たらないつーか、笑ってる内容をよく聞いたら、明らかに今の会話に関係ない、まったく違うことを思い出し笑いしてるんだぜ? 

怖いっつの。

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風返し向きと言えば、風返し向きなマシン。

 
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あれ? この写真だと、ビートルバッグ浮いてないね。

 

軽くアレな人チックなCBRの兄ちゃんと話していたら、やがてもう一台やってくる。
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DR-Z400。モタードだね。

こっちの人は普通だったので、今度はこっちとしばらく話す。するとこの人も常連組らしく、さっきの兄ちゃんと顔見知りの模様。そのまま三人で、ここの走りについて少し話した。もっとも、常連組の話だから、こっちは聞いてる方が多かったんだけど。

その話の内容で驚いたのが、風返しを夜に走ってるヤツがいるってコト。

ドリフトの四輪が来るまでの時間、真っ暗な中を攻めてるんだそうで、キチガイってのはどこにでもいるもんだ。有名人らしく、ボロボロのFZRかなんかの直管で、ノーヘルで走ることもあるらしい。んで、それが切れまくって速いんだそうだ。

思い出し笑いよりすげぇなぁ。

 
そんな話をDRのヒトから聞いてると、CBRのお兄ちゃん、明らかに不機嫌そう。

『あいつはダメだ』だの、『あいつ、早朝組の間じゃバカにされてる』だの『ルールを守って』だの言い出して、ちょっと聞きづらい。DRの人もそう思ったのだろう、いい加減なところで『おまえ、あんまりそう言うこと言ってるとウザがられるぞ?』と釘をさしてた。

俺は『今すでに、ちっとウザいけどね』と言う言葉を飲み込んで、『まぁ、ルールもクソも、ここにいる時点ですでにルール守ってないんだけどね』と言ったら、お兄ちゃん嫌な顔をしたっきり、クチを開かなくなった。なのでそのまま、しばらくDRのヒトと話す。

やがて、彼も柏の住人だと言うことがわかった。

そりゃ奇遇だと、次回の再会を約束して、俺はヘルメットをかぶる。

まだパープルも走りたいし、明るいうちに高速にも乗ってみたい。隼に慣れるために、やることは山積みなのだ。『どうせまた、ここで会うでしょう?』と言うDRさんの言葉に、俺は『そのときは俺の家で飲みましょう』と笑って返すと、パープルへ向かって走り出す。
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DR-Zさん。面白い男だった。

彼の言葉が社交辞令じゃないなら、そのうち俺の家で飲むことになるだろう。

 

狭い風返しに比べると、パープルはさすがに走りやすい。

とは言えもちろん、まだまだたいした速度じゃない。怖いほど攻め込む前に、やっておくことがいっぱいある。ちょっとづつブレーキを奥にとったり、二次旋回を意識して曲がってみたり、バンク角を深く、あるいは浅く。身体を慣らしながら、試してみる。

クルマも時々いたので、速度を上げすぎずに試し試し走れた。

今のところ、俺のコントロールレヴェルじゃ、シャコタンのネガはそれほど感じない。なんたって、今までが今までだからね。もっと慣れて、もっとアベレージが上がってくれば、イロイロと不満も出てくるだろう。その時になってから、車高をいじることにしよう。
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何度か走り、パープルの休憩所で一服。

そのまま風返しとは逆に降り、カマボコを乗り越えたら、さて、高速だ。

 

高速に乗ってチケットをしまったら、いよいよ掛け値なしのフル加速。

アクセルをガバっと全開位置まで開けて、淡々とリズム良くシフトアップ。車がそこそこいるが、ハヤブサでのすり抜けは、俺的にSDR並みに楽だから問題はない。ビートルつけて走るのはRIIIで慣れてるし、ポジションが低く顔が前に出てるから、すり抜けの目測がカンタン。

強いて言えば、上半身が寝てる分、前方の情報を得るのに、コツがいるか。

漫然と乗っているだけじゃ、アイポイントが低くて不自然な姿勢だから、先の情報がつかみづらいのだ。その分、推理と経験で補わなくてはならない。結構、アタマを使う作業だから、精神的に疲れる。だが、これは峠でも必要なことだし、早いところ慣れなくては。

で、高速の感想。

 

なにこれ?



頭でわかってても、実際に体感するとぜんぜん違う。借り物じゃなく自分のだから、遠慮なしにバカ開けして走ってみたのだが、とにかく、笑っちゃうくらいラクラクのスムーズ。俺の中で200ってのは、こんなに簡単に走れるものじゃなかったんだがなぁ。

いつものカンジで開けてって、ガンガンすり抜けしながら走ると、気づけば240オーバー。

前が開けた瞬間4~5速からガンっと加速して、シフトアップ。詰まってきたからとブレーキをかけると、あれ? ちょっと効きが悪い。なんだろなぁってんでメータを見ると、針が下りてきて200。効きが悪いんじゃなくて速すぎなだけじゃん。カウルに伏せるまでもなく、250くらいは楽勝で出せる。

ただ、首筋に当たる風が、おかしなくらいピリピリと痛い。

低めのスクリーンで跳ね上げられた風が首筋に当たり、それが痛いのだ。

160以下で走るなんて、かったるくって仕方ない。200ですり抜けるのに、何の恐怖も緊張も必要ない。安全マージンをたっぷりとって、『冷静になれ、クレバーに走れ』と気をつけながらすり抜けても、メータの針は180から降りない。

ほんと、なんじゃこりゃ? としか言えないよ。

 

 

結局、250ちょいまでは出してみたんだが、正直、ちっともそんな気がしない。

だが、じゃあつまらないのかと言えば、少し違う。

これにはこれの面白いゾーンってのがあるんだ、ってコトが充分予感できた。要は基本料金が上がったみたいなもんだ。もっと上の速度域になれば、こいつでだってシンドくなってくるに決まってる。ま、その基本料金の速度が250を超えるってのが問題なんだけど。

それでも、変わらないこともある。

今まで200オーバーのためにしてた苦労が、無駄じゃないどころか、ひどく役に立った。アレに比べれば、こいつでかっ飛ばすのは、250前後までなら鼻歌混じりだ。調子よかったら、タバコ吸えそうなイキオイ。いや、本当にってことじゃなくて、イメージね?

こいつで同じくらいシンドイ思いをしようと思ったら、間違いなく針は280に飛び込むだろう。もっとも250から上の話は、経験してからするべきだね。予測で話すことに全く意味がないとは思わないけど、想像がそれほど役に立たないってコトは、今日、嫌ってほど思い知らされたから。

 
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パープルや風返しでも、クルーザでやってたことが役に立ったし、高速でも、そのおかげで、ものすごく冷静に走れる。もちろん、これを操るなりの緊張はあるが、風に逆らって、怪しげな挙動と戦いながら『このやろうぅ!』っとアクセルを開ける、あの走りに比べれば、ずいぶんと穏やかだ。

でも、穏やかなのに、ものすげぇ速さだ。

2300さんが瞬間移動と言ってた意味が良くわかる。筑波からの帰り、今までの記録を軽く10分以上は上回った。『時々200に入れる』のと、『200以上をキープする』ってのの差なんだろう。そんな走りを、クルーザで200の時のとは比べ物にならないほどイージーにやれる。

考えてみれば、怖い話だ。

 

俺は、とんでもない単車を買ったんだと思う。

社会に属する一員として、こんなキチガイじみたマシンに乗るという自覚や責任は、軽い圧迫感をともなって心にオモリをつける。単純なパワーに対する恐怖は少ないが、自制が効かなくなるのではという恐怖は、物理的な力を感じそうなほど大きい。

だけどそれ以上に、こいつが見せてくれる新しい世界は、新鮮な魅力にあふれている。

俺は今日、新しい海へ漕ぎ出したばかりだ。

その海の広さや深さは、今のところ見当もつかないのだけれど、その無限に広がるとも思える未知の世界は。未知ゆえにより巨大な闇に見えるその世界は。俺を、とてつもない興奮の中に放り込む。その興奮は、かつて200オーバーの世界にあこがれた、あのときのままだ。

 

 

帰宅し、玄関の前で振り返ると。

美しい夕焼けが空を染めていた。
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なんてカッコつけて終わろうと思ったんだけどね。

いっや、しんどいわ。

250程度なら、精神的には思ったより楽だったんだけど、身体がきつい。

ポジションもそうだし、緊張したままハイスピードで飛ばすのも久しぶりだからね。身体がガチガチに固まってる。それでも楽しいもんだから、ムキになってすり抜けしてたら、柏インターすっ飛ばして、流山まで行っちゃったよ。もう少し、集中力が必要だね。

あと、体力も足りない。

今、これを書いてる段階で、ケツから太ももが痛くてしょうがないんだよね。このポジションでロングツーリングに行くには、もっともっと体力アップが必要だなぁ。飛ばしても飛ばさなくても、あのポジションで九州だの北海道だの行ったら、停まった瞬間に全身ケイレンだよ。

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顔はげっそり、首は風で叩かれてアザができてる。

 

でも、楽しかったぁ。

 
by noreturnrydeen | 2007-10-20 09:52 | ソロツーリング

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